2021.05.30 チャンピオンズリーグ2020-21チャンピオンズリーグ
現地メディアが一斉に指摘…CL敗退のペップ・グアルディオラは「考えすぎ」「いじりすぎ」!?
「Pep Guardiola guilty of over-thinking as Man City lose to Chelsea?(マン・シティのチェルシーに対する敗戦は、ペップ・グアルディオラの考えすぎという罪だったのか/スカイスポーツ)」
「Did Manchester City’s Pep Guardiola tinker too much against Chelsea?(マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラは、チェルシーに対していじりすぎたのか/BBC)」
プレミアリーグは27勝5分6敗、FAカップとカラバオカップは9勝1敗、チャンピオンズリーグは11勝1分。2020‐21シーズンの60試合のうち、先発メンバーにロドリもフェルナンジーニョもいなかったのは、3-0で勝ったオリンピアコスとのホームゲームだけです。「スターリングとマフレズをワイドに張らせるなど、今まであまりやっていないことばかりだった(リオ・ファーディナンド)」。現地メディアと評論家の多くが、ペップのいじりすぎを指摘しています。これまで戦ったどの試合よりも大事な61戦めで、彼はなぜ2人とも外し、ギャンブルに出たのでしょうか。
「Our way is to attack」
キックオフを迎える前に、常に攻め続けるのが自分たちのスタイルとうそぶいた指揮官は、エドゥアール・メンディに1度しかセービングをさせずに敗れ去りました。スターリングとマフレズがサイドを執拗に突いて、チェルシーの3バックの間隔を広げ、フォーデンとベルナルド・シウヴァをボックスに突っ込ませるという狙いだったのでしょう。
しかし実際には、スターリングが輝いたのはエデルソンのロングフィードで抜け出した8分のチャンスのみ。インサイドMFに入ったフォーデンは、戦術を忠実に遂行しようとしていたものの、前にウインガーがいないほうが意外性のあるプレイを見せられたでしょう。ベルナルド・シウヴァは、自らの役割について腹落ちしていないように感じられました。
ロドリかフェルナンジーニョがいれば、長短のパスを織り交ぜてペースを変えてくれたはずですが、プレミアリーグ13ゴールのトップスコアラー・ギュンドアンは、全体を動かすよりも自分で何とかしようという気持ちが勝っていたのではないかと思われます。それでもハーフタイムをイーブンで迎えられれば、フラットな目線でチューニングする機会を得られたのですが、いつもとは違う戦い方で臨んだチームは、前半終了間際という最悪のタイミングで失点を喫してしまいました。
メンディがチルウェルに柔らかいボールを通し、SBがダイレクトでメイソン・マウントに流した瞬間、中途半端なポジションを取っていたジョン・ストーンズとギュンドアンは危険なMFをフリーにしてしまいました。前線のヴェルナーが左に走ってルベン・ディアスを連れ出すと、判断が遅れたジンチェンコはカイ・ハヴェルツのスプリントについていけず。ボックスの外でハンドを犯したGKは、レッドカードではなく背後のゴールシーンを目撃しました。
守備陣のズレを突かれて0‐1。変幻自在にフォーメーションを動かしていたバイエルン時代のペップなら、ハーフタイムにロドリとジョアン・カンセロを投入していたかもしれません。しかし、今季のペップは、布陣を変えるどころか交代カードを余らせる指揮官でした。チャンピオンズリーグのノックアウトラウンド6試合のうち、3試合は1枚のみ。唯一5枚を使い切ったボルシアMG戦の交代策は、ラポルテとアグエロのコンディショニングが目的でした。
今季のマン・シティは、ルベン・ディアス&ジョン・ストーンズを中心とした堅守と引き換えに、戦術の自在性を失ったチームといっていいのかもしれません。チェルシー戦の最大の敗因は、先手を打って揺さぶりをかけられなかったペップの采配だったのではないでしょうか。
