偏愛的プレミアリーグ見聞録

毎年、年末年始のプレミアリーグの日程表を見ると、「ホントにコレでやるんですか!?」とたじろいでしまうのですが、やるんですよねぇ。今年のボクシングデーは土曜日、次の試合は、2試合を除いて何とマンデーナイト、さらに年始は2日と3日。トップクラブは、このタイトな3連戦をうまく切り抜け、8日から始まるFAカップ3回戦で好スタートを切らなければなりません。ウインターブレイクなどなく、週2試合ペースが1月18日まで続くこの時期をどう乗り越えるかは、プレミアリーグ優勝、ひいては二冠をめざすクラブにとって重要なテーマなのであります。

さて、優勝を争う3チームから、対戦相手をチェックしてまいりましょう。何しろ首位レスターが厳しいです。年末にアンフィールドでリヴァプール、ホームでマンチェスター・シティと強豪2連戦。年始のボーンマス戦の後には、FAカップとプレミアリーグでトッテナム2連戦が待っています。サンダーランド戦の後、キングパワースタジアムでレスターと戦わなければならないマンチェスター・シティは、正月に難敵ワトフォード、FAカップは10月にエティハドで苦戦したノリッジとのアウェイゲームです。このスケジュールはデンジャラス。ジャイアントキリングの香りが漂ってきます。アーセナル戦で綻びを見せた最終ラインを立て直せるかが、プレミアリーグ3年めのペジェグリーニ監督がタイトルを獲得できるかどうかに直結しそうです。あの戦力で、初年度のプレミアリーグ制覇とキャピタルワンカップ優勝だけで終われば、グアルディオラさんの話がなくとも4年めのゲートは開かないでしょう。

上位でいちばんラクそうに見えるのが、アーセナルです。ボクシングデーのセインツとのアウェイ戦は、昨季なら厳しいゲームでしたが、クーマン監督のチームは絶不調の真っただ中。プレミアリーグのマン・シティ戦に3-1完敗、キャピタルワンカップのリヴァプール戦をセント・メアリーズで1-6と大敗したショックが尾を引いているのか、ここ6試合を2分4敗。この間わずか3ゴールしか挙げられておらず、昨季も波があったグラツィアーノ・ペッレが完全に止まっています。アーセナルは、セインツ戦さえうまくやれればそこからはホーム3連戦で、年末ボーンマス、年明けニューカッスル、FAカップはサンダーランド。1月13日のリヴァプール戦まで厳しいカードがなく、ここでライバルを引き離せれば、12年ぶりの優勝が現実的なものとなります。

3強以外も含めて、いま一度、年末年始の好カードをおさらいしてみましょう。ボクシングデーは、「ファン・ハール監督が負ければ解任」と噂になっているストークVSマンチェスター・ユナイテッド。チェルシーとエヴァートンに連勝したレスターの「強豪対決月間」、3戦めはクロップ監督のリヴァプールです。いつの間にか7位に上がってきたワトフォードが、ヒディンク監督最初のゲームとなるスタンフォード・ブリッジで出鼻をくじくことができるのかにも注目です。

28日～30日のプレミアリーグ前半戦最終節には、レスターとマンチェスター・シティのシックスポインターがあります。チェルシーと戦うファン・ハール監督は、前節を切り抜けたとしても、オールド・トラフォードで同郷の監督に敗れれば、終了スイッチは押されてしまうかもしれません。ワトフォードVSトッテナムも見逃せない一戦です。

年始に組まれている折り返しの緒戦は、3連敗中の「天敵」スウォンジーをホームに迎えるマンチェスター・ユナイテッドと、エヴァートンVSトッテナム、クリスタル・パレスVSチェルシーが好カード。パーデュー監督のクリスタル・パレスは、11月末にニューカッスルに5-1と圧勝した後、12月は2勝1分と絶好調。ここ4試合の9ゴールを7人で挙げており、多彩な攻撃が魅力です。8月にホームで敗れた相手に、チェルシーは雪辱を果たすことができるのでしょうか。ワトフォード、マンチェスター・ユナイテッド、クリスタル・パレスとやっかいな相手ばかりとなった年末年始に2つ負ければ、ヒディンク新監督の上位進出というミッションは相当困難なものになるでしょう。

レスターの快走はどこまで続くのか、マンチェスター・シティはどこからドライブがかかるのか、チェルシーの復活はあるのか、マンチェスター・ユナイテッドは難局をどう乗り越えるのか、アーセナルがFAカップ3連覇を果たせば130年ぶりの快挙…。何かと忙しいこの季節ですが、プレミアリーグの興味は尽きません。みなさま、年末年始もよろしくお願い申し上げます。