EL出場のトッテナム、エヴァートンが揃ってホーム敗戦!着地不明の大荒れプレミアリーグ観戦記
トッテナムは、シュート数で最下位WBAを下回るという積極性のなさで0-1と完封負け。エヴァートンは、ルカクの大迫力の中央突破から先制したものの、そこから3点を奪われて2-3逆転負けと、負け方も好対照。以下に、それぞれのゲームについて、簡単にレポートさせていただきます。
WBA戦のトッテナムは、「不可解」のひとこと。ヨーロッパリーグのスタメンをまたも10人変更し、前節のプレミアリーグとまったく同じ顔ぶれ。1週間、間隔が空いていたので、ゲームの入りが消極的だった理由は疲れではないでしょう。そこにいたのは、強烈なハイプレスとダイレクトパスを駆使してシャドリやラメラが貪欲にゴール前に飛び出してくる、2節のQPR戦を4-0と圧勝したチームとは別な集団でした。エリクセンのスルーパスからアデバヨルがゴール前に抜け出してくる惜しいシーンはありましたが、アデバヨルへの依存度が高い攻撃は単調。ラスト15分でレノンが登場すると、彼のドリブルから中央にクロスがいくつか入るシーンがありましたが、ボールの精度は高いとはいえず、最後までゴールを奪うことはできませんでした。
守備においては、CKへの対応のまずさが気になりました。ニア、中央、ショートと、CKという貴重なチャンスに工夫をこらしてくるWBAに対して後手にまわり、トッテナム守備陣は何度もシュートを許してしまいます。74分のCKで、前半はキッカーだったモリソンを中央でフリーにしてしまい、完璧なヘディングシュートを打たれたのが決勝点となりましたが、前半にCKのこぼれ球を捉えたレスコットのボレーが味方に当たらなければ、トッテナムはもっと早くビハインドを背負って戦うことになっていたでしょう。
私は「今季のトッテナムには期待している」と再三にわたって書いてまいりましたが、その前提は、プレミアリーグ開幕当初にみせていた素晴らしいハイプレスとショートカウンターの継続です。ラメラ、シャドリ、レノン、タウンゼント、アデバヨルと、縦に速いタレントが揃うトッテナムが速攻を極めれば、プレミアリーグの上位対決でも充分戦えるはずですが、WBA戦のようなスローで単調なサッカーに終始するとなれば、このまま中位に沈む可能性もあります。次戦はノースロンドンダービー。今のトッテナムが、エミレーツに乗り込んでアーセナルに勝つのは難しそうですが、アグレッシブなサッカーで、今後への期待をつないでくれればと思います。ポチェッティーノ監督は、ヴィラス・ボアスやシャーウッドら前任者たちと同じ轍を踏むのか、プレミアリーグ4位争いに顔を出すことができるのか。新監督は、ここが正念場です。
クリスタル・パレスに3失点で敗れたエヴァートンは、プレミアリーグ最多の13失点が気になりますが、この試合に限っていえば、「稀にみる事故」だと言い切ってもいいでしょう。 7分にチェルシーから来たクリスティアン・アツがGKを抜き去ってシュートをサイドネットに当て、9分にレオン・オスマンの落としをルカクが持ち込んで決めたところまでは順調。シュート数17対10、枠内シュート6対3とクリスタル・パレスを圧倒しながら、彼らがスコアで負けてしまったのは、名手ティム・ハワードが1試合で2つも致命的なミスを犯すという事故が発生してしまったからに他なりません。
28分、ハワードは、DFが2人で対応しているところに飛び出した上に相手を引っかけてしまい、ジェディナクのPKで同点。54分の逆転ゴールは、平凡なクロスにかぶってしまったところをフレイザー・キャンベルにヘッドに当てられ、ボールは無人のゴールに転がってしまいました。DFラインを崩されたシーンは、パンチュンから左でフリーだったボラシエにつながれた3点めのみ。レイトン・ベインズとレオン・オスマンが好調で、ルカクとエトーが何度も最前線に飛び出してくるエヴァートンの攻撃は迫力充分。試合展開は勝ちゲームだっただけに残念です。とはいえこちらは、敗因がシンプルで、再発するようなものでもないので、次戦のマージ―サイドダービーに尾を引くこともないでしょう。本日夜のキャピタルワンカップは、アウェイのスウォンジー戦という難しいゲームですが、願わくばここを勝ち切って気分を盛り上げ、敵地アンフィールドで中盤の守備に不安を抱えるリヴァプール相手にゲームを支配したいものです。
スペインではレアル・マドリードが4試合で既に2敗。リーグ・アンではパリが6戦2勝と勝てず、ブンデスリーガでは1部昇格したばかりのパーダーボルンが何と首位。ワールドカップ終了後のシーズンは、出場した選手が出遅れるケースも多く、欧州各国のリーグ戦は、より番狂わせが起こりやすくなっているようです。例年、他国以上に序盤戦にジャイアントキリングが集中するプレミアリーグも、まさに大荒れ。昨季の上位クラブでここまで及第点といえるのは、チェルシーとアーセナルぐらいでしょう。今季は他もつまずいているので、トッテナムやエヴァートンは、まだまだ出遅れをカバーできます。土曜日、それぞれのダービーマッチが、両者にとって浮上のきっかけになるといいですね。
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今年はどのリーグも荒れてますね。
W杯後と言うのも、やや影響しているのかもしれませんが、、。
