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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Aston Villa×MAN.CITY】マン・シティ相手に勝ち点1ゲット!新生ヴィラに感じる期待と不安

何せ、プレミアリーグ首位と最下位の対戦ですので、フラットにいえば「最も盛り上がらないカード」のはずです。しかし、この試合には2つばかり、興味深い視点がありました。ひとつは、アストン・ヴィラの新指揮官レミ・ガルドさん(フランス語では”デ”ではなく”ド”ですね)が、どんなサッカーを見せてくれるのか。そして今ひとつは、チャンピオンズリーグのセビージャ戦でダブルを決めたマンチェスター・シティが、激戦直後のアウェイ戦でどこまでいいパフォーマンスを維持できるのか。プレミアリーグ首位クラブの注目のスタメンは、セビージャ戦からヘスス・ナバスをデブライネに代えただけ。コンパニ、オタメンディ、サニャ、コラロフの最終ライン。アンカーに入るフェルナンドの前に、フェルナンジーニョ、ヤヤ・トゥレ、デブライネ、スターリングの4枚。トップにボニーという4-1-4-1の布陣です。

試合開始直後から、積極的に攻めているのはホームのアストン・ヴィラ。マンチェスター・シティは、セビージャ戦とは別なチームのようにスローです。舵取り役のカルロス・サンチェスが左右に展開しながら、ヒル、アマヴィ、シンクレアがサイドを崩していくホームチームに対して、中盤はある程度持たせながら最終ラインでカットする守り方。攻勢に転じて、最初のシュートをフェルナンドが打つまで16分もかかりました。ヴィラのほうもグイェのミドル以外にシュートを打てず、30分までのトピックスは、ハムストリングを痛めたボニーがヘスス・ナバスと代わったことぐらいです。その後も、ヴィラ・パークが湧いたのは、ペナルティエリア内でスターリングとクラークの接触に笛が鳴らなかったシーンと、カルレス・ヒルに触れたかどうか微妙なプレイでオタメンディがFKとイエローカードを取られたときぐらいです。ペナルティエリアやや右からのFKは、ヒルがうまく落とせずクロスバーの上。淡々とした前半は、グザン、ジョー・ハートの両GKに特段の仕事がないまま終わってしまいました。

後半が始まると、ファビアン・デルフのアップにヴィラ・パークが騒然とします。自らの残留宣言を1週間で反古にしてマン・シティに移籍した元キャプテンは、よりによってこの試合がプレミアリーグ復帰戦となるのでしょうか。リードを奪うべくギアを上げたマン・シティは、50分の右サイドからのFKをコラロフが危険なエリアに蹴り込みますが、ヴィラ守備陣がクリア。53分、ヘスス・ナバスの完璧なクロスを中央でフリーになったスターリングがヘディングで合わせますが、これはGKに近すぎ、グザンが頭に当ててCKに逃れます。

ガルド監督最初の選手交代は、ヒルをエンゾグビア。直後の65分、右サイドを崩したヘスス・ナバスの素晴らしいグラウンダーは、珍しくデブライネがシュートミスして0-0は変わりません。70分、オフサイドラインぎりぎりで縦パスに反応したエンゾグビアが右サイドをえぐり、中のシンクレアに合わせるもオタメンディが頭でクリア。ガルド監督はさらにシンクレアをバクナに代え、サイドでの劣勢を改善しようとしています。ヤヤ・トゥレに代わったデルフの登場には、やはり大ブーイングでした。77分、ヴィラのカウンターはジョー・ハートの鋭い飛び出しで摘まれ、直後のコラロフの左足はグザンの頭上を越えていきます。

84分、両チーム最後の切り札。ガルド監督はアイェウをゲステデで高さで勝負、ペジェグリーニ監督はスターリングをイヘアナチョです。92分、マンチェスター・シティのCKは、至近距離からフェルナンドが放ったヘッドがバーを直撃。こぼれ球を狙ったオタメンディ、さらにそのクリアを右隅にコントロールしたデルフと、3本のシュートがいずれも決まりません。やがて、タイムアップの笛。プレミアリーグ首位クラブから勝ち点を奪うという、最高に近い船出となったガルド監督はガッツポーズです。

「チャンピオンズリーグ燃え尽き症候群」とでもいうべきマンチェスター・シティは、淡泊なサッカーに終始し、あっさり勝ち点を落としてしまいました。ホームチームを枠内シュートゼロに抑えた最終ラインはよかったのですが、ヤヤ・トゥレ、フェルナンジーニョ、デブライネにいつもの輝きがなく、ここぞというチャンスでのシュートがことごとく枠に嫌われてしまいました。

ガルド監督は、コンパクトな陣形をキープしたパスサッカーを実現させようとしているのでしょうか。スウォンジーのようなチームに仕上がればおもしろいのですが、判断が早いとはいえないカルロス・サンチェスとヴェレトゥーが中盤の軸では厳しそうです。アフェライ、ボージャン・クルキッチ、シャキリ、アルナウトヴィッチとテクニシャンを揃えたストークでもチームづくりに苦労していることを考えれば、グリーリッシュ、シンクレア、アグボンラホル、アイェウ、ヒル、アマヴィ、ゲステデといった面々を活かして、シンプルに「高さと速さ」で攻めたほうが、短期的には結果を出しやすいように思います。新指揮官は、足元の結果と輝かしい未来を両取りすることができるのでしょうか。プレミアリーグから落ちたことがない名門の立て直しは、相当難易度の高いプロジェクトになりそうです。(レミ・ガルド 写真著作者/cropped by Shory)

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