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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Brazil2014】先制されて諦めたクロアチア…攻めきったメキシコが勝ち抜き、次戦オランダと激突!

北中米カリブ予選をぎりぎりで抜けた今回のメキシコは、限りなくアウトサイダーに近い存在で、ブラジルとクロアチアで鉄板だと思っていました。ワールドカップ欧州予選で、アウェイでベルギーにドローに持ち込んでいるクロアチアは、中盤から前の選手が粒ぞろい。オリッチ、ラキティッチ、モドリッチ、マンジュキッチと、プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラの上位クラブから注目されている選手ばかりです。ブラジルに1-3と負けた後、カメルーンに4-0快勝と、ここまでは予定通りといっていいでしょう。あとは、与しやすいはずのメキシコを破るだけだったのですが…。

下馬評に反して強かったメキシコ。開催国ブラジル相手にスコアレスドローに持ち込んだのは、GKオチョアが一世一代の大活躍、神がかったビッグセーブを連発したからだけではありません。後半開始からしばらくは、テンポのいいパスワークで、確実にブラジルを押し込んでいました。グループAの最終戦、クロアチアVSメキシコは、どちらが勝つかわかりません。

試合は、決勝トーナメントを賭けた「戦争」らしく、相手の長所をつぶし合う展開。ゴール前での攻防が多い割には、両者ともいい形でシュートが打てず、前半を0-0で折り返します。緊張感の高い好ゲームは、残り45分。ハーフタイムには、同時開催のブラジルが、ネイマールの2ゴールでカメルーンをリードというニュースが入ってきました。1勝1敗のクロアチアは、1勝1分けのメキシコからゴールを奪わない限り、ひと足先に帰国を決めたスペインやイングランドと同じ運命を辿ることになりますが、マンジュキッチとオリッチが抑えられ、攻撃の糸口がつかめません。

後半に入ると、ゴールに近づいているのは明らかにメキシコです。コバチッチ、ラキティッチ、オリッチのラストパスは、精度が今ひとつでフィニッシュにつながらないのに対し、ペナルティエリア内に確実に持ち込むメキシコの攻撃は、ゴール前で何度もきわどい攻防になります。エレーラ監督は62分、ベンチに温存していたチチャリートを投入。プレミアリーグで出場機会を得られず、ストレスをためていたストライカーは、この大舞台で爆発するのでしょうか。

最初の事件が起こったのは、64分。右からのアギラルのクロスが逆サイドに流れ、フリーでトラップしたグアルダードが左足で強烈なシュートを放つと、ブロックに入ったスルナの手に当たったにも関わらず、ジャッジはCK。前半にもハンドになってもおかしくなかったプレイをスルーされていたメキシコは、近くにいたチチャリートが猛抗議するも通らず。この後、クロアチアが先にゴールを奪って勝っていれば、ボスニア・ヘルツェゴビナのFWジェコがオフサイドの判定を嘆いて去ったように、後味の悪さを残していたかもしれません。

しかし、この日のメキシコに、その心配は無用でした。72分、CKにタイミングよく頭を突き出した35歳マルケスが、ついに先制ゴール!2点が必要になったクロアチアは、プレミアリーグで活躍するFWイェラヴィッチを投入して同点を狙いますが、メキシコの勢いは止まりません。75分、再三、攻略していた右サイドからぺラルタがグラウンダーを通し、今度はグアルダードが、10分前のジャッジを巡る議論を無力にする左足ボレーを決めて2-0!

これでクロアチアは、完全に切れました。82分、右CKをマルケスがそらし、フリーで走り込んだチチャリートが決めて3-0。87分には、ラキティッチのヒールパスを左からペリシッチが蹴り込み、一矢を報いますが、アレナ・ペルナンブーコには歓声も喜びもありません。ブラジルは後半、フレッジとフェルナンジーニョが次々とゴールを陥れ、トップ通過を決めたようです。89分、クロアチアのレビッチが一発レッドカードを受けると、残り時間はメキシコの歓喜の瞬間を待つだけの時間。3-1、メキシコ完勝。クロアチアは、中心選手が持てる力を発揮できず、不本意なゲームで大会を去ることになりました。

メキシコの勝因は、サイドでボールを持った時に必ず3人はゴール前に顔を出している厚い攻撃。体力的に厳しくなる時間帯でも、自分たちの攻撃スタイルを徹底する姿勢は崩れませんでした。一方で、クロアチアは最初の失点で、完全にガソリン切れ。メキシコの2点めのシーンでは、カバーに入っていたモドリッチとDF陣が、誰ひとりとしてマークにもコースカットにも入れず、フリーのクロスをフリーで打たれるという無残な破られ方をしてしまいました。

決勝トーナメント1回戦は、ブラジルVSチリ、オランダVSメキシコです。ファン・ハール監督、メキシコは相当強いです。特に疲れがたまった後半は気をつけてください!(アンドレス・グアルダード 写真著作者/Антон Волков)

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“【Brazil2014】先制されて諦めたクロアチア…攻めきったメキシコが勝ち抜き、次戦オランダと激突!” への3件のフィードバック

  1. より:

    はじめまして。
    いつも というか毎日楽しみに拝見させて頂いています。

    今回のW杯は、予想外の圧勝や劣勢からの逆転、アディショナルタイムに
    劇的なゴールだったり、下馬評をひっくり返す番狂わせな試合がたくさん
    あって、とってもおもしろいですね!
    そして、日中にはこのブログを見てまた次の試合に想いを馳せる。
    そんな日々が続いております。

    管理人さんの文章がとてもおもしろく、丁寧で分かりやすく、プレミアリーグの
    楽しさが凄く伝わってきて大好きです。
    ユナイテッド応援されてるようですが、他チームへのリスペクトも感じられます。
    文章多めのブログでこんなにおもしろいところは無いのではないでしょうか?

    と、長くなっちゃいましたが、そんな自分が今回1つだけ気になったので、
    初めてだったんですが、コメントを書かせていただきました。

    それは、メキシコvsクロアチアの激しい熱戦を表現する際に「戦争」という言葉を
    採用された事です。
    W杯は世界一のイベントで国と国とがプライドをかけて激闘を演じる場である事は
    重々承知です。決勝T出場がかかるこの試合は特にそういった熱い気持ちにさせる
    のも凄くわかります。
    ですが、それでもフットボールは「戦争」という言葉とは遠くかけ離れたスポーツ
    であって欲しいと願っています。
    それは、裕福で甘ったれた日本人の考え方かもしれません。

    オウンゴールで射殺されたり、サポーター同士がぶつかり合って負傷者が出たり、
    確かにそういった面もありますが、それでもフットボールはすばらしいスポーツだ
    と思っているので、その言葉で表現されたことが少し残念でした。

    何か長くて気持ち悪い文章になってすいません。
    これを書いて、だから何だと自分でも思ったんですが、ホントまとめきれなくてごめんなさい。
    どうしてくれという訳ではないのです。ただ、聞いてもらいたかったなとw

    今後も毎日楽しみに拝見させていただきます。
    以上です。失礼します。

  2. より:

    パスワード設定し忘れて編集できなかったので、連投になります。
    すいません。

    先程のコメントは一読されたら削除してください。
    このブログ、この試合の内容には不必要なコメントですので。

    お手数おかけして申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
    以上です。

  3. makoto より:

    ご さん>
    ありがとうございます。戦いの真剣さの修飾として使いましたが、決して、暴力礼賛、負傷者が出てもOKとは思っておりません。サッカーは、相手の城を奪うような競技なので、「総攻撃」「集中砲火」など、そちら系の表現をしがちなスポーツではありますね。

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