偏愛的プレミアリーグ見聞録

ミケル・アルテタ監督は、中盤で機能していた貴重な人材を、2人同時に失うかもしれません。ダニ・セバージョスとルーカス・トレイラ。レアル・マドリードからやってきた23歳のMFは、プレミアリーグ14試合でノーゴール2アシストという微妙な数字でシーズンを終えようとしています。2節のバーンリー戦で2つのアシストを決めた後、慎重に起用していたエメリ監督が、レギュラーに定着させ始めた矢先の負傷リタイア。ピッチに戻ってくるまでに3ヵ月を費やし、アルテタ監督の下でセントラルMFとして可能性を広げようとしていたところで、あえなく中断となりました。

アーセン・ヴェンゲルの下でプレイしていた頃のアーロン・ラムジーのように、ボックス・トゥ・ボックスと表現される選手として期待されていたダニ・セバージョスですが、本領を発揮した試合は数試合に留まりました。「メトロ」によると、アーセナルにローン契約を延長する意向はなく、ご本人はジネディーヌ・ジダン監督に自らの価値をアピールしたがっているそうです。「ハッピーだね。僕はレアル・マドリードと契約を結んでいる。まだ23歳で、ピークはこれからだ。もっといい選手になれるし、自分が進む道に到来するあらゆるチャレンジに備えている」。ドリブルでタメを創れる気の利いたパサーは、ガナーズにとっては貴重な存在でしたが、プレミアリーグで彼の姿を見られるのは来月が最後になるかもしれません。

2018-19シーズンは公式戦50試合2ゴール5アシスト、プレミアリーグでは34試合2ゴール2アシストだったルーカス・トレイラは、2年めは33試合2ゴール1アシストと出番も存在感も減り、飛躍の年とはいえませんでした。「フットボール・ロンドン」は、小柄なウルグアイ代表がセリエÅ復帰を望んでいると報道。「ルーカスは、技術面での見解の相違について監督と衝突し、少し機嫌が悪かったが、その後リカバーした。負傷は予想よりも深刻ではなく、完全に回復したけど、彼はマーケットに出される人間になると確信している。アーセナルにはとてもよくしてもらい、彼の振る舞いも素晴らしかったけど、今はイタリアに戻りたいと思っているはずだ」という代理人のパブロ・ベンタンクール氏のコメントを紹介しています。

イタリアのメディアからも「移籍先の候補はミランかナポリ」といわれているアンカーは、グエンドゥジ、ジャカ、ダニー・セバージョスに次ぐ4番手に甘んじていた感があります。守備力では間違いなく最上位なのですが、攻撃における貢献度が低いのが指揮官にとってもの足りなかったのでしょうか。2018年の夏にサンプドリアからやってきたときは、2700万ポンドは相当お得な買い物になりそうと期待したのですが、彼の最大の敵はパスタやワインが恋しい自分自身だったのかもしれません。

ルーカス・トレイラをセリエÅのクラブに売るとなれば、手に入れた移籍金をアトレティコ・マドリードのトーマス・パーティー獲得にまわさなければなりません。今季プレミアリーグで中盤の選手が2ゴールしか挙げていないガナーズは、ストライカーやウイングを追い抜くタレントを、もう1枚加えたいところです。フリーエージェントで獲得できるライアン・フレイザーか、1列下がってもおもしろいウィリアンか、ルーカス・トレイラよりも安い値段でユーヴェが手離しそうなアドリアン・ラビオか。トルコ行きが噂されていたメスト・エジルがいなくなるなら、パリのドラクスラーに来てもらえると盛り上がります。補強にお金がかけられないアーセナルですが、2人の旅立ちがトリガーとなり、激しく動く夏になるかもしれません。