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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Brazil2014】本番で負けないとわからなかった…実は4年で広がっていた、世界と日本との差!

■2006年ワールドカップ・ドイツ大会 
 ジーコ監督
VSオーストラリア  1-3
VSクロアチア    0-0
VSブラジル     1-4

■2014年ワールドカップ・ブラジル大会
 ザッケローニ監督
VSコートジボアール 1-2
VSギリシャ     0-0
VSコロンビア    1-4

弱点が多く、つけいるスキがある国に、リードしながら選手起用を間違えて逆転負けした第1戦。2戦めは、欧州の中堅国相手に決定機を活かせずスコアレスドロー。3戦めでグループ最強の南米の国に勝たないといけない状況に追い込まれ、最後は力負け。セリエAやプレミアリーグのトップクラブで活躍する本田圭祐、長友佑都、香川真司を中心に、前回よりも高いところを狙えると期待された日本代表は、中田英寿、中村俊輔がおり、同じく前評判の高かった8年前をトレースしたかのように敗れ去りました。ここには、2つの共通項があるように思います。ひとつは、「世界の進化と自分たちの立ち位置が見えていなかったこと」。そしてもうひとつは、「監督が、3試合を23人で戦うという、ワールドカップの戦い方をイメージできていなかったこと」です。

コロンビアは、自国民の憧れ、聖地マラカナンで試合をしたいという思いが相当、強かったようですね。既にグループリーグ突破は確定していたものの、どうしても1位でマラカナンにいきたい彼らは、相当本気でした。今日の日本代表は、ひとりひとりは、がんばったと思います。決定機の数で前半は完全に相手を上回り、PKで先制されたものの、前半終了直前という最高のタイミングで岡崎の同点ゴールが決まりました。過去2戦からのいちばんの変化は、縦への仕掛けが増えたこと。大久保の呼び込む動きがよかったため、楔のパスから落としてサイドへ、という日本らしい攻撃ができていました。最初の2試合でシュートを打てなかった香川真司は、自らDFに仕掛けて積極的にシュートを放ち、内田と長友から、コロンビア代表を慌てさせる質の高いクロスが入ります。ハーフタイムで1-1、後半勝負、同時刻開催のギリシャVSコートジボアールはギリシャが1-0でリード。逆転で決勝トーナメントにいくためには、最高に近い状況が用意されていました。

日本代表と、今回戦ったコートジボアール、ギリシャ、コロンビアとの差は、「メリハリ」でしょう。初戦のコートジボアールは、ドログバの登場を合図に、前線を6枚にして2点を奪取。リードするときっちり中盤に蓋をしてゲームを畳みました。2戦めのギリシャは、退場でひとり少なくなると、ベタ引きでドロー狙いという戦術を選び、後半は一切、余計なことをしませんでした。そして、コロンビアの知将ペケルマン監督が、日本代表を倒すための勝負のタイミングとして選んだのは、悪い時間帯に同点にされたムードを変える後半開始直後。メッシの役割を果たす10番ハメス・ロドリゲスとカルボネロを後半頭から投入すると、前半あれだけ攻められていたのが嘘のように、コロンビアがゲームを支配。この時間で点を獲るという意志と、最前線にハメス・ロドリゲスが外から侵入することで日本のマークをずらすという作戦は明確です。

チェンジオブペースに振り回された日本代表が耐えられたのは、たったの10分。ハメス・ロドリゲスのドリブルに、内田篤人がつられて寄ってしまったところで、それを待っていたかのようなラストパスがジャクソン・マルティネスに入り、あわてて戻った内田の足は、ボールに触るのがやっとでした。シュートは、右のサイドネット。コロンビアは1点リードすると、すかさずカウンターモードに切り替えます。日本は90分間同じようにがんばるだけですが、世界の強豪国は、ここというタイミングで勝負をかけてきます。8年前、オーストラリアのヒディンク監督にケーヒル、ケネディ、アロイージを注ぎ込まれ、あっという間に3点を奪われた苦い経験を、われわれは今回に活かすことはできませんでした。

日本代表に、勝つチャンスがあったとすれば、65分に内田のグラウンダーを大久保がベストのタイミングで合わせたものの、シュートを打ち上げてしまったシーンでしょう。ギリシャ戦に続き、内田が決定的な仕事をしましたが、CFが大事なタイミングでチャンスボールを2回も逃してしまっては、接戦のワールドカップでは勝てません。ここで2-2に追いついていれば、コロンビアは「守ってカウンター」ではなく、後半開始直後のように3点めを獲ろうとラインを上げていたはずです。終盤、裏にスペースができれば、違う結果もあったのではないかと思います。

この後の、3点め、4点めは、リスクをとって前がかりになった代償なので、本田圭祐がインターセプトをされなければ…などと犯人探しをしても仕方がありません。問題は、獲られたことではなく、獲れなかったこと、ですから。

