セーブ率はプレミアリーグ最下位…ケパ・アリサバラガの失点が減らない理由。
先日、直近2年でゴールにつながるミスが急激に増えたダヴィド・デ・ヘアを憂う記事を書かせていただきましたが、今季のプレミアリーグには、マンチェスター・ユナイテッドの守護神以上に気がかりなGKがいます。チェルシーで2年めを迎えたケパ・アリサバラガ。2018年8月に、アスレティック・ビルバオからやってきたスペイン代表は、アリソン・ベッカーが持つGK史上最高額を更新する7100万ポンドという移籍金が話題になりました。サッリ監督の下で過ごした最初のシーズンは、素晴らしい反応で決定的なシュートを止めるシーンが目立ったものの、セーブ率67.5%でプレミアリーグ15位に留まっています。
2019年の夏にサッリがイタリアに帰り、フランク・ランパードが後を継ぐと、チェルシーの守護神は消極的なプレイを繰り返すようになりました。当初は、若返ったCBとの連携の問題と捉え、いずれは昨季の鋭いセービングを取り戻すだろうと思っていたのですが、後半戦に入ってもチェルシーの失点は減らず、50%台で最下位を独走していたケパのセーブ率も上がりません。しばしば気になったのは、シュートを打たれる瞬間のポジションの低さと、ニアを空けるシーンが多いことです。プレミアリーグ37節を終了した時点で、セーブ率54.5%は20試合以上出場の20人中20位。19位ピックフォードの63.3%から8%以上も置いていかれており、ブルーズの54失点はTOP10で最多となっています。
5-3という乱打戦となったリヴァプールとのアウェイゲームで、アリソンとケパに注目していたのですが、両者のポジショニングとステップの違いが大いに気になりました。アーノルドのFK、ワイナルドムがニアに打った強烈なシュート、フィルミーノのヘッドに1歩も動けなかったケパは、ナビ・ケイタのスーパーミドルとチェンバレンのボレーに対して、斜め後ろにステップして左手を伸ばしています。前にいればコースを狭められる状況でも、ゴールライン付近にポジションを取ることが多く、アタッカーにしてみれば、決められるコースが複数あるように見えるはずです。
一方のアリソンは、ジルーのゴールの際にはウィリアンがボレーで狙う瞬間に前に突進しており、タミー・アブラハムがノーマークで流し込んだシュートに対しても足元に飛び込んでいます。プリシッチのファインゴールはノーチャンスでしたが、ボールに対して最短距離でダイブ。アグレッシブに詰めてくるGKと対峙すると、ストライカーは早く打たなくては角度を失うと焦るものです。今季プレミアリーグのセーブ率72.7%と54.5%の差を如実に感じた一戦でした。
ケパには、もうひとつ気になるシーンがありました。5-3の92分、左からのFKのキッカーはロバートソン。ふわりと浮かしたボールにニアのタミー・アブラハムが飛ばず、ズマとリュディガーが見送ったボールにファン・ダイクが反応します。抜けてくるとは思わなかったCBはボレーをうまくコントロールできず、ボールはクロスバーを越えましたが、チェルシー守備陣にとっては危険なシーンでした。
DAZNの解説のベン・メイブリーさんは、「全員ボールウォッチャーになっていた」とコメントしていたのですが、あのシーンは「キーパー」と声がかかっていました。指示したのは、おそらく後ろから見ていたリュディガーで、だからこそストライカーは競るのを止め、ズマも自信をもってまかせたのです。ケパが前に出られず、ファン・ダイクのシュートがバーをかすめた直後に、リュディガーは「Kepa, come on man!(ケパ、マジかよ!)」と叫んでいます。このシーンを見たレッズOBが、アリソンが来る前のチームを思い出しながら、「チェルシーの問題はGK」と喝破した気分はよくわかります。
「KEP AWAY」と、GKの名前と「チームを離れる」という意味の言葉をかけた造語で煽った「ザ・サン」が、「Chelsea won’t go further with dodgy keeper Kepa – just like Liverpool struggled with Karius and Mignolet, says Carragher(リヴァプールがカリウスとミニョレで苦しんだように、チェルシーは危険なGKとともに前進できないとキャラガーがコメント)」と題した記事で、「スカイスポーツ」の解説者のコメントを紹介しています。
「チェルシーはゴールキーパーを変えないと、これ以上前には進めない。このチームには、気に入っているところがたくさんあるのだが、2年前のユルゲン・クロップの立場を思い出してしまうね。ランパードは、できる限りのことをしている。まだアーリーステージだけど、大型補強によって変えていかなければならない。ディフェンダーも必要だけど、これだけ多くの失点を見せられると、GKについても正直にならないとね」
ケパのスランプについて、以前にスペインメディアが「9年交際していた幼なじみのアンドレア・ペレスさんと別れたショックが大きいのではないか」と報じておりましたが、ハイクロスとフィジカルコンタクトが多いプレミアリーグに馴染んでいないという要素のほうが…いや、失恋のダメージがいかほどかはわかりません。失礼しました。もとい、ランパードは充分待った。しかし、変わらなかった。シーズンが終わればオナナ、オブラク、デア・シュテーゲンに声がかかるのでしょう。25歳のGKは、チームに残って勝負するのか、あるいはスペインに帰るのか。カイ・ハフェルツの獲得交渉とともに、最後方をどうするのかもブルーズのオフシーズンの注目ポイントです。
