【Everton×MAN.UTD】痛かったキャリックの不在。工夫なきマン・ユナイテッド、必然の敗戦!
開始5分のカウンターは、これぞエヴァートンという直線的で美しい攻撃でした。マタのクロスのクリアを拾ったマッカーシーは、ギアを一気にトップに上げてドリブルで持ち上がり、右に展開。折り返しのボールはDFに当たるものの、こぼれ球を持ち込んだマッカーシーは、ブリントとマクネアを簡単に抜き去り左のサイドネットに先制点を突き刺しました。体を当ててコースを切らなければならなかったブリントは、足を出すことすらせず、必要のないノーファールのゼスチャー。マクネアも形ばかり足を振るにとどまり、マンチェスター・ユナイテッドの守備陣は無力でした。エヴァートン1-0の7分、この試合最大のターニングポイントは、フェライニのシュートミスでしょう。敵陣でジョン・ストーンズからボールを奪った元エヴァートンMFの前にはGKハワードだけ。枠内に収めさえすれば絶対に入ったチャンスボールをフェライニは打ち上げ、貴重な同点機を逸します。
ここからのマンチェスター・ユナイテッドは、この日も欠場したキャリックの偉大さを証明し続けただけでした。今まで相手チームを苦しめてきたフェライニのヘッドにロングボールを合わせる攻撃は、前節のチェルシー戦同様に完全に読まれ、ジャギエルカとストーンズが対応。散らすボールしか出せないブリントは、ルーニーやサイドの選手を動かすことができず、ボールは持っているもののサイドからの単純なクロス以外にフィニッシュにつなげる手段がない時間が続きます。
それでも、19分にマタのFKに合わせたスモーリングのヘッドが決まっていれば、ペースを引き寄せることができたでしょう。このシュートがハワードの正面にいってしまうと、残念ながらセットプレーでも相手が1枚上であることを見せつけられます。35分、ニアに走り込んでCKの角度を変えたのはストーンズ。マーカーだったバレンシアは振り切られ、中途半端なポジションにいたフェライニも無力でした。2-0、完全に劣勢となったファン・ハール監督は、後半頭からフェライニを諦め、ファルカオ投入です。私は、これは機能しないだろうと思いました。DFラインの裏に入ってボールを呼び込もうとするファルカオこそ、キャリックのタイミングのいい縦パスが必要な選手です。
46分、ゴール前でこぼれ球を拾ったフリーのルーニーが振り向きざまのシュートを狙うと、GKハワードが足元に飛び込むビッグセーブでこれを阻止。後半もゴール前で決定機が創れない状況に、完全に追い込まれたファン・ハール監督は、63分にマタをディ・マリアに代えますが、こちらも機能しません。キャリックなきマンチェスター・ユナイテッドは、フェライニを抑えられたときのオプションが弱いのです。ルーク・ショーとアシュリー・ヤング、エレーラとバレンシアの連携で、サイドを完全に崩して精度の高いグラウンダーを入れるよりほかに手立てはなかったでしょう。いや、もうひとつだけ、ありました。もしかしたら、後半頭から入れるべきは、もうひとりの「ファ」、遠めからの強烈なシュートで世界を変えられるファン・ペルシだったかもしれません。
ベルギー人が機能しなかったマンチェスター・ユナイテッドは、74分、ベルギー人にとどめを刺されます。エヴァートン、カウンター。最前線のルカクの落としを受けたロス・バークリーは、ペナルティエリア左に浮き球をフィード。中にいたルカクがオフサイドだったために、マン・ユナイテッド守備陣は足を止めてしまいますが、左のミララスはオフサイドではありません。プロフェッショナルにあるまじきセルフジャッジでサイドアタッカーのひとり旅を許したマンチェスター・ユナイテッドは、3点めという熱すぎるお灸を据えられます。かくして3-0、しかもルーニーの負傷というおまけまでつけられて、マンチェスター・ユナイテッドは連敗。たった2週間でライバルのマン・シティに勝ち点5差をひっくり返され、プレミアリーグ4位に転落しました。
ダービーに完勝するなど、ずいぶんよくなっていたマンチェスター・ユナイテッドですが、今季の限界を象徴するような一戦でした。キャリックがいれば連勝、欠ければ連敗。わかりやすい。今のこのチームは、大事なポジションで主力がひとりでも欠ければクオリティが落ちてしまうのです。最終盤に痛いケガ人続出、そして痛い敗戦だったのは確かですが、残り4試合を落ち着いて戦えば、チャンピオンズリーグのグループリーグにストレートインできる3位は充分狙えます。まずは土曜日のWBA戦を勝ち切って、悪いムードを一掃すること。その翌日、トッテナムががんばってくれれば、いま一度マン・シティを引っくり返すことができます。キャリックの早い復帰とルーニーの軽傷を祈りつつ、プレミアリーグ3位フィニッシュを期待しましょう。
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今のマン・ユナイテッドはレジスタの役割をできるのがキャリックとルーニーしかいませんからね…。
ドルトムントからギュンドアンを獲ろうとしているのも、そこの脆弱さを自覚しているからかなぁと思っています。
技術・運動量・守備意識・視野の広さと四拍子揃ったギュンドアンは、世界屈指のレジスタです。腰の調子が問題なければ、的確な補強だと思いますね。
爪楊枝さん>
私もそう思います。キャリックもいい歳ですので、ぜひ補強していただきたいものです。
スコアも内容もひどかったですね。見るに堪えない試合でした。何よりも、選手の気持ちが伝わってこない! そこが一番残念でした。