偏愛的プレミアリーグ見聞録

これは、うれしいです！マンチェスター・ユナイテッドがシュヴァインシュタイガーとダルミアンの獲得を一気に発表しました。ドイツ代表111試合23ゴールのセントラルMFと、重戦車のような迫力あるオーバーラップでイタリア代表の攻撃を活性化する右SBは、昨季プレミアリーグで62得点と冴えなかったマンチェスター・ユナイテッドの得点力を飛躍的に上げてくれるのではないでしょうか。

マンチェスター・ユナイテッドの公式サイトを仕切るプロデューサーは、喜びのあまりにフライングしたのでしょうか。シュヴァインシュタイガーについての広報は「移籍決定」ではなく「バイエルン・ミュンヘンとの獲得合意」。メディカルチェックはこれから、年棒720万ポンド（約14億円）といわれる個人契約は完了しておりません。破談になる要素を残したタイミングでの発表は、クラブの盛り上がりと期待の大きさを表現しているように感じてしまいます。31歳の選手との3年契約であることを考えれば、移籍金1500万ポンド（約29億円）は結構な金額ではありますが、シュヴァイニーほどのベテランが何もできずに契約期間を終えることはないでしょう。ブンデスリーガで8度の優勝を重ね、2012-13シーズンにはチャンピオンズリーグを制している彼の経験は、若い選手が増えてきたチームにとっては貴重です。バイエルン・ミュンヘンで2年間一緒に戦ったファン・ハール監督にとっては、最高に心強い補強なのではないでしょうか。

喜びさめやらぬなか、マンチェスター・ユナイテッドは確率変動がかかったパチンコ台のように、もうひとつの重要なディールが完了したことを発表しました。セリエAのトリノからプレミアリーグ参入を果たしたマッテオ・ダルミアンのほうは、既にメディカルチェックも終えて、公式サイトにご本人の声も紹介されています。

「マンチェスター・ユナイテッドに加入するという夢がかなった。トリノでの時間は楽しかったし、僕にしてくれた全てのことに対してクラブとファンには感謝している。世界最大のクラブに加わるチャンスが与えられたら、決断しなければならないことを彼らは理解してくれると思う。サッカーの世界で多くを成し遂げてきたファン・ハール監督と一緒に仕事ができるのが楽しみだ」

契約期間は4年、1年の延長オプション付き。以前に「スカイスポーツ」が報じていた移籍金は、1290万ポンド（約24億円）にオプション200万ポンド （約3億7000万円）が加算されるというものでした。こちらもまた、安い買い物になるのではないかと期待しています。ミランとパレルモで芽が出なかったダルミアンは、トリノで覚醒し、セリエA146試合に出場。2014年のワールドカップブラジル大会でイングランド相手に見せた衝撃的な攻め上がりを、プレミアリーグで観られると思うとテンションが上がります。彼のよさについては、私が長々と語るよりも、公式サイトでファン・ハール監督が語った言葉を紹介したほうがいいでしょう。

「右SBのマッテオは左サイドでもプレーできる万能型。攻撃参加の能力が高く、強いDFだ。彼が持つ資質は、リズムが速いプレミアリーグではとても必要とされる。マッテオはチームにとって素晴らしい補強となるだろう。歓迎する。一緒に働くのが楽しみだ」

いや、うれしいです。最前線にルーニー、両サイドにはデパイ、ディ・マリア、アシュリー・ヤング、バレンシアらが入り、マタとフェライニがルーニーのすぐ下。セントラルはシュヴァイニーとキャリック、ブリントが締め、エレーラは中であれば前でもやや後ろでも、と戦力はかなり充実してきました。最終ラインは、ダルミアン、フィル・ジョーンズ、ロホ、ルーク・ショーの4枚が私の好みです。おそらく移籍することになるファン・ペルシの後釜を決めれば、この夏の補強は終えてもいいのではないかと思います。…この場はせっかくのうれしいニュースのご報告ですので、あのポジションのお話だけは、忘れさせていただいてもよろしいでしょうか。シュヴァイニー＆ダルミアン、素晴らしい。グッジョブ！