【West Ham×Chelsea】マティッチ退場、指揮官退席のチェルシーはキャロルのヘッドに沈む!
チェルシーらしい攻撃が観られたのは8分。ウィリアンのヒールパスをセスクがダイレクトでDFラインの裏に落とすと、走り込んだジエゴ・コスタのシュートは大きく上に外れます。こういう形は、昨季の彼なら落ち着いて枠に入れていたのではないでしょうか。ウェストハムは、ランジーニがよく動いてスペースを創り、司令塔パイェがパスを出しやすい状況を創っています。16分、きれいな弧を描いたパイェの直接FKは、ベゴヴィッチがセーブ。左からの直後のCKは、ニアにいたジエゴ・コスタがクリアを空振りしたのが命取りになりました。ファーサイドから思い切ったボレーを放ち、ニアポストぎりぎりを射抜いたのはマウロ・サラテ!彼を自由にさせてしまったアザールのポジションは、いかにも中途半端でした。昨季のプレミアリーグでは、ほとんど先制点を許さなかったチェルシーは、またしても1点を追わなければならなくなりました。
チェルシーのサイドの選手にボールが渡ると一気に引いてくるウェストハムに対して、ブルーのユニフォームはもらう動きもスペースを創る仕掛けも少なく、中盤でボールをまわしたまま攻めあぐみます。頼みの綱はセットプレーで、30分にセスクが入れた危険なCKはGKアドリアンが横っ飛びでクリア。32分のウィリアンの直接FKは壁を抜けて左隅を襲いますが、これもアドリアンがセーブします。35分、セスクの右CKにズマが競り勝ち、基本通りに叩きつけたヘディングシュートはゴールライン上でランジーニがクリア。テクノロジーは、わずか1~2センチだけボールがラインにかかっていると示しています。
直後のカウンターで、ドリブルで突進するクヤテをマティッチが手で止めてしまい1枚めのイエロー。39分、パイエの素晴らしいヒールパスからランジーニが抜け出し、GKと1対1になるも左足のチップキックを打ち上げてしまいます。1-0のまま前半が終わろうとしていたのですが、43分から立て続けに事件が起こります。
伏線は、43分に右からシュートを決めたセスクが、クレスウェルよりぎりぎりで出ていたとしてオフサイドを取られたこと。1分後、マティッチがサコを両手で抱えて倒してしまい2枚めのイエローで退場。レフェリーの元にチェルシーの選手たちが駆け寄ると、セスクとジエゴ・コスタに次々とカードが出されます。薄く笑みを浮かべているモウチーニョ監督は、納得していないでしょう。さらに直後、抗議をしたのかコーチが退席処分となり、ハーフタイムが明けたピッチには、セスクと代わるミケルはいても、モウリーニョ監督の姿がありません。どうやら、異議を唱えて指揮官も退席となってしまったようです。1点ビハインドのアウェイチームは、ただでさえ10人なのに、監督の指示を得られないなかで戦わなければなりません。
危機感が、一体感を醸成したのかもしれません。後半に入り、チェルシーがボールを奪う位置が高くなりました。55分、CKをズマが競ると、こぼれ球を決めたのはケーヒル!10人のチームが追いつきました。有利だったウェストハムは、安全運転の意識が強すぎたかもしれません。先にゴールを奪えそうなのは、動きがよくなってきたアウェイチームです。
59分、ウェストハムは、パイェが左から持ち込みノーブルへクロス。ヘッドで落としたボールをサラテが右足で叩くも、ベゴヴィッチがセーブします。同点になり、ウェストハムは攻めなければという意欲が再燃したようです。61分、ジエゴ・コスタがノーブルの中途半端なバックパスを追いかけますが、飛び出したアドリアンが先着。69分には、左にいたパイェがウィリアンをリフティングでかわし、ボレーシュートを放ちます。彼は、少し前ならプレミアリーグのトップクラブが獲得していた選手でしょう。中堅クラブのウェストハムに、このレベルの選手が入る時代になったのかとため息が出ます。
78分、ここまでは鋭いドリブルが見られなかったアザールが左サイドをえぐり、ラミレスにラストパスを出すと、シュートはDFに阻まれGKがキャッチ。ここまでのチェルシーは、時折左サイドからパイェに危険なボールを出されていたのが気になるぐらいで、失点の気配はありませんでした。しかし79分、テリーのクリアミスをノーブルに拾われ、左のクレスウェルに展開されると状況は一変します。ふわっとした山なりのボールの落下点は、10分前にピッチに入ったキャロルと、13センチ小さいアスピリクエタという最悪の組み合わせとなっていたゴール前でした。キャロルのヘッドにベゴヴィッチは触れず。2-1とされたチェルシーは、ウィリアンのFKしか突破口がなく、再び追いつくことはできませんでした。