2010年の南アフリカ大会と比べて、スペインやブラジルが牽引した世界のサッカーはより攻撃的になり、とりわけ決定力のあるFWが増えています。これに対処すべく、コスタリカどころか、イタリアやアルゼンチン、オランダまで「中盤+CBは5人」というフォーメーションをとり、バイタルエリアを空けないようにしています。冒頭に「世界の進化と自分たちの立ち位置が見えていなかった」と書いたのは、こういったことです。個人力で他国に劣る日本は、強豪国よりも薄いセンターで戦い、1試合も勝てずに大会を終えました。

ザッケローニ監督は、3戦めにしてやっと、大きな采配ミスなく90分を終えましたが、選手交代をしても効果がないのは相変わらず。理由は明確で、ザッケローニのチームには「自分たちのサッカー」がひとつしかないからです。選手を代えても、やることが大きく変わらなければ、直面する課題は解決しないでしょう。対戦相手や自軍のコンディションを考慮して、23人のタレントを活かすのではなく、ひとつのサッカーを選手をローテーションさせて形にしていくだけという、選手層の薄いプレミアリーグの下位クラブのような戦い方。日本代表は次につながる成果をえられず、ブラジルを去ることになりました。

ザッケローニ監督を支持したのはわれわれですから、愚痴をいってもしょうがありませんね。次の監督は、世界のサッカーとワールドカップを知っている監督にしないといけないと、あらためて思いました。岡田監督が、1998年の敗退の後、2回めの2010年で日本代表史上最高の成果を挙げたように、指揮官の経験は重要です。

日本代表の選手とスタッフのみなさん、おつかれさまでした。最後の試合は、気迫が伝わってくるいい試合で、少しだけ、夢を見させていただきました。今回は残念な結果に終わりましたが、それぞれのクラブで技を磨いていただき、4年後、リベンジしましょうね!

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“【Brazil2014】本番で負けないとわからなかった…実は4年で広がっていた、世界と日本との差!” への9件のフィードバック

  1. Uボマー より:

    スコアは思いっきり個の差が出た感じでしたが、勝ち負けでいえば組織力の差が出ました。
    日本は攻撃の起点の比重が本田に掛かり過ぎていて、対戦国はどこもそこを徹底的に狙ってきました。苦しいときにキープしてもらう役割も背負っていたので、余計負担は大きかったと思います。本田はよくやったほうだと思いますが、流石に荷が重すぎました。前田やハーフナーがいた頃はポストでもキープできたのですが、そのオプションは失ってましたからね。毎回後半ガス欠するのはボールキープできない以上仕方ないでしょう。
    個の能力差は守備面のほうが大きかったように感じます。ここは育成段階の問題でもあるので、差を埋められない間はW杯などでは岡田ジャパンの守備戦術を採るしかなさそうです。makotoさんのいうように相手に合わせたサッカーをしていくことも重要だと痛感させられました。
    まあでもこれからまたスタートです。4年後を楽しみにしましょう。

  2. makoto より:

    Uボマーさん>
    完敗でした。前回、フィジカルの強さにおいては過去の日本で最強だった闘莉王&中澤でも、アンカー阿部勇樹を必要としたぐらいなので、今野を入れるなら、中4人はしんどかったですね。ストライカーばかりがいわれがちですが、大型CB育成も日本のテーマです。

  3. パックン より:

    ハネスではなくハメスですね。
    モナコ移籍前にはユナイテッドが狙っているという噂が何度か出ていたと記憶してます。
    いつかプレミアで観てみたい選手ですね。

  4. ちくちく より:

    悲しいですが仕方ないですね。まだまだ世界は遠い。。もう少しやれると思ってただけに悔しいです!

  5. londres nord より:

    日本人の悪い癖は終わったことだからと、議論しないことだと思います。
    この1つも勝てなかった現実を、監督選考を含め、一度総括しないと、前に進めませんし、また4年後に同じ間違えを犯すと思います。
    個人的には、2年後のビエルサ監督就任に期待です。

  6. あああ より:

    悲しいですね。
    もう最後のほう悔しすぎてあたまおかしくなりそうでした。
    てか泣いてました。
    くそ。せっかく今日の日のために何時間もかけてやった課題が、あまりの悲しさに学校いけなかった・・・

  7. makoto より:

    ちくちくさん londres nordさん あああさん>
    ザッケローニ監督はじめ、代表として世界と真剣勝負をする経験に欠けてましたね。日本は、ワールドカップ経験がない監督の時だけ、グループリーグで負けているので、次回の人選で考慮してもらえればと思います。

    パックンさん>
    すみません。ネになってました。訂正しました。ありがとうございます。プレミアリーグで観たい選手ですね。

  8. プレミアリーグ大好き! より:

    2010年の時の松井大輔のような選手がいればまた違ったのかなとおもってしまいました。
    両サイドの選手が仕掛けるシーンがあまり見られなかったのが残念です。
    香川に関しては守備でもチームに大きな負担をかけてしまっていたように感じました。

  9. プレミアリーグ大好き! より:

    ギリシャ、コートはベストな日本なら互角だと思います。
    しかし、コロンビアは絶望しか感じませんでした。おそらく真剣勝負だとベストコンディションでも10回やって10回負ける相手なんじゃないかと。
    選手たちは泣いていましたが、あれは悔しさより絶望で泣いているのではないでしょうか?気づかない間に世界が遠ざかっていたなんて。

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