偏愛的プレミアリーグ見聞録

「プレミアリーグ2015-16シーズン・6月決定の移籍選手一覧　(1)順調⇔難航が両極端の上位クラブ編」より続きます。後篇では、昨季プレミアリーグのボトム10だったクラブと、2015-16シーズンの昇格組の補強状況を紹介します。11位に終わったエヴァートンのロベルト・マルティネス監督は、3年めの来季が勝負の年。マンチェスター・ユナイテッドのセントラルMFトム・クレヴァリーと、以前にレンタル呼び寄せた際に強い印象を残したデウロフェウの獲得までは、文句なし。ルカクやミララスがクラブに残るかがポイントですが、主力の引き留めに成功すれば、ディスタンが抜けた最終ラインの修繕にシフトすることができるでしょう。

アップトンパークで戦う最後のシーズンとなるウェストハムのパイェ獲得は、大ヒットになるとにらんでいます。マルセイユで36試合7ゴールと活躍した28歳のアタッカーは、つい先頃フランス代表初ゴールを記録し、脂が乗り切った状態でイーストロンドンにやってきます。サンプドリアから獲得したオビアングも、層が厚いとはいえない中盤を締める存在として期待できます。もう1～2チーム、6月の積極補強が目立ったクラブを挙げるとすれば、岡崎慎司を獲得したレスターと、チェルシーからレンタルしてきた期待のアタッカー、クリスティアン・アツをはじめ4人の獲得に成功したボーンマスです。

逆に気になるクラブは、アストン・ヴィラとニューカッスルという昨季プレミアリーグで降格寸前だったコンビです。マイカ・リチャーズを獲得し、シンクレアの完全移籍を決めたヴィラは、片やで戦力外と見做したヴァイマンとダレン・ベントを放出しました。彼らの最大のリスクは、移籍の噂が絶えないベンテケとデルフを失うこと。この2人の代わりを連れてくるのは至難の業で、最悪の事態を避けられなければ彼らは来季こそ降格のスタンプを押されるでしょう。「アシュリー会長やめろコール」が鳴りやまないニューカッスルは、噂はいろいろあるものの未だ沈黙。長期的な成長プランも直近の目玉となる補強も見えない北の古豪は、シーズンチケットが30％売れ残るなど、サポーターからも愛想を尽かされつつあります。この分だと、スティーヴン・マクラーレン新監督をもってしても、来季プレミアリーグでも残留争いに巻き込まれることになりそうです。

以下に、昨季のボトム10と昇格クラブの6月獲得選手をまとめました。下位クラブの動きが本格化するのは、各クラブの骨格が決まって戦力外となる選手がはっきりする7月中旬以降の可能性大です。

■プレミアリーグ2015-16シーズン・獲得＆放出決定選手リスト
エヴァートン
■加入
MF/トム・クレヴァリー（←マンチェスター・ユナイテッド）
MF/ジェラール・デウロフェウ（←バルセロナ）
■退団 /なし

ウェストハム
■加入
GK/ダレン・ランドルフ（←バーミンガム）
DF/スティーブン・ヘンドリー（←ハミルトン・アカデミカル）
MF/ペドロ・オビアング（←サンプドリア）
FW/ディミトリ・パイエ（←マルセイユ）
■退団/なし

WBA
■加入
MF/ジェームズ・マクリーン（←ウィガン）
■退団
MF/グレアム・ドランス（→ノリッジ）
MF/ケマル・ルーフェ（→オックスフォード・ユナイテッド）

レスター
■加入
DF/ロベルト・フート（←ストーク）
DF/クリスティアン・フックス（←シャルケ04）
FW/岡崎慎司（←マインツ）
■退団 /なし

ニューカッスル
■加入・退団/なし

サンダーランド
■加入・退団/なし

アストン・ヴィラ
■加入
DF/マイカ・リチャーズ（←マンチェスター・シティ）
MF/スコット・シンクレア（←マンチェスター・シティ）
■退団
DF/マシュー・ロートン（→バーンリー）
MF/ヤクバ・シラ（→レンヌ）
FW/アンドレアス・ヴァイマン（→ダービー）
FW/ダレン・ベント（→ダービー）

ボーンマス
■加入
GK/アルトゥル・ボルツ（←サウサンプトン）
GK/アダム・フェデリーチ（←レディング）
FW/クリスティアン・アツ（←チェルシー/ローン）
FW/ジョシュ・キング（←ブラックバーン ）

■退団 /なし

ワトフォード
■加入
GK/ギエドリュス・アルラウスキス（←ステアウア・ブカレスト）
DF/セバスティアン・プレドル（←ブレーメン）
■退団/なし

ノリッジ
■加入
MF/グレアム・ドランス（←WBA）
MF/ユースフ・ムルンブ（←WBA）
■退団/なし

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