偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグの最終節が終わると同時に、移籍に関するニュースあるいはゴシップが増えています。マンチェスター・ユナイテッドはジェイドン・サンチョ、マンチェスター・シティはフェラン・トーレス、チェルシーはカイ・ハヴェルツとベン・チルウェル。以前から報じられていた話が再燃し、いよいよ所属クラブにオファーが届くといわれていますが、実際のところはどうなのか。スタジアムにサポーターが戻ってくる時期を読めないなかで、チャンピオンズリーグ出場権の確定は彼らの財布の紐を緩めるのでしょうか。このご時世、ビッグクラブといえども、4000万ポンドを超えるディールには慎重にならざるをえないのではないかと考える次第であります。

プレミアリーグで売上額ワンツーのクラブでさえ緊縮財政を強いられる状況で、マッチデー収入への依存度が高いアーセナルは、なおのこと出費には敏感になっているはずです。ダニ・セバージョスのレンタル延長は現実的な話ですが、多くのメディアが取り上げているフィリペ・コウチーニョの移籍が実現するとは思えないのですが…。ミケル・アルテタ監督が高く評価するダニ・セバージョスの去就について、「デイリー・メール」は「ローンを継続する契約の締結は、ほぼ完了している」といい切っています。

レアル・マドリードからプレミアリーグに参入した23歳のスペイン人MFは、ジネディーヌ・ジダン監督の構想に入っていないとのこと。スペイン王者は売却も視野に入れており、評価額を3000万ポンド（約41億円）に設定しているそうです。アーセナルにとって、払えない額ではありませんが、350万ポンドのレンタル料で1年延長というプランとの比較となれば、出費が少ないほうに傾くでしょう。「彼にとても満足している。サッカーが好きで、情熱的に取り組んでいる姿に好感を抱いている。私たちにとって、真に重要なプレーヤーになっている」と指揮官が信頼を寄せる中盤のキーマンは、8月1日のFAカップ決勝が終わった後、ノースロンドン残留の手続きが完了するといわれています。

一方、「メトロ」「ミラー」「フットボールロンドン」などが伝えているフィリペ・コウチーニョの移籍話は微妙です。レスターとトッテナムも注視しているといわれるブラジル代表MFについて、アーセナルがトップランナーと報じる「ミラー」は、移籍金を7200万ポンド（約99億円）としていたバルセロナがローンOKに切り替える可能性があるとレポート。戦力としてカウントしていないプレーヤーを手元に置いておくわけにもいかず、いかにキャッシュを手に入れるかを模索し始めているというお話です。

バルセロナが新たに設定したローン移籍のフィーは1800万ポンド（約24億7000万円）で、サラリーの一部として900万ポンドの支払いもセットだそうです。コウチーニョの代理人を務めるジューラブシャン氏は、「プレミアリーグはオプションとして検討すべき。彼はプレミアリーグでプレイしたがっており、以前に成功を収めている」とコメントしており、ご本人が前向きなのは間違いありません。しかし…。「アーセナルはコウチーニョにサラリーカットを呑めるかと打診し、選手は不本意ながらも検討中」というクダリが事実かどうかはわかりませんが、ノースロンドンのクラブは、ローン移籍に2700万ポンドも費やすのは現実的ではないと考えているようです。

本命とみられていたトマス・パーティーのほうは、「ガーディアン」が「アトレティコ・マドリードが2度めのオファーを拒否。アーセナルはバイアウト条項の4550万ポンド（約62億円）を支払う必要がある」と伝えています。グエンドゥジを差し出して支払いを抑えるというプランは既に却下されており、現有戦力を売らなければ手が出せないようです。得点力に定評がある攻めのタレントか、守備を安定させるアンカーか。払えそうだけど払いたくない見積書を突き付けられているガナーズの立ち回りに注目しましょう。