審判に文句いいつつ試合評は的確…モウリーニョ語録から考える「チェルシーとうまく戦う方法」
プレミアリーグ第9節、マンチェスター・ユナイテッドとチェルシーの一戦は、結局1-1のドローに終わりました。試合が終わると、モウリーニョ監督はバルサ時代の「元上司」であるファン・ハール監督に敬意を表し、自ら階段を上っていってベンチ付近で握手を交わすと、無表情でピッチを後にします。これはレフェリーに対して何かいうだろうな…と思っていると、やはり試合後の会見で不満を口にしていました。
「イヴァノビッチへの2枚めのイエローカードについて話さなければならないなら、他で起こったいろいろなことについて話さなければいけない。スモーリングのファールでイヴァノビッチに与えられるべきだったPKのこととか、全体的なイエローカードの多さ、スローイン…。だから私に、これらのことについて話させないでほしい。私はいつも気持ちでコメントして、トラブルを招いてしまうんだ」
2位のサウサンプトンに勝ち点6差をつけられ8位に甘んじているマンチェスター・ユナイテッドが、プレミアリーグ最強のチェルシー相手に思いのほか健闘したゲームは、ここまでのプレミアリーグのなかでも5本の指に入るであろう好ゲームでした。試合後のファン・ハール監督は「勝ち点1にふさわしい試合だった。モウリーニョ監督もそれはわかっているはず」と、敵将を意識しながらコメント。オランダ人新監督がいうとおり、チャンスの数は互角で、ドローという結果については妥当だとは思いますが、マンチェスター・ユナイテッドがビッグチャンスをものにできず、ドログバの一発でチェルシーが先制した時点で、ゲームを掌握していたのはモウリーニョ監督のほうだったと思います。
チェルシーの選手交代は、追いつめられて対処したものではなく、「1-0でならいつでも勝てる」とうそぶくモウリーニョ監督が、最少得点差かつクリーンシートでの勝利から逆算しながら、入念に行われたものでした。それだけに、ゲームの最後に起こった想定外のアクシデントには、余計にイライラが募ったのでしょう。「話させないでくれ」「話したくない」といいながら、ほぼ全部「話しちゃってる」のがモウリーニョ監督らしいですね。率直で、話すのが好きな方ですから、いいたいことはいろいろあるのだと思われますが、昨季はレフェリーをリスペクトしまくるという皮肉をかましただけでお咎めを受けているので、試合同様に慎重になっているのでしょう。
せっかくいい試合だったので、レフェリーの話はここまでにして、モウリーニョ監督のゲーム回顧のほうに耳を傾けたいと思います。
「われわれのチームは素晴らしい試合をした。オールド・トラフォードで戦うのは簡単ではない。マンチェスター・ユナイテッドはとてもコンパクトに戦い、カウンターを狙ってきた。しかし、われわれは、ファンタスティックだった。特に後半は最高のパフォーマンスだった。うまくゲームをコントロールできていたし、もう何点か決められたと思う」
パフォーマンスには満足しているが結果には納得していない、というのがプレミアリーグ首位クラブの指揮官の主張です。ここで着目したいのは、モウリーニョ監督のコメントにある「コンパクトに戦い、カウンター」という言葉。他のクラブより2枚も3枚も上にみえるチェルシーから勝ち点3を奪うにはどうしたらいいのかを考えたとき、そのヒントは当のチェルシー監督の言葉にあるのではないかと思いました。チェルシー戦で最悪なのは、先に点を奪われてバイタルエリアを埋められ、カウンターから追加点を獲られるパターン。ヴェンゲル監督は、何度となくこれをやられて完敗しています。そうならないためには、アザールやジエゴ・コスタにスペースを与えず、逆にチェルシー守備陣の背後にはスペースがあるような状況を創り、オープンな展開にしたいところ。昨日のマンチェスター・ユナイテッドでいえば、前半にあったヤヌザイの2本のスルーパスが、チェルシー攻略のお手本だったと思います。
11月8日にチェルシーと戦うリヴァプールは、相手の中盤の選手を呼び込んで、背後をスターリングやコウチーニョが狙うといった形に持ち込めればチャンスが生まれそうです。手数をかけないシンプルな攻撃をさせれば、ジェラードのロングフィード、スターリングの速さという飛び道具があるリヴァプールは、ディ・マリアやマタがボールを持ちたがるマンチェスター・ユナイテッドよりもシャープでしょう。そう考えると、中盤の選手の運動量とポジションセンスが求められ、左右に敵の侵入するスペースが空きがちな4-3-3より、選手間の距離をコンパクトに保ちやすい4-2-3-1や4-4-1-1にして、前線にスタリッジとスターリングがいるフォーメーションにしたほうがいいのではないかと思います。
