イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

モウリーニョ監督、得意の皮肉でライバルをぶった斬り!…されたので反撃してみました。

「これは深刻なことだ。私の選手たちは、シーズンが始まってから最後まで、ふさわしいリスペクトを受けてこなかった」。チェルシーの年間表彰式で独演会を始めたモウリーニョ監督が、ライバルクラブを皮肉たっぷりにやり込めたプレゼンテーションの内容が「ESPN」をはじめとするメディアで紹介され、話題になりました。モウリーニョ第二次政権では初めて、クラブとしては5シーズンぶりのプレミアリーグ優勝は、マンチェスター・シティ以外に首位の座を脅かされることがなかったひとり旅。「称賛されてこなかった」などといわれると、「いやいやいやー、そんなことはありません。退屈だといった方が少々いたくらいで。すみません」とお詫びを申し上げたくなりますが、指揮官はいたくご不満の様子です。

モウリーニョ監督は、ライバルクラブの名指しはさけながらも、当日の会場に設置されたスクリーンにどことわかるユニフォームを映しながら、皮肉たっぷりにシーズンを総括してみせました。おもしろいので、一瞬「うまい!」と手を打ってしまいそうになるものの、時間が経つと、愛するクラブをネタにされたほうとしてはじわじわ悔しさがこみ上げてきます。まずは、素晴らしいプレゼンテーションの内容を、ダイジェストで再現してみましょう。最初にスクリーンに映し出されたのは、赤いユニフォームです。モウリーニョさんが語り出します。

「サッカーのピッチにあるのは、ゴールが2つとボールがひとつだ。ところがあるチームは、ゴールがないピッチでプレイするのを好んだ。そのチームは素晴らしいサッカーを披露して、ボールはよく動いた。ポゼッションは美しい。しかし、そこにはゴールがないんだ。彼らはFIFAにもそういうサッカーをすべきと主張したが、『それは不可能だ』といわれた。なぜならサッカーは、ポゼッションが高いチームがゲームに勝ち、チャンピオンになる競技ではないからだ」

ファン・ハールさん、お弟子さんがこんなこといってましたよ。チクりますから、覚えておきましょうね。続きましてはエントリーNo.2、水色のユニフォームです。どうぞ!

「また別のチームは、ゴールをひとつだけ置いてプレイすることを求めた。彼らはファンタスティックなチームで、さまざまポジションから多くのゴールを決めた。ところが、彼らは決して失点しない。ゴールがひとつしかないからだ。FIFAは彼らにいった。『残念だが、アナタがたはチャンピオンにはなれない。なぜなら、サッカーは2つのゴールで戦うものだからね』」

ペジェグリーニさん、プレミアリーグのTOP4のなかでは、いちばん多くのゴールを相手チームにプレゼントしたマンチェスター・シティがこんなことをいわれる筋合いはないですよね。来季はぜひ、相手チームに対して「使わないならうちのゴールは片付けておくよ」といえるぐらいのめちゃめちゃ攻撃的なサッカーで、モウリーニョさんを沈黙させてください。私からも、マンガラさんやデミチェリスさんに、ゴールがないことに誰も気づかないようにしてくれと念を押しておきます。さあ、次。こちらは赤なのですが、袖は白かったそうです。どうぞ。

「3つ目のチームは、ちゃんと2つのゴールでプレイした。多くのゴールを決め、いくつか失点もしたけど、彼らも素晴らしかった。ところが彼らは、FIFAに対して1月から4月だけプレイしたいといったんだ。残念ながら、リーグは8月から5月まで戦わないといけない。だから彼らはチャンピオンになれなかったんだ」

ヴェンゲルさん、ここです。いってやりましょう。「失礼な、1月から5月だ。FAカップはわれわれのものだ!」と。…すみません。やぶへびですね。ついては来季の今頃までに、気の利いた反撃を考えておきましょう。そして、最後に青です。モウリーニョさんのチームは、どれだけ美しいチームだとおっしゃるのでしょうか。自画自賛タイム、スタート!

「最後のチームは通常のサッカーのルールで戦った。彼らは、試合に勝つには相手よりひとつでも多くのゴールを決めなければならないことをわかっていた。そのためにどうするか。相手より多くのゴールを決めるか、失点せずに1ゴール決めるかだ。彼らはその両方をやった。数多く決めたときは、多少の失点もする。1ゴールだけのときは点を失わない。そうして彼らは、8月から5月まで戦った。ときにはバスを買ってでもね」

プレミアリーグ後半戦で見せた守備的な戦術を「ゴール前にバスを置く」といわれたことに、きっちり反論して終わったモウリーニョさんのプレゼンは、これにて終了。会場の雰囲気がどうだったのかはわかりませんが、プレミアリーグ優勝監督が身内に対して語った場ですので、爆笑の連続、大喝采で終わったのではないでしょうか。あれだけ強いところを見せつけられれば、ライバルクラブとしては反論できません。愛想笑いで「ですよねー」といって背中を向け、戻って練習に励むしかありません。

と、ここで終わっては、モウリーニョさん強いですね、トークもおもしろくて素敵です、とただのリスペクトになってしまいますので、ここから先は、「ライバルクラブが来季のプレミアリーグで優勝したら、スクリーンに青いユニフォームを映し出してどう皮肉るか」をやってみたいと思います。モウリーニョ大喜利、プレミアリーグIPPONグランプリの開幕です。どうぞ!

