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【Brazil2014】クリスティアーノ・ロナウド、笑顔なきゴール。ガーナは内紛で自滅し、結局アメリカ!

ポルトガルが2戦めのアメリカ戦で終了直前にドローに持ち込んだことで、実力伯仲のグループGは、ドイツ、ガーナを含む全チームに勝ち抜けと敗退の可能性があるという混戦になりました。最終戦のカードは、ドイツVSアメリカ、ポルトガルVSガーナ。ドイツは、大敗しなければ突破決定。ドローに終われば、アメリカとともに勝ち抜けで、1位決定です。おそらく、「負けないサッカー」に徹すると思われるレーブ監督のチームが、得点力が高いとはいえないアメリカに足をすくわれることはないでしょう。そしてアメリカも、相手がドイツとはいえ、プレミアリーグ屈指のGKティム・ハワードが、4回も5回もゴールを割られているシーンは想像できません。

片やのポルトガルVSガーナは、クリスティアーノ・ロナウドの大爆発さえなければ、総合力ではガーナのはず。ドイツが順当に勝って、ガーナがポルトガルを圧倒、これはワールドカップ開幕前の予想通り、ドイツとガーナで決まりか…というのが、おとといまで、私が描いていた着地想定でした。

ところが、前日になってガーナに事件が発生。しかも、主力の追放と金銭トラブルという致命的なダブルパンチです。追放されたのは、監督に暴言を吐いたといわれるケヴィン=プリンス・ボアテングと、スタッフに暴行を働いたとされたMFムンタリ。金銭トラブルのほうは、「ガーナに口座を持っていない選手に出場給が払われていない」という話で、一部の選手が最終戦を戦うブラジリアへの移動をボイコットする構えをみせたとのこと。こちらはガーナ政府が介入し、300万ドルが空輸されて一件落着となりましたが、いずれもワールドカップを戦っている最中にするような話ではありません。

開幕前に痛めた足に不安を抱えながら戦うクリスティアーノ・ロナウドと、戦力ダウンのうえ、チームワークに軋みが生じたガーナ。試合が始まって5分、クリスティアーノ・ロナウドが、右サイドのありえない位置から素晴らしいループシュートをバーに当て、ここからポルトガルがサイドを制し、優勢にゲームを進めます。クリスティアーノ・ロナウドは、19分にも得意のヘッドをフリーで叩き込もうとしますが、シュートはGKの正面。力みがあるのか、いつもなら決めているシーンで、ボールが狙ったところにいきません。欧州最終予選プレーオフで、スウェーデン相手に見せたようなエースの爆発にしか奇跡への道筋がないポルトガルは、31分のCBボイエのクリアミスによるオウンゴールでしか点が奪えず。ガーナは、元気なFWギャンにチャンスボールが出ず、敵の嫌なところにパスを出せるシャルケ04のゲームメーカー・ボアテングと、中盤と前線でどこにでも顔を出すムンタリの不在が際立つばかりです。前半はポルトガル1-0で終了。一方のドイツとアメリカは0-0です。ハーフタイムで、私は確信しました。これはアメリカだ、と。

ポルトガルとガーナの後半戦は、私には、とても悲しい45分に見えました。ピッチにいる選手が、誰ひとりとして自チームの決勝トーナメント進出を信じていないように映ります。57分にアサモアのアウトにかけた素晴らしいクロスから、ギャンが決めて1-1となり、4分後にギャンの決定的なクロスをワリスが外すと、両者ともラストパスの精度を欠き、ゲームは動かなくなります。

残り時間がそれなりにあるにも関わらず、クロスやシュートが外れるたびに、敗者の表情でうつむくクリスティアーノ・ロナウド。もう2点あればアメリカをかわせるのに、勝利への気迫が感じられないガーナ。80分、決勝点はポルトガルです。ナニの平凡なクロスに、余裕でキャッチできたGKダウダとDFがぶつかってしまい、こぼれ球をクリスティアーノ・ロナウドが左足で叩き込みますが、ゴールを決めた歓喜はありません。今の自分には、これ以上ゴールは奪えない。残り10分で3点は限りなくノーチャンスではありましたが、背番号7だけでなく、ポルトガルの11人は、もっと早い時間から自らの敗退を受け入れていたのでしょう。ワールドカップでは1大会2点を記録したことがなく、大事な試合でゴールを決めたことがないクリスティアーノ・ロナウドは、今回もお約束のようにチームのステップアップに直結しないゴールをひとつだけ奪い、最後のゲームを悲しい勝利で終えました。

ドイツとアメリカのゲームは、トマス・ミュラーの今大会4点めとなるスーパーミドルが決まって、1-0でドイツ。プレミアリーグ代表ティム・ハワードVSブンデスリーガ代表ノイアーの、GK名人芸対決といった趣のゲームは、最少得点差でドイツの勝利です。クリンスマン監督のなかには、「1点差負けまででおさめれば、得失点差でいけるはず」という読みはあったのでしょう。淡々と進むゲームには、勝者同士が戦っているような雰囲気がありました。

ケガ、退場、トラブル。実力均衡のグループGは、サッカーそのものではないところで、決着がついてしまったようなリーグでした。ポルトガルの敗退は、初戦のドイツ戦でやってしまったペペの退場と大量失点で、既にほぼ決まっていたようなものでした。ワールドカップの初戦で負けたチームがグループリーグを突破する確率が10%に満たないのは、たった3試合の戦いで、最初に負けることの傷が深く、2戦め以降に指揮官も選手も冷静さや平常心を欠いてしまいがちだからだと思います。初戦に負けなければ100%グループリーグ突破、負ければ2戦めで決定機を外し、勝ちを逃して最後は敗退という、わかりやすい戦績を残した日本代表が、そのことを証明しています。ブラジルでのポルトガルもまた、初戦がすべてでした。

29歳、今回が全盛期だったはずのクリスティアーノ・ロナウドには、2018年は見えていないでしょう。リーガ・エスパニョーラとチャンピオンズリーグを失ったメッシやネイマールの歓喜をよそに、チャンピオンズリーグを勝ちとったバロンドールが、早々とワールドカップから去ることになりました。おそらく、これが、最後の。

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“【Brazil2014】クリスティアーノ・ロナウド、笑顔なきゴール。ガーナは内紛で自滅し、結局アメリカ!” への4件のフィードバック

  1. Joe より:

    ギリシャ、アルジェリア、ウルグアイ。
    今大会は初戦0ptsでも、3/14。突破率は20%を超えましたね。

    ロナウドはトレーニングや食生活もストイックだし、プレーの幅も広いので、4年後も出てくると思いますよ。

  2. por より:

    予選勝てないって意味じゃないですかね?

    エレーラ獲得(´・Д・)」
    次はショーですかね〜

  3. makoto より:

    Joeさん porさん>
    porさんのおっしゃるとおり、ポルトガルの次世代はきついんじゃないかというのと、慢性化しそうなケガを抱えているので、スピードを活かしたプレイは捨てざるをえなくなるのではないかというのが懸念です。私は、ポルトガルは今後沈むとみています。

  4. makoto より:

    porさん>
    ショー、決まりました!

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