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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

チェルシー、リヴァプール、トッテナムの不調3クラブ、巻き返しのカギはどこにある?

プレミアリーグ5試合で1勝1分け3敗、勝ち点4はもちろんモウリーニョ監督のキャリアワースト。チェルシーとしても、これだけの出遅れでシーズンを始めたのは、1988-89シーズン、チャンピオンシップで6試合3勝ち点と最悪のスタートを切ったとき以来27年ぶりです。守備が悪い、中盤がスペースを埋められていない、ジエゴ・コスタが動けていない、アザールが不調、ベゴヴィッチはネイズミスの3点めは止めないと…などなど、要因を指摘する人たちの目線はまちまち。とりわけ最近チェルシーを好きになったサポーターのみなさんは、出口が見えない不振という初めての体験にストレスをためていることでしょう。

多くのポジションが同時に悪いということは、モウリーニョ監督のチームが抱えている問題は「自信喪失」「焦り」「余裕のなさからくる集中力低下」など、メンタルにあるのではないかと思います。こういうストレスフルなときは、過去同じように出遅れたチームのひどさとその後の巻き返しぶりを確認して、「まだ序盤戦。大したことはないさ」とつぶやくのがいいかと思います。最近5シーズンでいえば、この2つがいいのではないでしょうか。

まずは、2011-12シーズンのアーセナル。プレミアリーグ開幕戦をリヴァプールに2-0で敗れた後、マンチェスター・ユナイテッドに何と8-2で大敗。1分け2敗というピンチに、ヴェンゲル監督唯一の黒歴史、最初で最後の「最終日に4人まとめてパニック・バイ」が発動したシーズンです。パク・チュヨンとアンドレ・サントスは大ハズレでしたが、メルテザッカーとアルテタは現在も主将と副主将。時間がないなかエイヤーで獲ってきて2勝2敗なら、結果的には悪い買い物ではなかったと思われます。アーセナルは、ノースロンドンダービーに敗れて2勝1分け4敗となった後、8節から5連勝して復活。2月には10戦9勝1敗という驚異的なラッシュを見せ、6位チェルシーや4位トッテナムをかわしてプレミアリーグ3位でフィニッシュしています。

そしてもうひとつは、2014-15シーズンのマンチェスター・ユナイテッド。1年前にサー・アレックス・ファーガソン監督が引退。後を継いだモイーズ監督がシーズン半ばで解任となった前季はプレミアリーグ7位に終わり、ファン・ハール監督を招聘した最初のシーズン。開幕戦でスウォンジーに敗れると、サンダーランドとバーンリーにドローに終わり、5節のレスター戦では5-3の大逆転負け。プレミアリーグ1勝2分け2敗に、キャピタルワンカップでのミルトン・キーンズ・ドンズ戦4-0惨敗のおまけまでついて、モイーズ以下の低調なスタートとなりました。トップリーグの経験がないマクネアやブラケットを使わざるをえない野戦病院状態、新選手のフィットは遅れそうで、ビッグセーブ連発のデ・ヘア以外に好材料なし。最悪だった前年よりも順位を下げるのではないかとさえ思われたチームは、アーセナル同様、11月8日のプレミアリーグ第11節、クリスタル・パレス戦からの6連勝で復活。最終的には4位となり、チャンピオンズリーグ出場権なしという屈辱の季節を1年で止めました。

この2例から見えてくるのは、監督に明確なコンセプトがあり、選手のポテンシャルが高いチームであればいずれ強さは戻ってくるということです。チェルシーは現在17位ではあるものの、2位マンチェスター・ユナイテッドとの勝ち点差はたったの6。ダブルを決めれば並ぶギャップです。ファンのみなさんは、今のところはディープインパクトの競馬を見るがごとく、強烈な差し足に期待していればいいのではないかと思います。問題は、「いつ復活するか」ですね。今週末のロンドンダービー、アーセナル戦からアクセルを踏めれば優勝争いに残る可能性もありますが、昨季のファン・ハール監督のように11月まで引っ張ってしまうとCL出場権確保を現実的な目標とせざるをえなくなります。ウェストハム、リヴァプールというやっかいな相手が続く10月末までに、メンタルコンディションを昨季の状態にチューニングしておきたいところです。

チェルシーよりも気になるのは、戦い方が定まらず、低調な内容のゲームが続くリヴァプールとトッテナムです。ロジャース監督のリヴァプールは、昨季と同じ轍を踏むことなく早期にフォーメーションを確立することが重要でしょう。サイドプレイヤーが少なくFWの頭数が揃っている現状のメンバー構成を考えれば、ジョーダン・アイブとコウチーニョをサイドに配した4-2-3-1と、ベンテケとスタリッジが並んでコウチーニョがその下に入る4-3-1-2の併用がいいのではないかと思います。いずれにしても、ヘンダーソン、フィルミーニョ、コウチーニョからひとりをトップ下に置いたほうが、FWを孤立させることなく攻めに厚みをもたらすことができるのではないでしょうか。ベンテケのクオリティは、昨季までのFWよりは数段上です。ロジャース監督が迷わず、攻撃の形を創れれば、ウェストハム戦以外に大きな失敗はしていないチームは充分巻き返せると思われます。

