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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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紆余曲折の1年半…サウジアラビアの投資グループによるニューカッスル買収が決定!

「プレミアリーグ、ニューカッスル・ユナイテッドFC、セント・ジェームス・ホールディングス・リミテッドは、本日、PIF、PCPキャピタルパートナーズ、RBスポーツ&メディアのコンソーシアムによるクラブ買収を巡る争議を解決した」

一時は暗礁に乗り上げていたプロジェクトが、ようやく妥結しました。サウジアラビアの政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」を中心に進められていたニューカッスルの買収が決定。2007年5月に1億3400万ポンドでクラブを買ったマイク・アシュリーは、3億ポンド(約456億円)を得てステージを降りることになりました。

「フットボール・ロンドン」のアーロン・カターソン=レイド記者が、「ジェットコースターのような1年半」と形容した交渉は、2020年4月に伝えられたPIFの取引合意がスタートラインでした。プレミアリーグのオーナーたちは、いくつかの重大な問題を抱えているサウジアラビアのクラブ支配を懸念。カタールの放送局「beIN Sports」によるプレミアリーグの試合中継をインターセプトしていたという疑惑、女性やLGBTに対する人権侵害問題などが解決しない限り、買収は認められないと主張しました。

紆余曲折を経て、ようやく着地に至ったわけですが、当初指摘されていた問題がクリアになったわけではありません。PIFが買収資金の80%を出すというスキームは、1年半前と変わっておらず、唯一解決した放映権侵害問題は買収決定後の和解です。それでも彼らの参入が認められたのは、イングランドサイドがリスクヘッジできたからです。「BBC」は、「プレミアリーグは、サウジアラビア国家がクラブを支配しないという法的拘束力のある保証を得たため、承認した」と伝えています。

アシュリーの14年は、暗黒の時代でした。彼がやってくるまで6年連続で欧州チャレンジを続けていたクラブは、チャンピオンシップに2度も降格するなど、苦しいシーズンが続きました。唯一納得のいく結果を得たのは、パピス・シセ、デンバ・バ、キャバイェ、ベナルファ、アメオビ、クルルを擁して5位に食い込んだ2011-12シーズンのみ。チーム強化に消極的だったオーナーがようやく去ると知ったサポーターたちは、セント・ジェームズ・パークに集まって歓喜の声を挙げたと報じられています。

ニューカッスルは、マンチェスター・シティのように強くなるのでしょうか。私の見立ては、「可能性はあるが時間がかかる」です。急いで強化したくても、ADUGがマン・シティを買ったときにはなかったFFPのルールを遵守しなければなりません。「フットボール・ロンドン」の記者が、専門家の算出による投資の限度額を紹介しています。

フットボールファイナンスのエキスパートであるキーラン・マグワイアさんによると、ニューカッスルが許容される損失は、3年間で1億500万ポンドだそうです。獲得する選手がすべて4年契約とすると、1シーズンで1億5000万ポンド~2億ポンドならプレミアリーグの制限内に収まるとのこと。2500億ポンドの資産を有するPIFといえども、相当うまくやらなければ、いきなりEL出場権獲得とはいかないでしょう。

ひとたび上位に進出すれば、52000人を収容できるセント・ジェームズ・パークと情熱的なサポーターというアドバンテージが活きてきます。アーロン・カターソン=レイド記者は、「オーナーが効率的な投資を拒んでいるトッテナムとアーセナルは、取り残される危険性がある」と主張していますが、プレミアリーグの勢力図はこれからの数年で大きく変わるのでしょうか。いずれにしても、サポーターの94%が解任を望んでいるスティーヴ・ブルースは…。


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