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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Liverpool×WBA】シュート数28対4をドローに持ち込んだ、ピューリス監督のしたたかさ

これぞアンフィールドという素晴らしい雰囲気です。プレミアリーグ第16節、リヴァプールVSウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン。リヴァプールは、デヤン・ロブレンとシュクルテルがCBに入り、コウチーニョとヘンダーソンがスタメンです。ミルナー、エムレ・ジャン、ララナ、ベンテケが揃い、フィルミーノとルーカスがベンチに控える布陣はベストといっていいのではないでしょうか。疲れていたマン・シティ、空回り気味だったマン・ユナイテッド、省エネのアーセナルと観続けてきたので、レッズとWBAのアグレッシブな姿勢にテンションが上がります。11分、ヘンダーソンがナサニエル・クラインを使い、クロスを受けたミルナーが中のベンテケに決めさせようとするも、ガードナーがクリア。直後にマコーリーのクリアが小さくなったところを拾ったコウチーニョは、シュートを打ち上げてしまい先制はなりません。

レッズの攻撃を仕切るのは、視野が広く展開力があるエムレ・ジャンです。17分、彼が左に流したボールをアルベルト・モレノが中に入れると、ベンテケの頭にはわずかに高く、シュートを打ちきれません。直後、WBAが逆襲。ガードナーの右からの突破はレッズ守備陣が冷静に対処し、中に入れさせません。すると21分、ついに来ました、キャプテン・ヘンダーソン!左にいたコウチーニョがファーに出したロングフィード、落としたララナのヘッドとお膳立ては完璧。中央に走り込んだヘンダーソンは、GKマイヒルに当てないようにインサイドでプッシュするだけでした。1-0としたリヴァプールは、豊富な運動量で中盤でボールを奪い、テンポよく攻撃を仕掛けます。28分にはWBAにチャンス。左からの折り返しを受け、エムレ・ジャンのスライディングをかわしたモリソンが左足でボレーを放ちますが、これは大きく右に外れます。

しかし30分、アウェイチームがセットプレーを活かしました。高く上がったボールをミニョレがかぶってしまい、サロモン・ロンドンの落としをドーソンが押し込み1-1。ミニョレは34分にもタッチライン際に出ていってボールを奪われそうになり、アンフィールドのスタンドがどよめきます。38分、アルベルト・モレノのクロスをゴールに背を向けて胸で止めたベンテケが、トリッキーな右足アウトのシュートを放つと、惜しくもポストの左。46分、FKを押し込んだモリソンのゴールは、一度は認められたもののオフサイドで取り消しとなりました。前半は1-1、シュート数は13対2。多くの時間を攻撃に費やし、コウチーニョやヘンダーソンが積極的にミドルを狙ったリヴァプールにとって、イーブンのスコアは不本意でしょう。

51分、左からのクロスをベンテケがヘッド。54分、ミルナーのFKをデヤン・ロブレンがヘッド。リヴァプールは、ゴール前で競り勝ちながらもシュートを枠に収められません。58分、ララナのグラウンダーを叩いたベンテケのボレーもゴールの右。クロップ監督の手元には、フィルミーノ、オリギ、ジョーダン・アイブがいます。70分の最初のカードは、プレミアリーグ復帰初戦でスタミナに不安があるコウチーニョをジョーダン・アイブでした。劣勢だったWBAは、73分にまたもセットプレーをものにしました。ニアでデヤン・ロブレンより先に触ったヨナス・オルセンのゴールは、ブルントのCKが完璧でした。

75分、デヤン・ロブレンがボールを蹴り出したガードナーに膝をキックされ、担架で運ばれるアクシデント。クロップ監督は、オリギを入れてより攻撃的な布陣にシフトします。78分、ベンテケのスルーパスでララナがGKと1対1になると、右隅を狙ったシュートはマイヒルがビッグセーブ。86分に入ったフィルミーノは、92分に左からきわどいクロスをファーに落とすも、シュクルテルがシュートを打てません。これまでかと思われた試合は、96分に動きました。左から突破を図り、ひとりかわして態勢を崩しながらも立て直し、思い切りよくミドルシュートを放ったのは、ディボック・オリギ。DFに当たったボールが右隅に飛び込み、逆に動いていたGKマイヒルはどうしようもありません。20歳のストライカーのプレミアリーグ初ゴールにガッツポーズで喜びを表現し、スタンドを煽るクロップ。最後まで攻めたレッズでしたが、9分の長い追加タイムにこれ以上のドラマはありませんでした。シュート数28対4、無念の2-2。順当勝ちするはずだったゲームは、GKのミスで流れが変わり、ドロー決着となってしまいました。

リヴァプールのセットプレーの守備に課題があるのは確かですが、この試合は、WBAのプレースキックの精度の高さを称賛すべきだと思います。取り消されたFKからのゴールも含めて、「三発三様」のボールと選手の動きは、相当練習を積んでいるはず。強いチームとのアウェイ戦は少ないチャンスを活かさなければいけないと、CKやFKの際の決め方をチームに叩き込んだピューリス監督のしたたかさが勝ち点1という結果を導いたのではないでしょうか。逆にレッズは、ここぞというシーンでクロスがずれてしまい、体勢がよかった選手を活かすことができませんでした。後半開始からの攻めていた時間帯に勝ち越しゴールを奪えていれば、楽にゲームを進められていたでしょう。

