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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ヤヤ・トゥレ残留でほっと一息マンチェスター・シティ。来季の希望はポグバか、それとも…!

ヤヤ・トゥレの代理人、ディミトリ・セルク氏が「スカイスポーツ」に対して「ヤヤは90%の確率で移籍する」と語ったのが5月9日。本命はマン・シティの前監督である恩師マンチーニさんのインテルだとされ、財政難のイタリアの古豪に対して移籍金の額を下げるべく、ヤヤ・トゥレが契約解除を求めたと報じられたのは5月19日でした。おそらく、ヤヤ・トゥレ自身も大幅な年俸ダウンを呑んでインテル行きを画策したのだと思われますが、このたび、セルク氏が語った90%はついに100%になりました。ただし、結論は真逆です。インテルとは破談となったようで、5月30日、やり手の代理人はヤヤ・トゥレはプレミアリーグに残留すると語りました。

「ヤヤは残る。シェイク・マンスールに懇願された。君はとても重要な選手であり、クラブ買収以来初めての大物選手で、クラブはどこにも売るつもりはないといわれれば、残らないわけにはいかない。 これはいい話だった。ヤヤはお金を求めているといわれがちだが、われわれが求めてきたのはリスペクトだ。お金だけを要求したことはない」

セルクさんという人は、どうも食えない人ですね。今回のインテル移籍騒動について、アフリカ史上ナンバーワンMFがお金のために移籍を考えたとは誰も思わないでしょう。わざわざ余計なことをいうので、却って「お金の話が多いですね」といわれてしまいそうです。ともあれ、代理人発言を受けて、31日にはヤヤ・トゥレ本人が地元紙「マンチェスター・イブニング・ニュース」にクラブに残るとコメントしました。

「私は確実にここに残る。ファンは何も心配しなくていい。私がめざすのは、チームをよくするためにベストを尽くすこと。特にチャンピオンズリーグは、自分にとって最も大きな目標のひとつ。このステージでは、(マンチェスター・)シティは長い間(マンチェスター・)ユナイテッドの陰に隠れていた。彼らはすでに優勝経験があるから、サポーターは『俺たちのほうが上だ』といってくる。私は自分たちを応援してくれるファンのために、チャンピオンズリーグのタイトルを獲りたい
「ここまで長い時間、僕の名前を叫んでくれるクラブは初めてだ。僕らには大切な友人であるファンがいて、彼らはいつも歌ってくれる。こういったものはお金では買えないね

これにて、恒例行事となりつつあった「ヤヤ・トゥレ出る出る祭り」は終わったようです。マンチェスター・シティにとっては大きいですね。ランパードがアメリカに去り、ミルナーの移籍は決定的。チャンピオンズリーグの登録メンバーから外れたヨヴェティッチは、プレミアリーグに何かを残すことなくイタリアにUターンする見通し。今季プレミアリーグで4ゴールと不振だったジェコも、クラブを離れる可能性大でしょう。来季は30代の選手ばかりになるマン・シティは段階的に世代交代を進めなければなりませんが、この夏一気に主力を5人も失うとなれば、運よくお目当てのポグバが獲れたとしてもチーム力維持は難しくなっていたでしょう。ヤヤが残ってくれて、補強がmustのポジションがストライカーとサイドアタッカー、攻撃的MFに絞られれば、まずは万力込めてポグバとスターリング獲得にアクセルを踏めそうです。

マンチェスター・シティにとって最大の懸念は、ここ3シーズンの新戦力獲得に空振りが多く、ダヴィド・シルヴァ、アグエロ、ヤヤ・トゥレ、ナスリ、クリシーなど2010年~2011年に獲得した選手がずっと主力を張っていること。言い方を変えれば、ここ数年、チームの成長が鈍化しているともいえるわけで、明確なプラスはフェルナンジーニョとヘスス・ナバスぐらい。デミチェリスはまずまずですが、おそらく完全移籍となるであろうネグレドをはじめ、ロドウェル、シンクレア、ナスタシッチは既にクラブを離れ、昨夏加入のマンガラとフェルナンドも未だプレミアリーグにフィットしているとはいえません。

2015年、外せない夏。アーセナルやレアル・マドリードがビダル獲得を決めればポグバは絶望的。デブライネはあまりにも高額。スターリングが獲れたとしても、ミルナーとジェコの穴を両方埋めろというのは酷でしょう。聞こえてくる話からは希望が感じられないマンチェスター・シティですが、彼らの希望は、外ではなく内にあるのかもしれません。ウィルフリード・ボニー2年めの覚醒と、ナイジェリアの宝石・イヘアナチョの大抜擢。18歳のFWが2015-16シーズンのハリー・ケインになれるかどうかは、来季の指揮官にトッテナムのポチェッティーノ監督のような胆力があるかにかかっているように思います。

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