偏愛的プレミアリーグ見聞録

アストン・ヴィラに移籍したエミリアーノ・マルティネスが、初めて出場したプレミアリーグ開幕戦をクリーンシートで終えました。ハイライトは、33分のPKストップです。バークが左から仕掛けたカウンターで、ラインの裏に飛び出したベイシャム（CBがなぜ最前線に…！）をマット・ターゲットが引っかけてしまい、レフェリーもVARもペナルティとジャッジ。ランドストラムがスポットに立つと、アーセナルからやってきたGKは右と読み切り、完璧なセービングでボールを外に押し出しました。

12分にイーガンがレッドカードをもらったため、シュート数18対4とヴィラが圧倒したゲームでしたが、あそこで先制されていれば3ポイントは得られなかった可能性大。日本時間の深夜2時から、昨季プレミアリーグ17位のホームゲームを観戦した酔狂なグーナーは、新守護神が右に飛んだ瞬間、号泣したのではないでしょうか。FAカップ制覇を置き土産に、レギュラーポジションを求めてバーミンガムに居場所を変えたGKは、近い将来、ビッグクラブから声がかかるかもしれません。

プレミアリーグ最強のセカンドGKをヴィラに放出したガナーズは、ディジョンのGKルナル・アレックス・ルナルソンを獲得しました。2018年に、デンマークのノアシェランからディジョンに移籍した25歳のアイスランド代表は、リーグアン通算36試合出場。アルテタ監督のオーダーである「足元がしっかりしたGK」という基準はクリアしていますが、移籍金は200万ポンドに満たないといわれており、前任者と同等のクオリティをいきなり求めるのは酷でしょう。

エドゥTDは「われわれが求めている力強さがある」、指揮官は「GKというポジションに深みを与えてくれる」と、それぞれ微妙なコメント。子どもの頃からグーナーだったというのが、目下の最大のPRポイントです。ともあれ、レノのバックアッパーの獲得はポジティブなニュース。ガナーズの次なるミッションは、余剰戦力の売却とセントラルMFやアタッカーの獲得です。

「ザ・ザン」によると、契約期間が残り1年となったムスタフィにはラツィオとナポリが興味を示しており、ガナーズは1340万ポンド（約18億円）で売却したがっているとのこと。負傷離脱中のCBゆえ、移籍金は1100万ポンドまで下がる可能性があるようですが、ノーズロンドンは多少値崩れしても呑むと報じられています。ナポリは、パパスタソプーロスも狙っているといわれていますが、ムスタフィともども負傷離脱中で、決まるとしてもぎりぎりのタイミングになりそうな雲行きです。

ここ数日で急激に盛り上がっているのは、アトレティコ・マドリードがルーカス・トレイラを獲得したがっているというお話です。スペインには、「アーセナルがトーマス・パーティー獲得と絡めて交渉」と伝えるメディアもありますが、「スカイスポーツ」は「それとこれとは別」と断言しています。2200万ポンドの買い取りオプションの条件について交渉中と報じられていたトリノはクールダウンしたようで、レンタルを希望しているアトレティコ・マドリードのほうが可能性は高いようです。

今季プレミアリーグ出場ゼロの小柄なMFを放出し、いくばくかのキャッシュ獲得とサラリー削減が実現すれば、ガナーズはトーマス・パーティー獲得に本腰を入れるのではないでしょうか。デッドラインデーまで、残り2週間を切りました。フセム・アワール獲得は進展なしといわれる一方で、「クリスタル・パレスにネルソンをレンタルして、ザハをお手頃価格で獲得」という噂も飛び交っています。最終形が読めないガナーズの補強ですが、「何もなしでシャッターが閉まるという着地だけはない」のは間違いなさそうです。