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移籍市場の勝者はヴェンゲル…「メトロ」の熱い記事を読み終えて、アレクシス・サンチェスを想う。

Arsene Wenger bouncing back at Arsenal with one of his best transfer windows yet(アーセン・ヴェンゲルは、今のところ最高の移籍期間を過ごしてアーセナルを立て直している)」。先週末、暇つぶし的移籍ゴシップやライトな読み物が多いフリーペーパー「メトロ」が、腰の据わったオピニオンを掲載していました。筆者はマーク・ブラス記者。「Arsenal fans wanted him gone. 」と、昨季プレミアリーグ終盤戦でヴェンゲル監督の解任を求めたグーナーの描写から始まった記事は、その後チェルシーを倒してFAカップを制覇したアーセナルが、いい夏を過ごしているとレポートしています。

記者が移籍市場におけるヴェンゲル監督の動きを評価しているポイントは、3点です。早期にアレクサンドル・ラカゼットとセアド・コラシナツという適材を補強したこと。彼らの獲得を、妥当な金額で行っていること。そしてもうひとつは、主力を残留させるべく最大限の努力をしていることです。「チェルシーはルカクを逃したうえに、ジエゴ・コスタやマティッチという重要な経験を積んできた選手がジョン・テリーの後を追って出口に向かっている」「リヴァプールは大事な契約をひとつしか決めておらず、トッテナムは誰も獲っていない」「マンチェスター・ユナイテッドはエリック・ダイアーやマティッチ、ペリシッチに時間と労力を費やし、豊富な資金を賢く使っていない」「マンチェスター・シティはカイル・ウォーカーに5000万ポンドも支払ってしまった」。あくまでも「今のところ」という但し書き付きではあるものの、「メトロ」の記者はアーセナルの買い物がプレミアリーグのTOP6のなかでは最も的確だとリスペクトしています。

「かつてのアーセナルが崩れたのは、チームのなかで最も重要な選手を失い続けたことによる」。セスク、ナスリ、クリシーが出て行った2011年の夏まで失敗を繰り返し、2012年にはロビン・ファン・ペルシをライバルのマンチェスター・ユナイテッドに持っていかれたものの、近年は主力の離脱が減り、プレミアリーグ5位に終わった直後の夏も確実に前進しているように見えます。「アレクシス・サンチェスとの契約は懸念材料だが、ヴェンゲルがマンチェスター・シティへの移籍を許す兆候はない」「ベジェリンに関するバルセロナの関心は打ち消された。ヴェンゲルは彼と会談し、カタルーニャの巨人はベンフィカのネルソン・セメドとサインしようとしている。セスク・ファブレガス・エスケープの混沌は回避された」「メスト・エジルは、新しい契約にサインすることを示唆している。ラカゼット獲得は、ドイツ人MFのリアリティチェックの役割を果たしたのかもしれない」。記事が最も評価しているのは、指揮官が主力の残留を成功させつつあることです。さらに3バックに欠かせないチェンバレンまで残せれば、パーフェクトです。

主力離脱でいえば、最も危ないのはアレクシス・サンチェスであるのは間違いありませんが、やむをえず売ることになったとしても、おそらく5000万ポンド(約73億5000万円)が金庫に入ります。「メトロ」は、ヴェンゲル監督がモナコのトマ・レマル獲得に熱心に取り組んでいるとして、「アレクシス・サンチェスの代わりはいないが、ラカゼットとレマルは2人で攻撃をマネジメントできる」と断言。「もし、アーセナルとライバルたちが現在の流れのまま進むならば、トランスファーウィンドウの勝者は最も”らしくない”ヴェンゲルとなるだろう。あとはピッチで進化を確かめるだけだ」。ガナーズの指揮官を激賞する記事は、最後をこう結んでいます。