デブライネの負傷でガブリエウ・ジェズスの投入を余儀なくされた後、64分にようやくベルナルド・シウヴァをフェルナンジーニョ。リース・ジェームズに封じられていたスターリングを早期に見切り、フォーデンをウイング、ギュンドアンをトップ下に配したほうが、より多くのチャンスを得られたのではないかと思われます。
アグエロがピッチに入ったのは、残り13分になってからでした。稀代のストライカーにエンジンがかかる前に、タイムアップ。中央に絞ってアンカーの負担を減らしながら、正確なボールを前線に入れられるジョアン・カンセロを起用しなかったのは理不尽です。
初戦は先制逃げ切り、2戦めは終了間際の逆転劇。後手にまわってしまったのは、連敗を喰らわされたトゥヘルに勝負を決する追加点を奪われるのを怖れたからか。あるいは、失敗を認めたくなかったのか。これまでの戦いで、オプションを増やす試みをしてこなかった名将は、自ら抱えてしまった「やりにくいトゥヘル」という幻影と過信によって冷静さを失ったのかもしれません。
「スカイスポーツ」のアダム・ベイト記者は、「常に変化を志向してきたペップは、自らの考えすぎについて考える夏を迎える」と表現し、CL敗退の歴史を振り返っています。
「マンチェスター・シティの災難は、今やクラブの伝説となりつつある。ナイーヴだったモナコ戦、リヴァプール戦の混乱、デブライネをベンチに置くなど慎重すぎたトッテナム戦。昨夏のリヨン戦では、ロドリとフェルナンジーニョを併用していた。今回のソリューションが、どちらもプレイしないということだったのは、(悪しき伝説を継承する)自然な流れだったのかもしれない」
「ポルトにおけるチェルシー戦がリストに加わった。自業自得とまではいえないが、グアルディオラがチェルシー優勝に荷担した者と見做されたのは確かだ」
「Did Manchester City’s Pep Guardiola tinker too much against Chelsea?(マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラは、チェルシーに対していじりすぎたのか/BBC)」
プレミアリーグは27勝5分6敗、FAカップとカラバオカップは9勝1敗、チャンピオンズリーグは11勝1分。2020‐21シーズンの60試合のうち、先発メンバーにロドリもフェルナンジーニョもいなかったのは、3-0で勝ったオリンピアコスとのホームゲームだけです。「スターリングとマフレズをワイドに張らせるなど、今まであまりやっていないことばかりだった(リオ・ファーディナンド)」。現地メディアと評論家の多くが、ペップのいじりすぎを指摘しています。これまで戦ったどの試合よりも大事な61戦めで、彼はなぜ2人とも外し、ギャンブルに出たのでしょうか。
「Our way is to attack」
キックオフを迎える前に、常に攻め続けるのが自分たちのスタイルとうそぶいた指揮官は、エドゥアール・メンディに1度しかセービングをさせずに敗れ去りました。スターリングとマフレズがサイドを執拗に突いて、チェルシーの3バックの間隔を広げ、フォーデンとベルナルド・シウヴァをボックスに突っ込ませるという狙いだったのでしょう。
しかし実際には、スターリングが輝いたのはエデルソンのロングフィードで抜け出した8分のチャンスのみ。インサイドMFに入ったフォーデンは、戦術を忠実に遂行しようとしていたものの、前にウインガーがいないほうが意外性のあるプレイを見せられたでしょう。ベルナルド・シウヴァは、自らの役割について腹落ちしていないように感じられました。
ロドリかフェルナンジーニョがいれば、長短のパスを織り交ぜてペースを変えてくれたはずですが、プレミアリーグ13ゴールのトップスコアラー・ギュンドアンは、全体を動かすよりも自分で何とかしようという気持ちが勝っていたのではないかと思われます。それでもハーフタイムをイーブンで迎えられれば、フラットな目線でチューニングする機会を得られたのですが、いつもとは違う戦い方で臨んだチームは、前半終了間際という最悪のタイミングで失点を喫してしまいました。