マンチェスターダービー、チェルシーVSリヴァプール、ファン・ハールVSヴェンゲルと、これから11月の終わりまでのプレミアリーグは、昨季上位クラブの直接対決が増えてきます。マンチェスター・ユナイテッドに勝ってほしいのはやまやまですが、プレミアリーグファンとしては、試合が終わってひと晩経っても高揚感が続くようなナイスゲームが観られることがいちばんの喜びです。
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あの試合がベストゲームなの?って言いたくなります(笑)
一つだけ言いたいのは、審判の酷さに気づいていないのは、ユナイテッドファンだけだと思います。かなり偏った判定が多かったように思いますが…
プレミアリーグ大好き!さん>
派手なゴールはなかったものの、双方の戦術を見ていて非常におもしろいゲームだなと思いました。今までにも何回か書きましたが、レフェリーのよしあしや、個別ジャッジの是非については、レフェリーないしはFAが発言しない限りは踏み込んで書かない、と決めています。それは、マンチェスター・ユナイテッドが不利だった場合でも同じです。
実際には、偏ったジャッジがある(むしろ、何らか偏ってしまうほうが多い)のでしょうし、この試合においても疑義はあるのだと思いますが、ここでは「少なくとも、両チーム合わせて10枚のイエローカードが必要なゲームだとは思わなかった」というところまでしか書けなかったですね。
前半はディマリアが右で後半は左でしたが、チェルシーのほうが上手く押さえ込んでいました。ヤヌザイはもうちょっと出せるパスのバリエーションを増やせればかなり怖くなるかなという印象です。チェルシーにカウンターを仕掛けるとしてもマティッチとクルトワがそれぞれ一人でもシャットアウトできるのでかなりキツイです…涙
チェルシー攻略は組み立ての主役セスクをマンマークすることから始まりますね。パレス戦ではマッカーサー、ユナイテッド戦ではフェライニが頑張ってました。
リバプールはバロテッリ、ジェラードとお世辞にも動き回るタイプとは言えない選手を2人抱えているのでセスク監視要員を作ると他がスカスカになりそうなので難しいかもしれませんね。
確かに判定はユナイテッド寄りでしたがまぁ、ホームアドバンテージですかね。しかもここはオールドトラッフォードですかね、よりホーム贔屓の判定になることはプレミアを知っている監督なら理解してると思います笑
ブリッジでこれをやられたらたまったもんじゃないありませんが
リバサポさん>
そうなのですが、人数を投入してポゼッション重視で攻めると、セスクまで引いてきて固められるのでさらにキツイ…(涙)
本城さん>
私が「スタリッジとスターリング」と書いたのは、「このゲームにはバロテッリは要らない」という意味合いだったので、おっしゃることはわかります。セスクとマッチアップするとすれば、ヘンダーソンがいいのではないでしょうか。
審判に関しては、ユナイテッドもアウェーで意味不明なPKから3-5で負けたから、まあこんなもんだと思います
aさん>
私も、応援しているクラブに有利があっても不利があっても、「これがサッカー」「こんなもの」で済ませています。それでも、悔しくて痛飲したのは、2013年4月、マンチェスター・ユナイテッドVSレアル・マドリードでナニが一発退場になったとき。10人になった直後に2点獲られて逆転されたこともあって、余計に「あのレッドはないだろう」と思いましたが、それでも「あれがなければ勝ってた」という傲慢なことまでは考えませんでした。
PKという直接ゴールにつながるジャッジならともかく、そうでない不利な判定で、「それがなければ結果が自分たちのいいほうに変わっていた」とまでいうのは、いささか都合がよすぎる解釈だと思っています。マンチェスター・ユナイテッドは、あの試合で仮にナニが残っていたら、1-5などというもっとひどいスコアで負けていた、という可能性もあるのですから。いずれにしても、実際には起こらなかったことを云々することよりも、実際に観たプレイについて「素晴らしかった!」と語っていくほうが、サッカー観戦は楽しいですね。