偏愛的プレミアリーグ見聞録

チャンピオンズリーグの決勝はマンチェスター・シティVSチェルシー。ヨーロッパリーグは、マンチェスター・ユナイテッドがビジャレアルと対戦します。2年前にリヴァプール、トッテナム、チェルシー、アーセナルが欧州のファイナルを独占したときは、「プレミアリーグからのCL出場が6クラブになることはあるの？」といった疑問がサッカー関連の掲示板を駆け巡っていました。2020-21シーズンは、TOP4入りを逃したアーセナルがビジャレアルに敗れたため、CL出場権についてモヤモヤしている方はいないでしょう。

しかし一方で、2021-22シーズンよりヨーロッパカンファレンスリーグという新たな大会が始まります。チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの2本立てでは、UEFAランキングが低い国のクラブからノックアウトラウンドに進出するクラブが少なくなり、大会に出場できない弱小国もあります。3大会制の趣旨は、「より多くのクラブに欧州のステージを味わってもらうこと」だそうです。

新たなシステムについて、総論OKのハンコを捺せたとしても、「ヨーロッパカンファレンスリーグの優勝クラブは次のシーズンのEL出場権を得られる」と書かれると、「それっておいしいの？」とツッコミを入れたくなります。いや、このあたりはプレミアリーグ感覚ではなく、今季はELに出場するクラブがなかったポーランド目線に立たないといけないわけですね。ここまでは、よろしいでしょうか。次のテーマは、「大会が3つになったら、プレミアリーグのクラブはどうなるの？」です。

これについては、現地でも混乱している方がいるようで、「スカイスポーツ」がレギュレーションについて解説しています。「同じ国のクラブが、CLとELで優勝した場合」についても、おさらいしておきましょう。例えば、チェルシーがプレミアリーグ8位でCLを制し、アーセナルが9位でEL優勝を果たしたとしましょう。まず、彼らは自動的にCL出場権を獲得します。プレミアリーグ首位のマン・シティと2位のマン・ユナイテッドもCL出場決定。ここまでは、全員OKでしょう。

CLについては、「同一国の出場は5クラブまで」というルールがあります。レスターが3位フィニッシュならセーフ。問題は6クラブめとなる4位ですが、こちらは残念ながらCLには出られず、EL出場権は国内カップの結果次第です。FAカップ覇者にはEL出場権が与えられており、カンファレンス枠はカラバオカップの優勝チーム。2つの国内カップを5位以下が勝った場合は、「プレミアリーグ4位なのにCL・ELともアウト」というかわいそうな着地になる可能性があるわけです。

もうひとつ、押さえておきたいのは、「マンチェスター・ユナイテッドがヨーロッパリーグに勝って自動的にCL出場権を得ても、プレミアリーグ2位で得たCL出場権は他クラブにまわらない」ということです。欧州制覇による自動的な出場権の付与は、国内リーグで出場権を逃したクラブの救済措置と捉えるのがわかりやすいのではないでしょうか。

さて、次はELとヨーロッパカンファレンスリーグ（略称はECLだそうです）の出場権について、プレミアリーグのレギュレーションを整理しましょう。基本ルールは、「EL出場権はプレミアリーグ5位とFAカップ覇者」「ECLはカラバオカップ優勝」なのですが、リーグで上位に入ったチームが国内カップを制した場合は繰り上げ出場が発生します。

今季でいえば、カラバオカップを制したのはCL出場権を得ているマンチェスター・シティ。これによってカラバオの枠は消滅し、6位にECL出場権がまわります。FAカップの決勝はチェルシーVSレスターですが、両者ともTOP5をキープしたとすると、こちらもEL枠が消滅します。プレミアリーグ5位にはEL出場権が付与されているので、FAカップのEL枠が6位にまわされ、カラバオのECL枠は7位がゲットとなります。

恥ずかしながら、決まってから話題にならなかったヨーロッパカンファレンスリーグの存在をすっかり忘れておりました。ヨーロッパリーグと名前が似ているのが今イチですね（八つ当たり）。まったく別なネーミングにするなり、「EL1/EL2」のようにきちんと揃えるなりしたほうがいいのではないでしょうか。ヨーロッパカンファレンスリーグもヨーロピアンスーパーリーグも、どいつもこいつも…!?