やはりレアル・マドリードは強かった!ドルトムント、堤防決壊寸前からの生還
CL準決勝、スペインVSドイツ第1弾は、第1戦4-1、第2戦0-2でトータル4-3、ドイツのドルトムントに軍配が上がりました。このゲームのMVPを挙げよといわれれば、ロマン・ヴァイデンフェラーでしょう。4分にイグアインと1対1になったシーンではシュートを右足でブロックし、13分にクリスティアーノ・ロナウドが至近距離から打ったボレーを大きく弾き、15分のエジルの右からの抜け出しには早い飛び出しでコースを切って枠を外させ、3本の決定的なピンチをゼロに抑えました。ドルトムントの勝因は、82分まで相手にゴールを割らせなかったこと。もし、早いうちにレアル・マドリードに先制されていれば、結果は違うものになっていたでしょう。
14分に、ドルトムントのマリオ・ゲッツェが負傷交代となり、急遽グロスクロイツを入れるというアクシデントがありましたが、かえってこれがドルトムントの戦い方を「後方で受けてカウンター狙い」と決めたのではないでしょうか。試合開始からしばらくはDFラインの裏を狙われてピンチが続きましたが、クロップ監督から指示があったのか、ペナルティエリア前までラインを下げて守ることによって、ゲームを落ち着かせることに成功しました。中盤の底を厚くし、ボールを外に追い出し、奪取したら素早くサイドに展開。それにしても、ドルトムントの中盤はよく走りました!3点を獲らなくてはいけないレアル・マドリードには気負いがあり、特にクリスティアーノ・ロナウドは、いつもよりもトラップやボールタッチのミスが目立ちましたが、ドルトムントの寄せ方のうまさによるところも大きかったでしょう。
前半は0-0で終了。後半に入ると、一転してドルトムントの逆襲がスタート。前がかりになるレアル・マドリードの攻撃をブロックすると、少人数でスピーディーなカウンターを仕掛けます。50分、マルコ・ロイスからのパスを受けて抜け出したレヴァンドフスキが、GKとの1対1から右足を思い切り振り抜き、強烈なシュートがGKディエゴ・ロペスを破りますが、無情にもクロスバー。62分にもマルコ・ロイスが右サイドを突破し、自陣から長い距離を走って上がってきたフリーのギュントガンにラストパス。ギュントガンの決定的なシュートは、ディエゴ・ロペスがビッグセーブ!両チームのGKの必死の守りで、スコアがなかなか動きません。
ファーストレグでは、4点獲られるまで動かなかったモウリーニョ監督でしたが、この日は積極的な采配を見せます。57分にイグアインをベンゼマ、SBのコエントランをカカに代え、DFを3枚に減らして必死の攻勢。しかし、ドルトムントの守備が堅い。ゴール前でのクリアはセーフティファースト、中盤で奪えば速攻と、レアル・マドリードにペースを握らせません。依然として3点差。80分を過ぎ、ラスト10分。さすがの「白い巨人」も不発に終わるかと思われたのですが、本当の勝負はここからだったのです。
83分、カカから右サイドのエジルにパスが出たとき、わずかにドルトムント守備陣の戻りが遅れました。これを見逃さなかったエジルは、中央にグラウンダーのアーリークロスを通します。そこに飛び込んだのはカリム・ベンゼマ。ついにドルトムントのディフェンスを突破し、レアル・マドリードが先制。これで、2試合トータル2-4。ドルトムントは、あと1点までなら獲られてもOK。差は2点あるのですが…。
この土壇場では、もはや点差など無意味ですね。ここからのレアル・マドリードとサンチャゴ・ベルナベウを埋め尽くしたサポーターの熱狂は凄かった。ドルトムント守備陣をゴール前に釘づけにする怒涛の猛攻と、後押しする大歓声。テレビで観ている私が恐怖を感じたくらいですから、ドルトムントの選手たちは、冷静さを保つのは大変だったでしょう。80分間、1点も入らなかったのに、2点めは先制点のわずか5分後。クロスボールが左サイドに流れ、これをベンゼマがゴールライン際で拾うと、上がってきていたセルヒオ・ラモスに高速パス。背番号4は、ワントラップして迷わず左足シュート!これがゴール上に刺さり、3-4。もう1点獲れば、アウェイゴールの差でレアルマドリードの大逆転です。時計は90分をまわり、追加タイムは5分。勢いは完全にホームチーム。セットプレーになるとGKディエゴ・ロペスまでゴール前へ。鳴り止まない大歓声。ピッチ内の指示の声など、もう聞こえないでしょう。ドルトムントのファールが増え、何本もクロスが放り込まれます。しかし…95分30秒を過ぎ、主審のハワード・ウエブさんの笛に抱き合って喜んだのは黄色いユニフォームのほうでした。ドルトムント、16年ぶりの決勝進出!
この勝負のカギは、緒戦の後半、モウリーニョ監督が1-4とされるまで動かなかったことではないかと思います。前半終了間際に1-1に追いつき、悪くない展開だったので、1-2と勝ち越されたとき、積極的に2点めを獲りにいってもよかったのではないか、と。セカンドレグで及ばなかったのは、3点獲らなくてはと選手たちが焦り、試合を通じてシュートの正確性を欠いたことも大きいと思います。
それでも最後は首の皮1枚。レアル・マドリードの底力を実感しつつも、相手の攻め方・守り方を観察して臨機応変に対応したクロップ監督と、マイウェイにこだわったモウリーニョ監督の違いが、今回はドルトムントに味方したように思えてなりません。3年連続で4強止まりとなったレアル・マドリードですが、ピッチが狭く見える高速パスを駆使したサッカーの素晴らしさは、しばらく脳裏に焼き付いて離れないような気がします。(写真はロマン・ヴァイデンフェラー)
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