メンディがチルウェルに柔らかいボールを通し、SBがダイレクトでメイソン・マウントに流した瞬間、中途半端なポジションを取っていたジョン・ストーンズとギュンドアンは危険なMFをフリーにしてしまいました。前線のヴェルナーが左に走ってルベン・ディアスを連れ出すと、判断が遅れたジンチェンコはカイ・ハヴェルツのスプリントについていけず。ボックスの外でハンドを犯したGKは、レッドカードではなく背後のゴールシーンを目撃しました。
守備陣のズレを突かれて0‐1。変幻自在にフォーメーションを動かしていたバイエルン時代のペップなら、ハーフタイムにロドリとジョアン・カンセロを投入していたかもしれません。しかし、今季のペップは、布陣を変えるどころか交代カードを余らせる指揮官でした。チャンピオンズリーグのノックアウトラウンド6試合のうち、3試合は1枚のみ。唯一5枚を使い切ったボルシアMG戦の交代策は、ラポルテとアグエロのコンディショニングが目的でした。
今季のマン・シティは、ルベン・ディアス&ジョン・ストーンズを中心とした堅守と引き換えに、戦術の自在性を失ったチームといっていいのかもしれません。チェルシー戦の最大の敗因は、先手を打って揺さぶりをかけられなかったペップの采配だったのではないでしょうか。
デブライネの負傷でガブリエウ・ジェズスの投入を余儀なくされた後、64分にようやくベルナルド・シウヴァをフェルナンジーニョ。リース・ジェームズに封じられていたスターリングを早期に見切り、フォーデンをウイング、ギュンドアンをトップ下に配したほうが、より多くのチャンスを得られたのではないかと思われます。
アグエロがピッチに入ったのは、残り13分になってからでした。稀代のストライカーにエンジンがかかる前に、タイムアップ。中央に絞ってアンカーの負担を減らしながら、正確なボールを前線に入れられるジョアン・カンセロを起用しなかったのは理不尽です。
初戦は先制逃げ切り、2戦めは終了間際の逆転劇。後手にまわってしまったのは、連敗を喰らわされたトゥヘルに勝負を決する追加点を奪われるのを怖れたからか。あるいは、失敗を認めたくなかったのか。これまでの戦いで、オプションを増やす試みをしてこなかった名将は、自ら抱えてしまった「やりにくいトゥヘル」という幻影と過信によって冷静さを失ったのかもしれません。
「スカイスポーツ」のアダム・ベイト記者は、「常に変化を志向してきたペップは、自らの考えすぎについて考える夏を迎える」と表現し、CL敗退の歴史を振り返っています。
「マンチェスター・シティの災難は、今やクラブの伝説となりつつある。ナイーヴだったモナコ戦、リヴァプール戦の混乱、デブライネをベンチに置くなど慎重すぎたトッテナム戦。昨夏のリヨン戦では、ロドリとフェルナンジーニョを併用していた。今回のソリューションが、どちらもプレイしないということだったのは、(悪しき伝説を継承する)自然な流れだったのかもしれない」
「ポルトにおけるチェルシー戦がリストに加わった。自業自得とまではいえないが、グアルディオラがチェルシー優勝に荷担した者と見做されたのは確かだ」
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更新ありがとうございます。
いやぁ…シティにとっては一転、CLとれなかった悔しいシーズンになってしまいました… 狙いが上手くいったトゥヘルと修正が間に合わなかったペップ。本当に残酷です。シティはプレッシャーか、連携もいまいちでしたね。ミドルも無かったし。
実力十分なだけに空回りでの敗戦は残念ですが、チェルシーに上手く消されたということなのでしょうか。
5バックなのに中盤も数的不利なのでおかしいなと思ってよく見ると、カンテが2人いただけでした笑
それも守備だけじゃなく、クリーンに奪いそのままカウンターのスイッチをいれる脅威の選手。レスター、W杯に続いて正に優勝請負人!
あと、ペップに三連勝した監督ってほとんどいなさそうです。監督交代で結果を出してきたチェルシーの中でも、トゥヘル獲得は大当たりでしたね…!
カンセロを出さなかった理由を公式にペップがコメントしているのでしょうか?
今のところ、今考えるベストな布陣で望んだ、としか言っていないような気がします。
体調不良とかならやむなしと思いますが・・・