エバートンの調子が今ひとつと言うのが気になりますね。昨シーズン素晴らしい躍進があり、今年は更なる飛躍と思いましたが、、、。まだまだ序盤戦ですからこれからでしょうが、Kopの私としては週末のダービーは譲れません。ただ、マージーサイドの両チームが元気がいいとリーグも面白くなるので今後に期待したいところです。
ポチェッティーノは過大評価だと思います。
昨シーズンのセインツが成功したのは、私はアドキンスのおかげだと思っています。ララーナやショー、シュナイダルランを見出したのは、ポチェッティーノではなく、アドキンスです。ポチェッティーノは、アドキンスの後を継いだだけ。あとは、ワニャマやロブレンなどのタレントを獲得した前会長をはじめとするフロントの手腕だと思います。
ポチェッティーノはエスパニョールでも大した実績作ってないですし、初のビッククラブなので今年は苦戦すると思います。
スパーズのフロントで有れば、下手をすればシーズン序盤に首を切る可能性も有ります。
10人のローテはチームに軸となる選手が居ないことを露呈してる気がしますね。
手抜きして勝てるほど、プレミアは甘くないのに。
ハワードはワールドカップで再評価されましたが、昨シーズンあたりからミスが多くなってる気がします。エバートンはベコビッチやフォルムをオフに狙うべきだったと思います。あと、最終ラインの高齢化も深刻な問題です。ディスタン、ジャギエルカにEL、PL兼務はキツイ。
最終ラインに怪我人が出たら、エバートンはボトムハーフまで落ちるんじゃないかと思っています。
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Mackiさん>
エヴァートンは、CBに勤続疲労があるのかもしれません。最近になって、若い選手をもうひとり、補強しておいたほうがよかったのではないかと思うようになりました。ELとの兼ね合いにも苦労しそうですね。マルティネス監督には大きなチャレンジ。期待しながら見続けたいと思います。
石さん>
セインツの礎を築いたのはアドキンスというお話は、おっしゃるとおりだと思います。ただ一方で、アドキンスではセインツの躍進はなく、ポチェッティーノだからトップ10に食い込めた、というのも確かだとも思っています。ポチェッティーノ就任からしばらくは、私も石さんと同じ見方をしていたのですが、コルテーゼ前会長の退任時のメイブリーさんのコラム等を読んで、なるほどと思いました。そのことに触れた私の記事と、メイブリーさんの元のコラムのリンクを貼りますので、よろしければ読んでみてください。ちなみに、セインツの補強は、コルテーゼ氏とポチェッティーノさんの共同作業です。
http://plmania.side-story.net/manager/040
http://goo.gl/H6DdVG
ポチェッティーノ氏に実績がないのは確かですが、41歳の監督を過去実績で切って捨てるのは酷だと思います。その考え方でいくと、「レディングでコケてスウォンジーを多少勝たせただけのブレンダン・ロジャース」のリヴァプール監督招聘もありえない、という話になります。彼の真価が問われるのはこれから。ロジャースや若き日のモウリーニョのように、一流監督へのステップを登っていくのか、トッテナムは家賃が高くて中堅クラブに舞い戻るのか。彼のチャレンジを、前向きに見守りたいと思っています。
エヴァートンの最終ライン問題は、まずそうですね。おっしゃるとおり、ケガ人が出たら昨季よりも相当悪いポジションでフィニッシュするかもしれません。
返信ありがとうございました。
記事読みました。
アドキンス解任の背景には、そういった事情が有ったのですね。
昇格1年目に残留を目指すのは、至極全うな考えにも思えますが、前会長はもっと上を見ていたということですか。
しかし、仮にアドキンスが昨シーズンも引き続き指揮をしていたとしたら、どうなったのかは、誰もわからないところですよね。
すいません。もしもの話に答えはないですね。(笑)
実績の話は、
確かに彼の監督キャリアを考えると、実績で監督の良し悪しを論じるのは、酷だったかもしれませんね。すいません。
将来への期待値がどれだけあるかが選定基準になってくるでしょうね。
いずれにしてもまだ、9月ですからね。真価が問われるのはこれから、年末ぐらいからですかね。
石さん>
いえいえ。謝ることはないです。いただいたご意見にちなんだおもしろい記事があったので、紹介させていただきました。アドキンスさんは有能な監督だと思いますので、彼の続投でも、セインツはそれなりに成功していたかもしれません。ただし、実際には、ポチェッティーノ監督と同等の成果を出そうと思ったら、少なくともアドキンスさんは時間はかかったでしょうね。メイブリーさんの記事を読んでいちばん感じたのは、「目標が低ければ、それ以上にジャンプアップするのは難しい」ということなので、よりそう思うようになりました。
ポチェッティーノさんについては、過大評価しているというより「セインツで一定の成果を残した若き指揮官がどこまでやれるか、楽しみです」というニュアンスです。ただしこちらも、石さんがおっしゃるように「トッテナムは過大評価をしていた」という結果に終わる可能性もあると思います。彼にとっても大きな挑戦なので、「不振を理由に年末を待たずにクビ」などとならないことを祈ってます。