2021.06.02 監督トピックス
カルロ・アンチェロッティ、退任。エヴァートンを知るジャーナリストの、あまりにもせつない惜別のレポート。
「経営ボード、選手たち、そしてエヴァトニアンのみなさんの多大なサポートに感謝しています。エヴァートンに関わるすべての人々を心から尊敬しており、彼らの目の前にあるエキサイティングな機会をものにすることを願っています。エヴァートンでの生活を楽しんできましたが、予期せぬ機会を得ました。私と家族にとって正しい身の処し方であると信じています」
驚きました。彼は来季もマージーサイドに腰を据え、プレミアリーグのTOP4をめざして戦うものと思っていました。2019年12月にグディソンパークにやってきたカルロ・アンチェロッティは、4年半の契約を結んでおり、ブラムリー・ムーア・ドックの新スタジアムオープンをマネージャーとして迎えるはずでした。
「2024年にここで契約を終えるということは、いい仕事をしたということだ。いい仕事をしたということは、2024年で契約は終わらず続くということだ」
長期的な視座をもってエヴァートンを強化するというミッションに、彼は満足しているように感じられました。少なくとも、プレミアリーグ2020-21シーズンが終わるまでは。彼とクラブの運命を変えたのは、土曜日にマドリードからかかってきた1本の電話でした。
ジネディーヌ・ジダンが去ったばかりのエル・ブランコからのオファー。「その瞬間から、エヴァートンは負け戦を繰り広げるばかりだった」。イタリア人監督との別れをレポートした「リヴァプール・エコー」のデヴィッド・プレンティスさんは、「アンチェロッティの気持ちを惹きつけ、抱きしめようとしたエヴァートンは、これ以上のことはできなかった」と綴っています。
「Carlo Ancelotti has turned his back on Everton but Toffees cruelly denied chance to stop him(カルロ・サンチェロッティはエヴァートンに背を向けた。トフィーズが彼を止めるチャンスは残酷に否定された)」と題された記事は、あまりにもせつなく感傷的でした。リヴァプールのフットボールシーンを30年にわたって書き連ねてきたジャーナリストは、アンチェロッティの就任が決まったときのサポーターの興奮について、昨日のことのように語っています。
「マルコ・シウヴァ、サム・アラダイス、ロナルド・クーマンといった前任者たちが、クラブの影響力の象徴であるグワラディス・ストリートで一度も歌われることがなかったのとは対照的に、彼の就任直後から『カルロ・マニフィコ!(偉大なカルロ)』というチャントが飛び交っていた」
プレンティスさんが悔やんでいるのは、18ヵ月という短い期間でプレミアリーグ12位、10位と発展途上に終わったことよりも、コロナウイルス感染拡大の影響下で名将がマージーサイドを満喫できなかったことのようです。「アンチェロッティは、パンデミックが始まる前、グディソン・パークで5試合を観衆に囲まれて楽しんだ。彼のチームは無敗だった」。就任から半年後、エヴァトニアンの熱狂を失った指揮官の苦闘について、レポートはこう描写しています。
「アンチェロッティのエヴァートンでの経験のほとんどは、空のスタンド、静まり返ったスタジアム、魂がこもらずやる気を失っているように見える選手たちという景色だった」
グディソンパークのスタンドでサポーターが見守るなかで戦えたのは、わずか3試合。2000人がいたチェルシー戦(3-1)とアーセナル戦(2-1)、6500人が足を運んだウルヴス戦(1-0)について、ジャーナリストは「3つとも圧勝だった。しかし、永続的な心の絆を築くには充分ではなかった」と回想しています。サポーターに囲まれたグディソンパークなら6勝2分と無敗だったのに、不在のホームゲームは4勝7分10敗と思うように勝てなかった指揮官は、ピッチの外でもハッピーとはいえませんでした。
「アンチェロッティはマージーサイドでの生活になじんでいるように見えた。クロスビー・ビーチにあるゴームリーの『アイアンメン』を愉しみ、デューク・ストリートのレストラン『イル・フォルノ』ではプライベート・ダイニングルームを与えられた。家族も市内外を行き来していたが、2月にクロスビーの自宅で起きた強盗事件が彼らを震え上がらせた」
それでも、コロナウイルスの蔓延が止まってスタジアムに熱狂的なサポーターが戻ってきたら、彼と選手たちの巻き返しが始まるはずでした。プレミアリーグで、彼よりも多額のフィーを得ているのはマンチェスターの両クラブのマネージャーのみ。1100万ポンド(約17億円)のサラリーに加え、プレミアリーグ残留を果たした際には250万ポンドのボーナスが支払われていました。
クラブは全幅の信頼を置き、エヴァトニアンたちは惜しみなく愛を注ぎ…すべてはこれから、そんな矢先に1本の電話がすべてを奪ったのです。プレンティスさんの無念が迸る最終章の一文で、この稿を締めたいと思います。
