【Swansea×Arsenal】 アーセナルのディフェンスはなぜよかったのか?
ヴェルマーレンは、前に出ていって攻撃に絡みゴールを挙げるセンスがあり、気持ちが強くキャプテンシーのある選手なのですが、周囲との連携にやや難があり、あっさり抜かれたりするポカがしばしば見られます。対してコシールニーは、カバーリングがうまく常に冷静で、コンビを組んだ相手をみて自らのポジションや動きをチューニングすることができる選手です。ひと頃、オウンゴールがやたらと多い時期があったのですが、これもコシールニーがゴール前の危険なエリアを察知し、先にボールを触ることができてしまうがゆえの災難。メルテザッカーのようにマンマークとヘディングは強いが器用ではないDFと組んで、うまく彼のよさを引出しマイナスをフォローする、となるとコシールニーのほうが1枚上でしょう。ずっと気になっているのですが、ヴェルマーレンは、2~3シーズン前と比べてスケールダウンしてますね。いいタイミングで前線に出張っていって得点を挙げるシーンもなくなり、DFラインのグリップも弱くなり…ベルギー代表でもリーダーの座をコンパニに譲ってしまった感があります。スランプなのか、もう衰えが始まっているのか。ヴェンゲル監督も、今は信頼しづらそうですね。
そしてもうひとつ。左SBのモンレアルを1月に獲れたことが大きいです。攻守のバランスがよく、ヨミがしっかりしている選手なので、サイドで裏を完全に取られるようなシーンが減りました。これに攻撃で貢献できる右のジェンキンソンを加えた4人、すなわち昨日のスターティングラインナップが、アーセナルDF陣のベストチョイスでしょう。
さて、ゲームはホームのスウォンジーがボールを支配。アーセナルが受けにまわるという予想外の出だしとなりました。しかしスウォンジーは中盤はつなげるものの、ゴール前ではミドルシュートしか打てず、そのシュートも不正確。むしろ手数の少なかったアーセナルのほうが、チェンバレンの2回に渡るバーをかすめたミドルシュートなど、惜しいシーンを多く作っていました。前半は両チームとも、相手の懐に入り込む状況を作れず、0-0で折り返します。
スロースターターのアーセナルは、後半に入ると、勝ち点3を獲るべくいよいよゲームの主導権を握り始めます。ジェンキンソンが右から鋭いクロスを入れるシーンが目立ち、短いパスの交換からサイドを崩し、セットプレーを奪う回数も格段に増えてきます。しかしなかなか、ゴールが遠い。71分、ヴェンゲル監督は選手交代を決断。チェンバレンとディアビを下げ、ジェルヴィーニョとラムジーを投入。バイエルン戦で交代が当たって味をしめたのか、顔ぶれは違うものの、ほぼ同じ時間に同じ2枚換え作戦です。しかし…これが再び、ドンピシャ!ジェルヴィーニョがモンレアルやカソルラとの連携で左サイドを崩し、前への推進力があるラムジーが上がることで、受け身になったスウォンジーはラインが下がり、サッカーが窮屈になります。
そして交代のわずか3分後、待ちわびた先制点!カソルラが左サイドを完全に崩し、グラウンダーを入れると逆サイドが2人フリー。あそこに通れば決まる、と思ったその時、CFの性か空気が読めなかったか、手前でDFを背負っているジルーが後ろ向きで余計なトラップ…背後にいたフリーのラムジー、両手を挙げて「そりゃないだろ!」のポーズ。当然、相手を抱えてゴールを背に受けたジルーはシュートなど打てず、ボールがこぼれます。ああ、絶好のチャンスを逸したと頭を抱えたそのとき、こぼれを拾ったモンレアルが左足でクロスにシュート。誰も触れない絶妙なコースに飛んだボールは、右のサイドネットへ。1月加入の左サイドバックがプレミアリーグ、初ゴール!
これでスウォンジーの緊張の糸は完全に切れました。アーセナルは最後まで逆襲を許さず、追加タイムにはカウンターから完全に抜け出したジェルヴィーニョがGKとの1対1を冷静に流し込み、ダメ押し。相手の枠内シュートを2本に抑える完璧な守備とアーセナルらしい流れるような攻撃で、きっちり勝ち点3をゲット。12月にホームで試合終了直前にミチュに2発叩き込まれ、0-2と負けた分をきっちり精算し、トッテナムとの勝ち点差を4に詰めました。
バイエルン戦に続いて2試合連続でクリーンシート(完封)を達成したことで、ディフェンスラインは自信を深めたでしょう。次につながる貴重な勝利です。この調子で、レディング、WBA、ノーウィッチと続く中位・下位との試合は勝ち点9といきたいものです。
(写真著作者/Ronnie Macdonald)
—–
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
コメントを残す