偏愛的プレミアリーグ見聞録

2016-17シーズン、ジョゼ・モウリーニョ率いるマンチェスター・ユナイテッドは、アヤックスを2-0で下してヨーロッパリーグを制覇。プレミアリーグの優先順位を落として6位でフィニッシュしたチームは、狙い通りにチャンピオンズリーグ出場権奪還に成功しました。2018-19シーズン、トッテナムに1ポイント及ばずプレミアリーグ5位に終わったアーセナルは、ヨーロッパリーグのファイナルでチェルシーと激突。セヴィージャで3連覇を達成しているELマイスターのウナイ・エメリは、グーナーの期待に応えられず、4-1の惨敗で3年ぶりのCL返り咲きを取り逃しました。

マンチェスター・ユナイテッドが、パリとライプツィヒが同居するCLの「死のグループ」で敗退してから、ヨーロッパリーグのファイナルでライバル対決が実現するかもしれない…と秘かに期待していました。今季のELは、CLで敗退した強豪クラブがいない絶好のチャンス。ノックアウトラウンドに参加した32クラブのなかで、欧州の5大リーグでTOP4にいるのはマンチェスター・ユナイテッド、レスター、ミラン、リールのみです。私が「アーセナルは、ヨーロッパリーグを優先したほうがいい」と早くから指摘していたのは、向こうのほうが強いと明確にいえるクラブが存在しない大会だったからです。

リーグアン首位のリールはアヤックスにつぶされ、セリエA2位のミランはクジ運最悪のマンチェスター・ユナイテッドに競り負けました。やっかいなレスターは負傷者が続出し、ラウンド32でスラヴィア・プラハに2試合連続のノーゴールで敗退。ハリー・ケインとガレス・ベイルが好調だったトッテナムは、ディナモ・ザグレブのオリシッチにまさかのハットトリックを喫し、ラウンド16で姿を消しました。優勝候補は、プレミアリーグの2チームと、アヤックス、ローマ、ビジャレアル。準々決勝の組み合わせは、プレミアリーグ勢に勝ってくれといわんばかりの最高のドローとなりました。


■ヨーロッパリーグ2020-21シーズン　準々決勝組み合わせ
グラナダ（ラ・リーガ） VS マンチェスター・ユナイテッド（プレミアリーグ）
アーセナル（プレミアリーグ） VS スラヴィア・プラハ（チェコ）
アヤックス（エールディヴィジ） VS ASローマ（セリエA）
ディナモ・ザグレブ（クロアチア） VS ビジャレアル（ラ・リーガ）


マンチェスター・ユナイテッドの相手は、ラ・リーガで8位のグラナダ。スペイン勢が苦手とはいえ、ラウンド16でスールシャール監督の古巣モルデと接戦を演じたチームには負けないのではないでしょうか。アーセナルは、スラヴィア・プラハ。スコティッシュ・プレミアリーグで32戦28勝4分と無敵のグラスゴー・レンジャースを屠ったクラブというと強そうに聞こえますが、スティーヴン・ジェラードが率いるチームは、セカンドレグで退場者を2人出して敗れています。CL予選でデンマークのミッティランに0-0、4-1で敗れ、ELのグループステージではイスラエルのハポエル・ベア・シェバに不覚を取ったチームが与しやすい相手であるのは間違いありません。

アヤックスとローマが直接対決となり、難敵がまたひとつ減るのも好都合。ビジャレアルは要注意ですが、ラ・リーガの後半戦で1勝4分3敗と絶不調に陥っており、ジェラール・モレノさえ封じればいけるでしょう。さあ、決戦実現まで、4試合をこなすのみとなりました。マンチェスター・ユナイテッドの最大の敵は、イスタンブール・バシャクシェヒル戦やシェフィールド・ユナイテッド戦で見せた慢心。アーセナルは、ビルドアップでのやらかしです。

準決勝はマンチェスター・ユナイテッドVSアヤックス、アーセナルVSビジャレアルでしょうか。持てる力を出し切れば勝てるはず…などという話は、その前のホーム＆アウェイを無事に勝ち切ってからですね。アーセナルが決勝に進んだら、「勝てばチャンピオンズリーグ出場権と27年ぶりとなる欧州のトロフィー獲得、敗れればEL出場権すら得られなかった1年」という高低差が激しすぎる決戦となる可能性があります。どうなるか、見てみましょう！

※当初の原稿で、「準々決勝終了後にクジ引き」と書いていたのですが、既に準決勝の組み合わせは決まってますね。申し訳ありませんでした。お詫びして、訂正いたします。ご指摘いただいた方々に、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。