日曜日のサンダーランド戦で素晴らしい決勝点をマークしたライアン・メイソンの足首は大丈夫でしょうか。レッズ同様にゴールが奪えないトッテナムは、エリクセンが戻ってくるまではガマンするしかありません。司令塔が復帰し、デル・アリとソン・フンミンが機能するようになれば、ソルダード、アデバヨル、パウリーニョ、ラメラとパッとしない選手が多かった昨季よりもおもしろいサッカーが観られるのではないかと思います。得点力もさることながら、長い眼で見たときに重要なのは、むしろ昨季芳しくなかった守備陣の整備でしょう。2点リードから追いつかれたストーク戦、先制点の1分後にマフレズにやられたレスター戦のようなゲームを減らせなければ、昨季は最終盤でひっくり返したリヴァプールに上にいかれてしまう可能性も充分にあります。

チェルシーはメンタル、リヴァプールは骨組み、トッテナムは守り。早期に改善を図れれば、試合数はたっぷり残っています。引き続き、不振の3チームの巻き返しに注目してまいりたいと思います。と、その前にチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグ、がんばってください。ボルドーとアウェイで当たるリヴァプール以外は、心配しておりませんが。

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“チェルシー、リヴァプール、トッテナムの不調3クラブ、巻き返しのカギはどこにある?” への6件のフィードバック

  1. 汗かきスター より:

    更新お疲れ様です。
    リヴァプールは、やはりロジャース主導の移籍市場では無かったなぁと思いますし、ロジャースのしたいサッカーに合う選手が少ない為、可哀想に感じる部分も沢山ありますが、やはり、持ってる駒でどうやりくりをするのか柔軟性が欠いている様に感じます。

  2. 新参 より:

    パニックバイ…懐かしいですね(笑)
    週末のダービーは勝利してほしいですが、ライバル2チームに元気がないとおもしろくないです。特にチェルシーはコミュニティーシールドで勝ったとはいえ、プレミアで元気なチェルシーに勝たなければ苦手意識は完全に払拭できないと思います。

    週末は昨シーズンのシティ戦のように現実的に守りを固めて、昨シーズンより精度の高まったカウンターで刺すのか。それとも、哲学を貫き、執拗に左をサンチェス&エジルで突き、チェルシーの不安定な右サイドを崩壊させるのか。はたまた、ナーバスになってチェルシーを復調させてしまうのか(めっちゃありそう)。楽しみです。

  3. レッズファン より:

    更新お疲れ様です。チェルシーがここまでフラつくとは正直考えていませんでした…3年目のジンクスにまたしても悩まされるのでしょうか?リバプールは肝心のロジャースがブレているように感じており、一度結果をきにしないシーズンを設定しないと土台が固まらずにジリ貧だと思います。スワンズの躍進を支えたロジャースがお家芸のポゼッションを捨てて、勝ち点も落とすのはまるで生産性がないですから。スパーズは…ある意味安定といいますか、守備の良いクラブというイメージがないのでもっと攻めきるスタイルの方が他所から見る分にはワクワクしますね^^;q

  4. トーレス より:

    更新いつもご苦労様です。
    私は残念ながらロジャースは二の轍の踏むと
    予想

  5. トーレス より:

    いつも楽しく拝見させて頂いております。
    私はロジャースは昨年の二の轍を踏むと予想します。
    ロジャースが来てから成功したと言える選手は
    あまりに少なく自分の戦略に当てはめることだけで
    選手の長所はほとんど生かそうとしない。
    今成功してると言える選手は万能型が多く
    ハッキリ言ってやり繰りは無理だと思います。
    これだけの選手がいるのにも関わらず残念です。

  6. makoto より:

    お疲れ様です。何時もチェルシーの事ばかりボヤいていますので今日は止めときます。ポチェッティーノのハイラインハイプレスは元々守備の設計は微妙なので前線から押し切れ無いとキツイですね。ベラヒーノが取れなかったのが一番の原因じゃ無いでしょうか?ベンタレブ&メイソンのコンビが昨シーズンの疲れを引きずってるのかも知れませんね。そう言う意味ではストーンズが取れずにマティッチが疲弊しているチェルシーに似ていますね。ロジャー・シュミットと並んでモウリーニョの次に好きな監督なのでスパーズには頑張って貰いたいです。

    —–
    汗かきスターさん>
    フィルミーノの使い方は難しそうですが、他の選手は活かしようはあるのではないかと思います。柔軟性の問題はあるでしょうね。イタリアの監督は、もっとうまくやっているイメージがあります。

    新参さん>
    私は、どちらが勝ってほしいはないのですが(どちらが勝ってもマン・ユナイテッドとしては悪くないので)、攻めダルマ状態のアーセナルを観たいと思いつつ、カウンターでエジルのひと刺しが決まったら、それはそれでテンションが上がりそうです。

    レッズファンさん>
    モウリーニョさんのキャリアは3ヵ月、9か月、1年半、3年3ヵ月(=4年め)、2年、3年。チェルシーの3年めはFAカップとリーグカップ優勝でプレミアリーグも2位なので、3年めのジンクスという報道には違和感を覚えてしまいます。ロジャースさんは、おっしゃりとおり昨季以降はブレているように感じます。攻めに徹していただきたいですね。

    トーレスさん>
    今までの戦いぶりを見ていると賛同しそうになるのですが、昨季よりもメンバーのポテンシャルは高いので、ここは腹に力を入れて「今後に期待」としたいと思います。

    ペドロさん>
    前線が獲れなかったのもさることながら、エリクセンとセントラルMFのバックアッパーが弱いのが気になります。昨季以上にELとプレミアリーグの両立に悩まされそうですね。

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