「チャンピオンズリーグでプレイしたい。自分のなかで決断してはいるけど、決めるのはアーセナルだ」。地元チリのラジオで思いを語ったと報じられたアレクシス・サンチェスには、こんなことを伝えたいと思います。「苦しいこの季節こそ、踏みとどまって戦い抜いてほしい」。マンチェスター・ユナイテッドがモイーズ監督の下で無冠に終わったとき、ウェイン・ルーニーとファン・ペルシは当然のようにクラブに残りました。モウリーニョ解任という悲しい事件の後、欧州のチケットに届かなかったチェルシーにおいても、アザールやジエゴ・コスタは次のシーズンに目を向けただけでした。アレクシス・サンチェスには、近年のプレミアリーグで4位以内に入れなかったCL常連クラブにおいて、唯一自らチームメイトに背を向けたエースになってほしくないのです。難しい試合で最後まで走り抜く姿が最も似合うアーセナルの7番には、こんな夏こそ彼らしくあってほしい。「決めるのはアーセナルだ」…このひとことに、希望を託しましょう。ヴェンゲル監督に「優勝したいから、残ってほしい」といわれれば、迷いや欲望を打ち消してエミレーツに戻ってきてくれるはず、と。

ルカクを獲得したモウリーニョ体制2年めは、マンチェスター・ユナイテッドにとって勝負の年。相手がどこであろうとプレミアリーグ優勝を譲ってほしくはありませんが、アレクシス・サンチェス、ラカゼット、エジルが前線を縦横無尽に走り回り、勝ち続けたアーセナルが悲願を達成するシーンなら見てみたい気がします。そのとき、アレクシスが「他のクラブに行きたい」ともう一度いったとしても、グーナーは拍手で送り出すのではないでしょうか。たとえ、高額の移籍金を置いていってくれなくても。「メトロ」のいつになく熱い記事を読み終えた夜、マンチェスター・ユナイテッドの苦しかった時期を文句ひとついわずに支えてくれたダヴィド・デ・ヘアを送り出す日が近づいていることも思い出して、しばらく机から離れられず、そんな妄想に耽っていたのでした。

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“移籍市場の勝者はヴェンゲル…「メトロ」の熱い記事を読み終えて、アレクシス・サンチェスを想う。” への4件のフィードバック

  1. Davinci より:

    己の信念を貫くボスは素敵ですね。
    サンチェスには是非とも残ってほしい。代わりが効かない選手だし、
    闘志溢れる(溢れ過ぎる時もある)プレーは我々を熱くさせてくれます。
    悲願の優勝のためにも、ボスには説得を頑張ってほしい。
    今季ボスがリーグトロフィーを掲げていることを祈ってます。

    —–
    来期、優勝のためなら契約満了で出ていってもらってかまわない。主力が移籍金を残さず去るのも辞さない覚悟、これもまたヴェンゲルの確かな変化なのでしょうか。

  2. 南10A より:

    サンチェスの言ったアーセナル次第という意味はCLに出たいけどアーセナルが駄目と言うなら残るということでしょうかね。

    来年フリーでシティに行かれるより今年プレミア以外なら移籍してもしょうがないと思ってます。
    ていうかシティに行ってもCLは保障されてないしペップもいつまでシティでやるか分かりませんけど…

  3. yuto より:

    アーセナルが最高の移籍期間を過ごしているかといわれると私は"No"の声を上げたいですね。
    流出が危惧される主力の残留交渉は努力していると感じますが、残り二つの要因である適正な価格で適材を獲得するということには言い方は失礼ですが「いつものアーセナル」と感じてしまいます。
    ヴェンゲル監督の哲学は近年の移籍金バブルにおけるプレミアリーグ最後の良心だと理解してはいますが、それでリーグを制することができるほど甘くはないと思います。
    私もユナイテッドのサポーターながらヴェンゲル監督には報われてほしいとも思っているだけにサンチェス、ベジェリンの流出は避けることを祈っています。

  4. 不知火 より:

    サンチェスがユナイテッドに来てくれないかなぁーなんて笑。
    私はヴェンゲル監督はそんな好きではないのですが、前シーズンの最後にあんな横断幕を掲げられていいような監督だとは思ってません。
    是非、ユナイテッドの次にという言葉が入りますが、いいシーズンが送れるようにと願っております。

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