偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグ3位と5位の直接対決となるレスターVSマンチェスター・ユナイテッドに負けず劣らず、4位チェルシーと6位ウルヴスの対決も楽しみです。ランパード監督のチームは、勝てば文句なしのTOP4フィニッシュ、敗れればマンチェスター・ユナイテッドの勝利を祈るのみ。同時刻開催のキングパワーでレスターがポイントをゲットすれば、来季の欧州のステージはヨーロッパリーグとなります（CL優勝の可能性は残されていますが…）。片やウルヴスは、勝てば2年連続のヨーロッパリーグ出場決定。引き分け以下に終われば、プレミアリーグ7連敗と絶不調のクリスタル・パレスと戦うトッテナムの結果次第となります。

両者ともドローか敗戦なら、ウルヴスが6位。ウルヴスが敗れ、スパーズがドローなら同勝ち点となり、得失点差でモウリーニョ監督のチームが上にいくことになります。6位を逃したチームの次のチャンスは、8月1日のFAカップファイナル。既に欧州へのチケットを手に入れているチェルシーが勝てば、プレミアリーグ7位に出場権がまわってきますが、8位以下が確定しているアーセナルが勝った場合は、トロフィーとELのチケットをダブルで手に入れることになります。

アーセナルが優勝して、スパーズが6位となったら、ウルヴスはジ・エンドか…いや、彼らには8月のヨーロッパリーグというラストチャンスがあります。ラウンド16のオリンピアコス戦のファーストレグを1-1で引き分けたチームが4連勝すれば、ELチャレンジ失敗の末にチャンピオンズリーグ出場権獲得という劇的なドラマの主人公になれるのです。チェルシーに勝てば6位、負けてもスパーズがコケれば6位、7位に落ちてもアーセナルが準優勝ならEL、すべてダメでも今季のELを制すれば大逆転！ウルヴスサポーターは、しびれますね。彼らの今季の足跡を見ると、よくぞここまで来たと思わず拍手してしまいます。

ヌーノ・エスピリト・サント監督と選手たちが2019-20シーズンのスタートを切ったのは、2019年7月25日。ELの二次予選からシーズンをスタートさせ、コロナウイルス蔓延による中断を経て、8月に行われるELのノックアウトラウンドに進むチームは、13ヵ月の長きに渡って戦い続けることになります。EL予選を勝ちにいくと、コンディショニングが難しくなり、国内リーグで不振に陥るチームが後を絶たないのですが、今季のウルヴスもプレミアリーグ開幕から6試合勝利なしと序盤戦は苦しみました。しかし、7節のワトフォード戦での初勝利以降は10戦連続負けなし（5勝5分）と堅実な戦いを続け、前半戦終了時には5位に進出。ヨーロッパリーグのグループステージも4勝1分1敗でクリアし、年明けに希望をつなぎました。

プレミアリーグ37節までで15勝14分8敗、公式戦トータルでは27勝17分12敗。プレミアリーグに出場した選手は20人、15試合以上に絞ると14人しかいない少数精鋭で、チームを息切れさせなかった指揮官は最優秀監督の称号を得てもいいのではないでしょうか。選手のスタッツを見ると、52試合26ゴールのラウル・ヒメネスに目がいきがちですが、33歳にして54試合に出場したジョアン・モウティーニョと、プレミアリーグ37試合フルタイム出場のキャプテンも、MVP候補に推されるべきだと思います。

「（EL二次予選の）クルセイダースとの最初のゲームが開催されたとき、1年後に同じシーズンの試合でプレイするなんてことを期待してなかったよ」（コナー・コーディ）

2019年6月27日にチームとしてのトレーニングがスタート。プレミアリーグアジアトロフィーに参加するため、6000マイルの中国旅行を行ったチームは、ヨーロッパリーグでアルメニア、スロバキア、トルコ、ギリシャ、北アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアを訪れ、国内と欧州合わせて29000マイルを移動しました。8月21日にケルンで行われるELファイナルに進出すれば、彼らの2019-20シーズンは史上最長の394日！その長き旅の終わりに、来季の欧州にも参加できるチケットが用意されていることを願ってやみません。