偏愛的プレミアリーグ見聞録

明日で決まるか、プレミアリーグ。アーセナルが本拠地エミレーツでチェルシーに負ければ、残り5試合で勝ち点13差。チェルシーは2分け3敗でもOKとなり、優勝がほぼ確定です。「スタジアムにいる全員がセスクに敬意を払ってほしい」とヴェンゲル監督が呼びかければ、「ヴェンゲルはライバルではない」とモウリーニョ監督がうそぶいたと伝えられるなど、イギリスメディアもあの手この手でビッグロンドンダービーを盛り上げようとしています。そんななかで、気になる情報がひとつ。「モウリーニョ監督は、17歳のドミニク・ソランケをスタメン起用するのではないか」という話が、「エクスプレス」をはじめ複数のイギリスメディアを駆け巡っています。ジエゴ・コスタ、ロイク・レミー、ドログバの3人がすべてケガをしていると報じられているチェルシーですが、いきなりソランケ！もし実現したら、これは注目です。

チェルシーサポーターならご存じの方も多いと思われますが、4月13日に開催された第2回UEFAユースリーグの決勝戦で、チェルシーのU-19チームがシャフタール・ドネツクを3-2で下して初優勝しました。このゲームで大暴れしたのが、今季トップチーム昇格を果たした主将のイザイア・ブラウンとソランケです。今季のUEFAユースリーグで12ゴールを挙げて得点王に輝いたソランケは、U-21プレミアリーグでも7ゴール。20日に行われたFAユースカップの決勝第1戦では、アブラハムとのコンビで2人で3発を叩き込み、マンチェスター・シティに快勝するなど、カテゴリをまたがる大活躍でモウリーニョ監督の目に留まっています。昨年のU-17ユーロで優勝を遂げたイングランド代表のエースストライカーは、3月にはFAの若手最優秀選手賞を受賞。1月にトップチーム昇格したイジー・ブラウン、ミドルスブラで17ゴールを挙げてチャンピオンシップMVPとなったバンフォード、今季一緒にゴールを量産し続けた同期の相棒アブラハム、あるいはこれから獲得するであろうドログバの後釜と来季のトップチームにおけるFWのポジションを争うところまで着実に成長しています。

「イジー・ブラウンとロフタス=チークはトップチームで起用する」と、来季以降の若手抜擢に積極的な姿勢をみせているモウリーニョ監督ですが、一方で「移籍市場では最大5名の選手を獲得することを検討中」とも報じられています。イギリスメディアが挙げている獲得候補は、ジエゴ・コスタ不在時の穴を確実に埋められそうなインテルのイカルディ、夏に移籍する見通しのGKチェフの後継者としてU-21イングランド代表GKのベッティネッリ、チームになじんでいないフィリペ・ルイスの代役アーロン・クレスウェル、高齢化したCBの次世代を託したいヴァランなど。最近、モウリーニョ監督の信頼感が落ちているように見えるラミレス、オスカルにも移籍の噂があり、コケやエジルなどスペインつながり系の派手な名前が並んでいます。

これらの選手を全方位的に獲りにいけば、来季も若手の出る幕はないでしょう。2014-15シーズンにおけるソランケのトップチームでの出場は、昨年10月に行われたチャンピオンズリーグ、マリボル戦の17分間のみ。プレミアリーグでは前節のマンチェスター・ユナイテッド戦でベンチ入りしたぐらいで、外国人の大物選手がクラブにやってくれば、イジー・ブラウンやクリステンセン、ロフタス=チークとベンチの端っこの席を争うか、今季のバンフォードのようにチャンピオンシップのクラブで揉まれる形になると思われます。モウリーニョ監督は、どこまで本気で若手抜擢を進めていくのでしょうか。

これを占うカギは、今季の残り5試合の起用にあるのではないでしょうか。いつ優勝が確定するのかにもよりますが、勝っている試合の途中出場でもモウリーニョ監督が若手を使うようであれば、来季は従来のスタメン固定スタイルと違ったチェルシーが観られるかもしれません。FAカップやユースのハイライト映像でしかチェックできておりませんが、ソランケ、バンフォード、イジー・ブラウンは、プレミアリーグでぜひ観たい逸材。MFはともかく、イタリアなどからストライカーを連れてくる必要はないのではないかと思います。エミレーツでの試合に背番号35のソランケ、出ますかね。アーセナル戦のスタメン発表が今から楽しみです。