2019年の夏にサッリがイタリアに帰り、フランク・ランパードが後を継ぐと、チェルシーの守護神は消極的なプレイを繰り返すようになりました。当初は、若返ったCBとの連携の問題と捉え、いずれは昨季の鋭いセービングを取り戻すだろうと思っていたのですが、後半戦に入ってもチェルシーの失点は減らず、50%台で最下位を独走していたケパのセーブ率も上がりません。しばしば気になったのは、シュートを打たれる瞬間のポジションの低さと、ニアを空けるシーンが多いことです。プレミアリーグ37節を終了した時点で、セーブ率54.5%は20試合以上出場の20人中20位。19位ピックフォードの63.3%から8%以上も置いていかれており、ブルーズの54失点はTOP10で最多となっています。
5-3という乱打戦となったリヴァプールとのアウェイゲームで、アリソンとケパに注目していたのですが、両者のポジショニングとステップの違いが大いに気になりました。アーノルドのFK、ワイナルドムがニアに打った強烈なシュート、フィルミーノのヘッドに1歩も動けなかったケパは、ナビ・ケイタのスーパーミドルとチェンバレンのボレーに対して、斜め後ろにステップして左手を伸ばしています。前にいればコースを狭められる状況でも、ゴールライン付近にポジションを取ることが多く、アタッカーにしてみれば、決められるコースが複数あるように見えるはずです。
一方のアリソンは、ジルーのゴールの際にはウィリアンがボレーで狙う瞬間に前に突進しており、タミー・アブラハムがノーマークで流し込んだシュートに対しても足元に飛び込んでいます。プリシッチのファインゴールはノーチャンスでしたが、ボールに対して最短距離でダイブ。アグレッシブに詰めてくるGKと対峙すると、ストライカーは早く打たなくては角度を失うと焦るものです。今季プレミアリーグのセーブ率72.7%と54.5%の差を如実に感じた一戦でした。
ケパには、もうひとつ気になるシーンがありました。5-3の92分、左からのFKのキッカーはロバートソン。ふわりと浮かしたボールにニアのタミー・アブラハムが飛ばず、ズマとリュディガーが見送ったボールにファン・ダイクが反応します。抜けてくるとは思わなかったCBはボレーをうまくコントロールできず、ボールはクロスバーを越えましたが、チェルシー守備陣にとっては危険なシーンでした。
DAZNの解説のベン・メイブリーさんは、「全員ボールウォッチャーになっていた」とコメントしていたのですが、あのシーンは「キーパー」と声がかかっていました。指示したのは、おそらく後ろから見ていたリュディガーで、だからこそストライカーは競るのを止め、ズマも自信をもってまかせたのです。ケパが前に出られず、ファン・ダイクのシュートがバーをかすめた直後に、リュディガーは「Kepa, come on man!(ケパ、マジかよ!)」と叫んでいます。このシーンを見たレッズOBが、アリソンが来る前のチームを思い出しながら、「チェルシーの問題はGK」と喝破した気分はよくわかります。
「KEP AWAY」と、GKの名前と「チームを離れる」という意味の言葉をかけた造語で煽った「ザ・サン」が、「Chelsea won’t go further with dodgy keeper Kepa – just like Liverpool struggled with Karius and Mignolet, says Carragher(リヴァプールがカリウスとミニョレで苦しんだように、チェルシーは危険なGKとともに前進できないとキャラガーがコメント)」と題した記事で、「スカイスポーツ」の解説者のコメントを紹介しています。
「チェルシーはゴールキーパーを変えないと、これ以上前には進めない。このチームには、気に入っているところがたくさんあるのだが、2年前のユルゲン・クロップの立場を思い出してしまうね。ランパードは、できる限りのことをしている。まだアーリーステージだけど、大型補強によって変えていかなければならない。ディフェンダーも必要だけど、これだけ多くの失点を見せられると、GKについても正直にならないとね」
ケパのスランプについて、以前にスペインメディアが「9年交際していた幼なじみのアンドレア・ペレスさんと別れたショックが大きいのではないか」と報じておりましたが、ハイクロスとフィジカルコンタクトが多いプレミアリーグに馴染んでいないという要素のほうが…いや、失恋のダメージがいかほどかはわかりません。失礼しました。もとい、ランパードは充分待った。しかし、変わらなかった。シーズンが終わればオナナ、オブラク、デア・シュテーゲンに声がかかるのでしょう。25歳のGKは、チームに残って勝負するのか、あるいはスペインに帰るのか。カイ・ハフェルツの獲得交渉とともに、最後方をどうするのかもブルーズのオフシーズンの注目ポイントです。
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