シュートが正確なコウチーニョやヘンダーソンに、ポストプレーから打たせる形はクロップ監督の狙いのひとつで、ロジャース監督時代にはこれほど多くのシュートシーンは見られませんでした。いつもシュートが少ないマンチェスター・ユナイテッドは、彼らのシンプルなプレイを見習うべきです。このサッカーを続けていけば、多少失点しても3点獲り返して勝つチームになれるでしょう。ミニョレのミスは残念でしたが、「信じてそのまま進め」だと思います。ワトフォード、レスター、サンダーランドと続く年内のプレミアリーグを2勝1分で終われれば、クロップ・レッズの2015年は悪くない着地なのではないでしょうか。(シモン・ミニョレ 写真著作者/Steve Boulton)

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“【Liverpool×WBA】シュート数28対4をドローに持ち込んだ、ピューリス監督のしたたかさ” への8件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    更新ご苦労様です。
    オリギに救われました。若さと思い切りの良さが実ったゴールかと思います。ミニョレは色々と言われてますが、私も管理人さんと同意見です。
    WBAのセットプレーは上手いですね。相当練習しているのではと思います。ピューリスはチームを変えても怖い存在ですね、、、。参りました。

    —–
    リバプールはさっさとミニョレを変えるべきですね。
    そりゃあGKの補強の噂が尽きないわけです。リバプールでやれるレベルではないですね。
    ベンテケにあんな大金を使うくらい金があるなら、GKにも金をかけるべきでしょう。
    去年のデヘアや今年のチェフを見てると特にGKの重要さがわかりますね。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    ロブレンが負傷したときコロではなくオリギを入れたクロップの采配が的中しましたね

  3. ルタレック より:

    ミニョレに関しては残念ながら変えて欲しいです。ハイボールやバックパスなどの処理はツェフやクルトワやデヘアを見ているやはりビッグクラブのGKのレベルにないと思います。成長してるようにも思えないですし。個人的には今獲得できそうなワールドクラスのGKディエゴ・ロペスをお願いしたいです。

  4. K より:

    カシージャス同様に普通のシュートには強いんですが、ハイボールの処理、特にパンチング能力の低さと足元の技術が低く全く改善見られないので、そろそろ限界ですかね。
    フィールドプレイヤーは監督変わっただけでここまでかわるかというくらい改善しているので彼にも期待したいですが…ルーカスの控えとGKが来年取って2016ー17に
    期待したいです!

  5. queen より:

    更新お疲れ様です
    勝てそうなゲームでしたので残念でしたが試合終了まで何が起きるか分からないチームになってきたのをみせてくれたのが一番の収穫だと思います

    選手の顔もそうですがサポーターも明るくなってきてクロップイズムが選手だけではなくサポーターにも浸透して来てる感じがしますね

    —–
    GKはシーズン途中で獲得するのは簡単ではないと思うのですが、センターハーフの配球役が欠けているのが気になりますね。カソルラやセスクのレベルの選手までは難しくても、彼らに近いレベルの配球役がいればぐっと良くなると私は考えます。かつてシャヒンを獲ったのもその役割を期待していたのでしょうが結果は残念でした。個人的にはネべスかアンドレゴメスを獲ってくれたらうれしいのですが、まずはクロップのスタイルが浸透するまで様子見でしょうか。

  6. nyonsuke より:

    更新ご苦労様です。

    負けても引き分けてもポジティブに感じられるのはやはりクロップだからでしょうか。
    主様のおっしゃるとおり、雰囲気は悪くないので今シーズンはあまり結果を考えずにクロップとともにチームの成長を見守りたいですね。
    ただロブレンの負傷により、ディフェンスラインの補強は必須なのではないかと思います。
    クラインも出ずっぱりなのでかなり心配です。
    GKのシーズンの途中での変更は難しいと思いますが、ミニョレはこのままですと来シーズンは難しいのではないでしょうか。
    今節のような失点はこれまでに数え切れないほどありますよね…

  7. りばさぽ より:

    やはりこれだけミスが多いのでミニョレの代わりは冬でなくとも夏には必要だと思いますね
    ロブレンはの怪我は心配ですねサコが練習復帰したものの急かさないで欲しいですしコロはやはり不安なのでジャンにしてもらうしかないですかね
    ロブレンの怪我の具合に寄りますが冬はCBの補強は必須でしょうね
    SBはフラノ次第ですかね

  8. makoto より:

    Mackiさん>
    WBAは本当にしたたかでしたね。シュートに対する積極性は素晴らしかったと思います。オリギ、グッジョブです。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    出物があればいいのですが、期中にいいGKとるのは難しいかもしれませんね。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    あれは盛り上がりますね。さすがです。

    ルタレックさん>
    なるほど。ディエゴ・ロペスはおもしろいですね。気長な私も、さすがに厳しいなと思い始めております。

    Kさん>
    パンチの飛距離はチェフの1/3ですからね…。オスピナ、フォルム、ベゴヴィッチなどライバルの控えGKのほうがいいかもしれません。

    2さん>
    確かに!運動量が増えたことと、シュートまでのプロセスがシンプルになったのが大きいです。

    queenさん>
    ヘンダーソンかエムレ・ジャンが機能すればいいのではないかと思っておりました。エムレ・ジャンはさらに成長するのではないでしょうか。

    nyonsukeさん りばさぽさん>
    CBは、獲ったほうがいいでしょうね。コロ・トゥレは来季は微妙ですし。エムレ・ジャンは便利屋にせず、しっかり中盤で成長を促したほうがいいと思います。SBは、りばさぽさん同様フラナガンをカウントしております。いいときの彼に戻れば、充分戦力ですね。

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