ファン・ハール監督
「あるチームは、ベンチには3人選手がいればいいじゃないか、プレイする顔ぶれはいつも同じなのだから、といった。しかし、プレミアリーグは長く、不運なことに負傷者が多いシーズンもあるものだ。そのチームの選手が疲労やケガでピッチを離れると、ゴール前にはマイクロバスしか置けなくなり、1月からは1ゴールだけのときに2ゴールを失うようになった。サッカークラブは、25人の選手で戦うものだ。ときには若手をピッチで育てて、ね」

アーセン・ヴェンゲル監督
「あるチームは、1点を奪ってハーフタイムに入ると2つのゴールを片付け始めた。後半は、このままのスコアでボールの奪い合いをするだけにしよう、とね。しかしFIFAは彼らにいった。『残念だが、後半に同点になったり逆転したりすることもあるのがサッカーだ。そうしないと、サポーターはあくびをして、そのうち帰り支度を始めてしまう』。獲れるときに多くのゴールを奪わないと、追いつかれることもあるものだ。前年のようにうまくいかず、いくつかの勝てる試合を終盤でドローに持ち込まれたそのチームは、後半の猛攻で数々の逆転勝利をものにした別の魅力的なチームにタイトルを奪われることになった」

ペジェグリーニ監督
「あるチームは、相手のピッチには5人以上入ってはいけないことにしよう。点を奪うにはそれで充分だろう、といった。ところが、チームによっては8人がゴール前で守っているのがサッカーであり、プレミアリーグだ。自陣のゴール前に止めたバスにいつも6人を乗せたそのチームは、負けないサッカーを展開する強力なチームだったが、ゴールが足りず、最終戦で奇跡的な逆転ゴールを挙げて勝ち点で追いついた別のチームに得失点差で敗れることになった」

さらに、フェアプレーランキング1位のリヴァプール・ロジャース監督もどうぞ。
「あるチームは、自分たちにはPKは認めるが相手チームには認めなくてもいいことにしよう、といった。PKに値するのは不当なファールを受けたチームだけで、それを判断するのは自分たちだ、と。しかしFIFAは首を横に振って彼らにいった。『PKをジャッジするのはレフェリーだ』。ダンスや抗議に夢中になると、大事な試合を失うことになりかねない。レフェリーの笛が鳴った時にすべきことはただひとつ。次のプレイに集中することだ」

以上、モウリーニョさんの強い強いチームのウィークポイントは、ざっとこんなところでしょうか。来季は、上記のクラブから秀逸なプレゼンテーターが現われることに期待しましょう。チェルシーサポーターのみなさま、申し訳ありませんが、おたくのボスが勝てば官軍とばかりに放言したので、言われっぱなしはカンベンと、ささやかな抵抗を試みたばかりでございます。強いがゆえに、安心していじらせていただきました。ぶっちぎりでプレミアリーグ優勝を果たした税金と思っていただいて、笑ってお許しいただければ幸いでございます。(ジョゼ・モウリーニョ 写真著作者/cfcunofficial )

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“モウリーニョ監督、得意の皮肉でライバルをぶった斬り!…されたので反撃してみました。” への5件のフィードバック

  1. a より:

    管理人さん、さすがの文章力ですね、ものすごく面白かったです。特にロジャース監督のダンスや抗議に夢中になりすぎると〜のくだりは最高でしたw

    身内だけの場だったとはいえ、いささかモウさん、器が小さくなってる気がしますw

  2. M より:

    チェルシーファンだからこそ言いますが、優勝できた以上監督にはあまり他チームのことは冗談でもいじらないでほしいですね
    まぁ身内のお祝いですし、こういうやりとりも文化なのかもしれないですが…

  3. ルーニー より:

    こいつはとりあえず人を馬鹿にしないと気が済まないんですかね
    非常に不愉快です。

  4. モウ より:

    これがイギリスのブラックジョークというものでしょうか?
    今回のは身内を盛り上げるためのものなので、個人的にはありかなと思ってしまいました。
    ただ、来季もリーグ戦で今季のようでなければ、相手監督やファンの方々に壮大な皮肉が飛んで来そうですね。
    管理人さんの皮肉は今は笑ってられますが、来季には顔を真っ赤になって反論していないように願うばかりです(笑)

  5. VOO より:

    ブログ主さん渾身の皮肉で笑いました。
    まあそれとは別に世の監督さんは軽い気持ちでモウリーニョを皮肉ると「失敗のスペシャリスト」とか十倍にして叩き返されるので、さわらぬが吉とは思います(笑)

コメントを残す