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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

絶好調ヴァーディ、ピザのその後、岡崎高評価、川島が練習参加…5位躍進のレスターがアツい!

10試合を消化したプレミアリーグの順位表のTOP6に、チェルシーの名前がないなどという状況は、誰も想像できなかったでしょう。ロジャーズ監督が解任となったリヴァプールも9位で足踏みしており、トッテナムは何とか6位。代わって上位に食い込んでいるのは、ビリッチ新監督を迎えて3位に躍進しているウェストハムと、こちらも新指揮官のラニエリ監督で5位につけたレスター。アーセナル、リヴァプール、マンチェスター・シティ、チェルシーと大物食いで話題になっているウェストハムの得点22は、首位のマンチェスター・シティに続くプレミアリーグ2位。レスターは20ゴールで3位につけており、アーセナルやマンチェスター・ユナイテッドを上回っています。

ただしレスターはハマーズと比べて失点も多く、最下位アストン・ヴィラと並ぶ17を数えます。これだけゴールを許してプレミアリーグ最少の1敗をキープしているというのは、過去に例がないのではないでしょうか。彼らが驚異的なのは、10試合のうち3試合で0-2の劣勢から追いついていることです。岡崎慎司、ジェイミー・ヴァーディ、マフレズといった疲れ知らずの快速アタッカーが揃っており、少人数でゴールが奪えるのが彼らの強みです。10戦10ゴールで目下のところプレミアリーグ得点王、7戦連続ゴール中のヴァーディには、「レアル・マドリードが獲得を検討している」という極上のゴシップも出ています。怪しい情報ではありますが、直近の活躍に対する賛辞と素直に捉えればいいのではないでしょうか。

さて、そんなレスターからは、順位表の数字だけでなく、複数の明るいニュースが伝わってきています。まずは、直近の試合にまつわる話からいきましょう。ディープなプレミアリーグファン、あるいは岡崎慎司選手のファンなら、レスターのラニエリ監督の「ピザおごる発言」を覚えてらっしゃる方も多いでしょう。

「選手たちに、クリーンシートで試合を終えられたらピザをおごるといったのだが、どうも私の選手たちはピザはほしくないようだ。彼らはピザが好きじゃないのかね。『豪華なディナーはどうだろう』といわれるのを待っているのだろうか。いや、それよりももっといいオファーを待っているのかもね。ピザだけじゃなくてホットドッグもほしい、とかね」(本ブログ9/19記事「クリーンシートで勝ったらピザをおごろう…ラニエリ監督、ここはプレミアリーグです!」より)

9月中旬、0-2からは追いつけても、相手をゼロで抑える試合がなかったことを課題に感じていた指揮官は、インセンティブをぶら下げてチームの奮起を促したのですが、さっぱり効果なし。ノリッジ戦を除けば、ハーフタイムに失点なしで引き揚げてきたゲームすらありませんでした。ところが10月24日、プレミアリーグ第10節。好調クリスタル・パレスと当たった彼らは、ヴァーディの一発で完封勝ちをおさめ、監督からの宿題をクリア。この試合の後には、やはりというかまさかというか、衝撃の新事実も発覚しました。指揮官とMVPのコメントをどうぞ。

「彼(ゴールを決めたヴァーディ)にとっても、私たちにとっても、大きな達成感だ。ファンもうれしかっただろう。彼にはピザを1枚半ごちそうしようか。明日の練習で、いつピザを食べたいか選手たちに聞こうと思っている。シャンパンとピザは、最高というわけではないが悪くはない。ピザは炭水化物だし、筋肉にいいんだよ」(クラウディオ・ラニエリ)
「結局、僕らには勝ち点3を獲得する資格も、監督がおごってくれるピザの資格もあったということになるね。僕はピザは好きじゃないんだけどね」(ジェイミー・ヴァーディ)

ああ、わかりやすい片思い。いや、ヴァーディさん、今さらそれをいうなら、1ヵ月前に「ローストビーフがいいな」などといっておきましょうよ。ゴールしたのが岡崎慎司であれば、監督はもっと気を遣ってもらえたかもしれませんが、イギリスで選手を盛り上げるためにはピザは微妙だとわかったのが収穫です。その岡崎は、クリスタル・パレス戦では6試合ぶりにベンチスタートとなったものの、63分からの出場で「スカイスポーツ」に7点という高評価をもらいました。出場時間30分未満、ゴールなしの選手にプラスの採点がつくこと自体が稀で、彼の献身的なチェイシングや縦パスのさばきが、今のレスターには必要と受け止められているようです。ただし私は、この評価や印象は善し悪しあるのではないかと思います。2節のウェストハム戦でプレミアリーグ初ゴールを挙げてから沈黙している岡崎が、ゴールを決められない理由のひとつに、「選手たちが”岡崎がいる布陣=守備重視”という理解をしている」ことがありそうだからです。

ビハインドを背負ったゲームで岡崎をハーフタイムで代え、リスクをとって攻撃にシフトする戦い方が多いのが、今のレスターです。戦術理解の問題以外にも、「クロスが上がるときに岡崎がファーサイドに入りがちで、サイドの選手が小柄な彼に合わせない」「ヴァーディが前、岡崎が後ろという配置になることが多く、岡崎が最終ラインの裏を取る動きが少ない」「ヴァーディ、マフレズがドリブル大好きで自分で打ちたがるため、中央でのワンツーなど岡崎を絡めて連携で崩す形が少ない」など、日本代表のストライカーがシュートを打てない理由はいくつかあるように見えます。

セリエAもご覧になる方は、その昔、アドリアーノとムトゥという持ち過ぎくんたちが次々と明るくシュートを打ってしまい、中田英寿が置いてきぼりを食っていたパルマを思い出すのではないでしょうか。岡崎慎司にどうやってゴールを決めさせるかは、ラニエリ監督の課題でもあります。幸い、監督の信頼と周囲の評価はそれなりについてきているので、今後の活躍に注目しましょう。

最後のニュースは、日本人選手のお話です。現在、所属チームを失っている日本代表GKの川島永嗣が、レスターの練習に参加しています。プレミアリーグのクラブに合流するのは初めてとなる川島は、「欧州トップリーグのトレーニングを肌で感じることができて、GKとしてまた新しい刺激を受けている。(岡崎は)ドイツで結果を出したのにそこで満足せず、プレミアリーグで新しいスタイルを追求している。素晴らしい機会を与えてくれたレスターに心から感謝します」と、メッセージを発信しています。ラニエリ監督は、「今のところは獲得は考えていないが、絶対ないとはいえない」と玉虫色ですが、あまり期待し過ぎず、秘かにプレミアリーグ3人めの日本人選手の誕生を心待ちにしたいと思います。入団できたとしても、カスパー・シュマイケルとポジションを争うのは大変ですが、悔いのないよう、貴重な欧州での時間を過ごしてください。以上、熱く明るいレスター最新情報でした。(クラウディオ・ラニエリ 写真著作者/Roberto Vicario)

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