バロテッリのPKキッカー騒動であらためて感じた、ヘンダーソンの器の大きさ。素晴らしい!
この日、負傷していたジェラードはベンチから外れ、地元のテレビ局「ITV」で解説者を務めていたそうです。そうでなければ、この件についてマスコミ相手にはコメントしなかったかもしれませんが、マイクの前にいたとなれば、何もいわずに済ませられなかったでしょう。チームのキャプテンの言葉は「おっしゃるとおり」のまっすぐな正論でした。
「ジョーダン(・ヘンダーソン)が蹴るべきだった。それがルールだ。マリオの抜けがけは少し迷惑な態度だ。試合前の監督のプランにも反しているしね。ゴールを決めたマリオを評価するけど、サッカー選手が口論する姿は見苦しい。でも、ジョーダンはあの状況のなかでうまく仕切った。彼はマリオがゴールを決めたがっていると感じたのだろう。いい頃合いで引いたと思う。…たぶん6~7人がPKを蹴りたかったはずだ。もし彼ら全員が蹴りたいと我を張ったら、どうなると思う?そういうときのためにルールがあるんだ」
昨季プレミアリーグ得点王のルイス・スアレスが蹴りたい素振りすら見せなかったぐらい、リヴァプールにおいては誰がPKを蹴るかの序列は厳格なのだと思われます。ルールとその運用についてはチームの中の問題なので、われわれファンがいい・悪いを語るべきものではないでしょう。どこのチームも誰が蹴るかは決まっているものの、「前回自分は外してるから、別な選手にまかせる」「3-0と余裕があるから、記録がかかっている選手に蹴らせる」など、現場に裁量を持たせているチームもあります。1試合のなかで、複数の選手がPKを蹴ったチームもあるぐらいです。
バロテッリが、チームメイトの制止を振り切って蹴ったのなら咎められてしかるべきですが、彼は強く主張したにすぎず、最終的には現場のキャプテンが「同意した」といっているので、これはこれでいいのでしょう。この件について私が感じたのは、この日のキャプテン・ヘンダーソンの素晴らしさと、「外していたらどうなっていただろう」という恐怖にも似た懸念です。試合後のヘンダーソンのコメントは、率直でありつつ、チームメイトへの思いやりや、関係各所への気遣いも感じられるものでした。
「僕はPKを蹴りたかった。でもマリオは自信があったようで、以前にも重要なPKを決めていた。みんなが蹴りたがっていたけど、僕はマリオに自信を持っていたんだ。彼がPKを蹴るということについて、その場の同意は得られていたよ」
スタリッジをなだめてその場を収拾させただけでなく、「キャプテンの判断としてバロテッリがPKを蹴り、そして決めたのである」と語ってピッチの外まで落ち着かせたこのひとことに、ヘンダーソンの器の大きさを感じました。自らが蹴りたかったのなら、なおさらです。素晴らしい!来季からの新キャプテン。
PKキッカーといえば、お隣のエヴァートンで、今回のバロテッリよりも格段に後味の悪い話があったばかりです。プレミアリーグ22節、エヴァートンVSウェスト・ブロムウィッジ・アルビオン。前半終了間際のレスコットのハンドでPKを獲得したエヴァートン。キッカーは当然、いつものレイトン・ベインズと思いきや、ネイスミスらの抗議を振り切って蹴ったのはケヴィン・ミララス。しかし彼のキックは外れ、ミララスはハーフタイムに交代となります。「ハムストリングに違和感を抱えていたから」と理由を語ったロベルト・マルティネス監督の言葉をどこまで信じていいのかはわかりません。しかもゲームはドローに終わり、ホームで勝ち点を落としたエヴァートンは、プレミアリーグ12位という納得のいかないポジションから脱出できませんでした。
今回、この件が話題になったのは、ミララスよりも何かとゴシップの標的になりやすいバロテッリだったからという面もあるでしょう。蹴りたがっていたのが苦労人のベテラン、リッキー・リー・ランバートだったら、むしろ美談仕立てになっていたかもしれません。ミララスの事件の後味の悪さは、PKを失敗してしまい、最終的には勝ち点まで失ったという「結果」によるものです。もしバロテッリが外していたら…。彼が95%以上の確率でPKを決めているスペシャリストなのは重々承知ですが、蹴る瞬間にストップモーションを入れるあのキックはヒヤヒヤします。読みで動かず、ボールのコースを見極めることが多いノイアーのようなGKであれば、腰の高さに飛んでくるボールは、いちばん止めやすい弾道です。
いや、決まってよかった。3つの大会を戦っているリヴァプールにとっては、今が大事な時期。先日のプレミアリーグ、トッテナム戦で決勝ゴールを挙げたバロテッリには、今までの不振を払拭するような活躍が期待されています。スタリッジが「僕はマリオとのプレイを楽しんでいる。彼は素晴らしい男だ。僕らはパートナーとして成功できるはずだ」と語るなど、最近はいいムードだったわけで、これからというところでチームに不協和音を持ち込んでいる場合ではありません。そんななか、本件に関するロジャース監督の明るいコメントは、「騒がないでね」と読み換えるのが、正しい理解なのでしょう。
「われわれは1-0で大事なゲームに勝った。リヴァプールには、ヘンダーソン、マリオ、リッキー・ランバートと、素晴らしいPKキッカーがたくさんいる。われわれは勝った。素晴らしい結果、素晴らしいパフォーマンスだった」
素晴らしい勝利、そして素晴らしい2人のキャプテンシーを見せていただきました。いろいろな意味で、この1勝は大きいですね。来週のセカンドレグでもゴールを奪い、堂々とラウンド16へ歩を進めていただければと期待しています。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
更新ご苦労様です。
色々とメディアが内外問わず騒がしいですが、これを機にPKはピッチにバロテッリがいる時は彼に任せていいのはないでしょうか。いない時はキャプテンが蹴る。
こういう事が起きて場を落ち着かせるのもキャプテンの仕事ですね。ヘンダーソン対応はよかったですね。その後のジャンのバロテッリと抱き合うシーンや、バロテッリがヘンダーソンと抱き合うシーンがあり、若いチームですがまとまり前に進んでいこうと言う気概が感じました。
ヘンダーソン未来のキャプテンとしての、また一皮むけましたね!
まぁ、当人同士で問題がなければ大丈夫でしょう。チームの和が乱れる事態にはならないと思います。これに関して言えばロジャースは厳格ですからね。昨シーズン前のスアレスへの対応を見ればよくわかります。
今回のバロテッリのパフォーマンスは良かったので、そろそろ先発も見たいです。
Mackiさん>
明らかに揉めてましたが、ゴール後の雰囲気はよかったですよね。ヘンダーソンの仕切りとコメントはまさにキャプテン。素晴らしいと思いました。
リバサポさん>
ヘンダーソンもロジャース監督も、対外的な発信はオトナでしたね。ヘンダーソンやジェラードがうまくやるはずなので、本人同士がぎくしゃくし続けることにはならないと私も思います。