エヴァートンは、カルロ・アンチェロッティと触れ合った。しかしそれは、あまりにも短い時間であり、空虚で閉ざされた環境での出来事だった。
驚きました。彼は来季もマージーサイドに腰を据え、プレミアリーグのTOP4をめざして戦うものと思っていました。2019年12月にグディソンパークにやってきたカルロ・アンチェロッティは、4年半の契約を結んでおり、ブラムリー・ムーア・ドックの新スタジアムオープンをマネージャーとして迎えるはずでした。
「2024年にここで契約を終えるということは、いい仕事をしたということだ。いい仕事をしたということは、2024年で契約は終わらず続くということだ」
長期的な視座をもってエヴァートンを強化するというミッションに、彼は満足しているように感じられました。少なくとも、プレミアリーグ2020-21シーズンが終わるまでは。彼とクラブの運命を変えたのは、土曜日にマドリードからかかってきた1本の電話でした。
ジネディーヌ・ジダンが去ったばかりのエル・ブランコからのオファー。「その瞬間から、エヴァートンは負け戦を繰り広げるばかりだった」。イタリア人監督との別れをレポートした「リヴァプール・エコー」のデヴィッド・プレンティスさんは、「アンチェロッティの気持ちを惹きつけ、抱きしめようとしたエヴァートンは、これ以上のことはできなかった」と綴っています。
「Carlo Ancelotti has turned his back on Everton but Toffees cruelly denied chance to stop him(カルロ・サンチェロッティはエヴァートンに背を向けた。トフィーズが彼を止めるチャンスは残酷に否定された)」と題された記事は、あまりにもせつなく感傷的でした。リヴァプールのフットボールシーンを30年にわたって書き連ねてきたジャーナリストは、アンチェロッティの就任が決まったときのサポーターの興奮について、昨日のことのように語っています。
「マルコ・シウヴァ、サム・アラダイス、ロナルド・クーマンといった前任者たちが、クラブの影響力の象徴であるグワラディス・ストリートで一度も歌われることがなかったのとは対照的に、彼の就任直後から『カルロ・マニフィコ!(偉大なカルロ)』というチャントが飛び交っていた」
プレンティスさんが悔やんでいるのは、18ヵ月という短い期間でプレミアリーグ12位、10位と発展途上に終わったことよりも、コロナウイルス感染拡大の影響下で名将がマージーサイドを満喫できなかったことのようです。「アンチェロッティは、パンデミックが始まる前、グディソン・パークで5試合を観衆に囲まれて楽しんだ。彼のチームは無敗だった」。就任から半年後、エヴァトニアンの熱狂を失った指揮官の苦闘について、レポートはこう描写しています。
「アンチェロッティのエヴァートンでの経験のほとんどは、空のスタンド、静まり返ったスタジアム、魂がこもらずやる気を失っているように見える選手たちという景色だった」
グディソンパークのスタンドでサポーターが見守るなかで戦えたのは、わずか3試合。2000人がいたチェルシー戦(3-1)とアーセナル戦(2-1)、6500人が足を運んだウルヴス戦(1-0)について、ジャーナリストは「3つとも圧勝だった。しかし、永続的な心の絆を築くには充分ではなかった」と回想しています。サポーターに囲まれたグディソンパークなら6勝2分と無敗だったのに、不在のホームゲームは4勝7分10敗と思うように勝てなかった指揮官は、ピッチの外でもハッピーとはいえませんでした。
「アンチェロッティはマージーサイドでの生活になじんでいるように見えた。クロスビー・ビーチにあるゴームリーの『アイアンメン』を愉しみ、デューク・ストリートのレストラン『イル・フォルノ』ではプライベート・ダイニングルームを与えられた。家族も市内外を行き来していたが、2月にクロスビーの自宅で起きた強盗事件が彼らを震え上がらせた」
それでも、コロナウイルスの蔓延が止まってスタジアムに熱狂的なサポーターが戻ってきたら、彼と選手たちの巻き返しが始まるはずでした。プレミアリーグで、彼よりも多額のフィーを得ているのはマンチェスターの両クラブのマネージャーのみ。1100万ポンド(約17億円)のサラリーに加え、プレミアリーグ残留を果たした際には250万ポンドのボーナスが支払われていました。
クラブは全幅の信頼を置き、エヴァトニアンたちは惜しみなく愛を注ぎ…すべてはこれから、そんな矢先に1本の電話がすべてを奪ったのです。プレンティスさんの無念が迸る最終章の一文で、この稿を締めたいと思います。
エヴァートンは、カルロ・アンチェロッティと触れ合った。しかしそれは、あまりにも短い時間であり、空虚で閉ざされた環境での出来事だった。
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いやぁ、これは酷いですね。来季こそプレミアをもっと盛り上げてくれると思いましたが、レアルですか。