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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「BBC」のレポートを熟読!「ルカクには何が足りず、どこで間違えたのか?」

Less than 12 months later the Belgium striker is leaving the club in arguably one of the most expensive transfer mistakes in Premier League history(あれから12ヵ月足らずで、ベルギー人ストライカーは、プレミアリーグ史上最も高価な移籍金のミステイクのひとつといわれながら、クラブを去ることになった)」

ロメウ・ルカクが7年ぶりにチェルシーに復帰すると聞いたときは、チャンピオンズリーグを制したチェルシーに唯一欠けていたパーツが埋まる極上の補強としか思えませんでした。ウェストブロム、エヴァートン、マンチェスター・ユナイテッドでは、プレミアリーグで7年連続2ケタゴールを続け、トータル201試合96ゴール。インテルではセリエA72試合47ゴールとペースアップしており、全盛期という言葉がぴったりでした。

プレミアリーグ経験は充分。フィジカル勝負は望むところで、空中戦もOK。サポートがないと空気と化してしまうワンタッチゴーラーではなく、縦に突破してフィニッシュに持ち込むこともできます。プリシッチ、ツィエク、カイ・ハヴェルツ、コヴァチッチ、マルコス・アロンソ、リース・ジェームズ…ピンポイントクロスも気の利いたスルーパスも、完全に崩してラストタッチをまかされるシーンもあるクラブで、ルカクはキャリアハイの数字を残すはずと信じていました。

「子どもの頃からチェルシーを応援してきた。今こうして戻ってきて、多くのタイトルを獲得する手助けができるのは、素晴らしい気分だ」
「長い旅だった。多くの学びが必要な子どもとしてここに来たけど、さまざまな経験を積んで、成熟して帰ってこられた」

スタンフォード・ブリッジへの帰還を喜んでいるようにみえたストライカーは、プレミアリーグで3戦3発という華々しいパフォーマンスを披露した後、たった3ヵ月で疑心暗鬼に陥ってしまいました。冒頭で紹介した一文は、ベルギーのエースの10ヵ月を端的に表現しています。「BBC」のガリー・ローズ記者が立てた見出しは「What went wrong for striker at Chelsea?」。モチベーションが高かったはずのストライカーは、どこで間違えてしまったのでしょうか。

最初のつまずきは、CLのゼニト戦以降の6試合ノーゴール。2つめは、マルメ戦で負ったケガが癒えた後、ベンチスタートが続いたことです。12月上旬に受けた「スカイイタリア」のインタビューで、起用法に不満を漏らしたことが年末に発覚。指揮官と話し、関係は修復されたように見えたのですが、その後の彼は前線で孤立する姿ばかりが目立ちました。

年明けからの公式戦24試合で6ゴールを挙げているものの、チェスターフィールド、ルートン、ミドルズブラ、ウルヴス、リーズという相手の顔ぶれを見ると、苦しい5ヵ月だったといわざるをえません。

「BBC」の記者の結論は、「インテルもルカクも望んでいない売却だった」。幸せだったミラノに思いを残していたために、「負傷明けに無理をさせない」というよくある采配をネガティブに受け取り、ストレスを溜めてしまったという見立てです。

なるほど。ルカクに足りなかったのは、3つの「C」なのかもしれません。Commitment(主体的に勝ちにいく姿勢)、 Communication(指揮官との目線揃え)、Comprehend(システム・戦術の本質的な理解)。チェルシーのファンジン「cfcuk」でライターを務めるティム・ロールズさんは、ルカクが機能しなかった理由をこう語っています。

「ジエゴ・コスタを獲得すると、すぐにチームに影響を与えた。彼はリーダー的存在だったが、ルカクはその正反対だった。他のフォワードたちは、ルカクがリードしてくれると期待していたのかもしれない。しかし彼はそうしなかった。われわれは舵を失ったままだった」

インテルとチェルシーは690万ポンド(約11億5000万円)のローン手数料で合意と伝えられています。イタリアで失敗したら、行き場がなくなるのではないでしょうか。いや、成功しても…インテル、チェルシー、ルカクはどうするのか?ウェストロンドンのクラブが、悪者になるか損切りを強いられるかの究極の選択を迫られそうです。「BBC」の記者は、こんな言葉で記事を結んでいます。

「彼はインテルで最高のサッカーをしたと感じていた。インテルが彼を理解し、彼もインテルを理解していたのは明らかだ」
「彼は、決して去るべきじゃなかったんだ」

(ロメウ・ルカク 写真著作者/Vyacheslav Evdokimov)


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