セスクが右から前線に出る形は、チャンピオンズリーグのキエフ戦でも見られ、あのときはGKにストップされたシュートを今度は決めたかと思ったのですが…。チェルシーには厳しい判定となり、ここからゲームは一瞬でウェストハムに傾いてしまいました。後半、気迫のこもったプレイでチームを鼓舞していたケーヒルと、高い運動量で最後までゴールをめざしていたウィリアンはよかったものの、いい選手はいつも同じで、冴えない選手の顔ぶれが変わらないのが気になります。ドリブルで仕掛ける回数が少なく、イーブンの勝負でも外に逃げてしまうアザールは自信喪失に陥っているようにみえます。ファルカオを入れるより、早い時間帯にアザールをオスカルに代えたほうがよりゴールに近づけたかもしれません。キックミスの頻度が高く、ボールウォッチャーになるシーンが目立つテリーと、チャレンジが少ないアザールが心配です。
チェルシーが10人になったとはいえ、ウェストハムが勝者に値するいいチームだったことは間違いありません。中盤でチェルシーの選手を追いかけまわしていたクヤテ、高い技術でチェルシー守備陣を手こずらせていたパイェ、思い切りのいいシュートを決めたサラテとキャロル、そしてそのキャロルに勝負を託したビリッチ監督の采配をリスペクトしたいと思います。プレミアリーグ3位に上がったウェストハムは、次戦は得意のアウェイでワトフォード。マティッチも指揮官も不在となりそうなチェルシーは、よりによってクロップ監督のリヴァプール戦です。(アンディ・キャロル 写真著作者/Egghead06)
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審判の判定がホーム寄りなのを今のチェルシーだと受け入れる余裕が無く乱れやすくなってる印象でした
プレミアリーグ大好き!さん>
もしかして、古くからのファンでいらっしゃいますか?いい悪いはともかく、昔はもっとあからさまなホームタウンディシジョンがありました。試合を観ているときは、チェルシーの選手とスタッフのみなさんには「これぐらいのことで、乱れたりせずにこらえてください」という気持ちもありました。微妙なジャッジだったので、文句をいいたくなる気持ちはわかりますが。
モウリーニョとクロップがベンチ前で並ぶのを見たかったので残念です
核となるアザールやマティッチが不調で、さらにツキもないし日程もキツいという踏んだり蹴ったりな状態ですね。
モウリーニョも選手もイライラしているのか、相手が嫌がるプレーに関しては世界最高峰だった戦術でも冷静さ狡猾さが失われている気がします。
次節対戦のリバプールサポとしては、この状態のチェルシーに当たれてラッキーと思いながらも、次の試合も、この先のリーグ戦でもモウリーニョがただで終わるはずがないだろうなと戦々恐々としています。
相変わらずアザールやウィリアンがハーフウェーラインを越えてまで下がってきてボールを受け取ってドリブルしてましたね。代わりにサイドバックが高い位置に上がったりするわけでもなく、PA内に入る選手も少なく前線が手薄になる状況が直りません。
前はマタやオスカルがPA内で壁になってアザールとワンツーしてアザールシュートというシーンがありましたが、最近はそういったアイデアもほとんど見られませんし、個で仕掛けることが常態になってしまって連動がほとんど無くなってることが問題なんじゃないでしょうか…。
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A・スミスさん>
そうですね。確かに。残念です!
NA28さん>
DFラインの裏を狙うようなプレイがないですよね。セスクはよくなってきているとは思いますが、昨季の素晴らしかった頃と比べると、正直なパスばかりです。
パチさん>
賛成です。アーセナルと比べると、連動性がなさが目立ちます。キエフ戦はペナルティエリアに入る選手の数が増えていたのですが、逆戻りしてしまいました。