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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ジェラード、アルテタ、ルーニー、コンパニ、テリー…キャプテンシーの大事さについて考える

リヴァプールのユルゲン・クロップ監督が、「今いる選手たちはがんばっているが、まだ若すぎて、ジェラードの穴が埋められていない」と語っていたのが気になりました。新しい指揮官の言葉にある「穴」は、プレミアリーグ2014-15シーズンにおける29試合9ゴールというプレイでの貢献度だけを指しているわけではないでしょう。監督の思うところを選手たちに理解させて全体をまとめ、苦しい試合ではチームを落ち着かせ、悩んでいる選手がいればアドバイスする。そんなキャプテンの存在は、私たちファンが思っている以上に重要なのかもしれません。「君がリヴァプールで30ゴールを決めて、プレミアリーグの年間最優秀選手賞を勝ち取ることができれば、バルセロナやレアル・マドリードは君に声をかけてくるはずだ」というジェラードの助言がなければ、スアレスはアーセナルに移籍していた可能性が高く、後のSASやMSNは生まれていなかったでしょう。もしかしたら今頃は、SOS(スアレス・エジル・サンチェス)と呼ばれて…ちょっとカッコ悪いですね。失礼しました。

もとい、キャプテンでしたね。リヴァプールでは、ジェラードの後継者としてヘンダーソンに白羽の矢が立ち、夏にはミルナーという得がたいベテランが入団しました。少し時間がかかるかもしれませんが、ヘンダーソンはやってくれるのではないでしょうか。クロップ監督のチームは、2年めを迎える頃には戦術が徹底された勝負強いチームに生まれ変わるのではないかと期待しています。

モウリーニョ監督のチームが3年めに崩れたのは、初年度のフランク・ランパード、2年めのディディエ・ドログバ、あるいは副キャプテンだったチェフといった「監督の右腕役」を失ったことも大きかったのでしょう。モウリーニョさんの力量を認め、コンセプトやチームづくりの手法を理解している彼らのような存在があれば、多少のコミュニケーションロスは率先して解消し、不振のチームにありがちな選手のストレスや敗戦のショックをつぶしてくれたはずです。負け始めた当初は、主将のテリーと、副将となったイヴァノヴィッチがいるじゃないかと思っていたのですが、彼ら自身がスランプに陥ってしまったために、キャプテンシーを発揮してチームを束ねる役割が不在となり、統率力が働かないまま転げ落ちてしまったのでしょう。プレミアリーグ開幕からまだ2試合めだったマンチェスター・シティ戦で、1点しか負けていなかったハーフタイムにテリーを下げる荒療治に出たのは、想像以上にチームをネガティブにしてしまった可能性があります。実質的にまとめ役を果たしている選手が毎年入れ替わったのも、事態の収拾を難しくしたかもしれません。

ランパードやジェラードの存在の大きさを考えると、ヴェンゲル監督がアルテタやメルテザッカーを放出しない理由がわかる気がします。彼のいうことには誰もが耳を傾けるといわれているスペイン人MFと、同郷のエジルを叱れる「ビッグ・ファッキン・ジャーマン」は、彼らが見せるプレイ以上に重要な役割を担っているのでしょう。宮市亮が、プレイについて具体的なアドバイスをもらっていたと語っているロシツキも、チームがうまくいくうえで必要な人材なのだと思われます。アーセナルについては、以前から大きな疑問がありました。欧州で戦うにはスピードに難があるメルテザッカーよりガブリエウのほうがよさそうなのに、ヴェンゲル監督はなぜ最終ラインを頑なに変えないのか。31歳になったCBには上がり目は感じられず、そろそろ放出してもいいのではないか、と。しかし、もしかすると私の見方は浅かったのかもしれません。ピッチに立つのがガブリエウやチャンバースだったとしても、メルテザッカーの貢献度は大きいというのであれば、そんな選手を簡単に外に出すべきではありません。

プレミアリーグで昇格クラブに連敗を喫し、6試合勝利なしという不振にあえいでいるマンチェスター・ユナイテッドにとって、キャプテン・ルーニーの言葉は何かを変える原動力となるでしょうか。

「記事を書いている人間は、実際に何が起きているのかをわかっていない。僕たちはハードワークを続け、監督と一緒に結果を出そうと戦っている。頻繁にミーティングをして、チーム一丸となって最適な解決策を導くための努力をしている。毎週批判されるのは気分のいいものではなく、選手は対処が難しいものだが、われわれは誇り高き人間だ。マンチェスター・ユナイテッドでプレイすることに誇りを感じているんだ」(ウエイン・ルーニー)

ファン・ハール監督解任のゴシップが過熱しているタイミングでのキャプテンの力強い反論は、一緒に戦う選手たちに勇気と自信を与えるのではないかと期待しています。ブリタニアのストーク戦という難しいゲームで、今までやってきたことの方向性は間違ってなかったのだと証明してもらえればと思います。マンチェスター・シティには、最終ラインに安定をもたらすコンパニが帰ってくるようですね。プレミアリーグ開幕からの5試合連続クリーンシートの中心にいたキャプテンがピッチに立つと聞けば、サンダーランドに負ける姿は思い浮かびません。調子が下降気味のマンチェスター勢をキャプテンは救えるのか…そんな観点も交えながら、ボクシングデーの試合を愉しむのもいいのではないでしょうか。

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“ジェラード、アルテタ、ルーニー、コンパニ、テリー…キャプテンシーの大事さについて考える” への4件のフィードバック

  1. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    ジェラードが移籍を決断したのは、CLのマドリー戦でしたね。
    思えば、ロジャース前監督は昨シーズン、ジェラードを軸から外したチーム作りに取り掛かり失敗した結果、低迷に陥ったと思います。
    そう考えると、ヴェンゲル監督やファーガソンさんが長期政権を担い結果を出し続けている理由とその偉大さを痛感します。
    レッズはクロップ監督就任のもと、ジェラードとキャラガーにかわるレジェンドが誕生すればかなり楽しみなチームになると思います。
    その時には、現在の経験から学んでアーセナルのようなロマン溢れるチームになってほしいです。
    それにしても、ジェラードにはワンクラブマンとしてレッズで引退してほしかったと、まだまだ消化しきれない自分がいます。

  2. ヤンガナ大好き より:

    確かにチェルシーの不振はテリーの不振と重なりますね。好調ガナーズでエジルやサンチェスが天狗にならないのもスペイン人のアルテタ、ドイツ人のメルティーのキャプテンシーのお蔭だと思っています。

    最近のプリミア最高のキャプテンだったジェラードが去った後、イングランド、或いはウェールズ人キャプテンがトップチームには理想かと個人的には思っています。

    その意味ではルーニーの発言、頼もしいです。イングランド代表でもキャプテンを努める彼のキャプテンシーがマンU躍進の鍵を握っていると信じています。

    毎年お祭りムードの今日のボクシングデーは本当に楽しみですね!

  3. にわかスパーズファン より:

    更新お疲れ様です。
    スパーズの去年はカブール主将とアデバヨール副主将が共々干されてましたからね。良くも悪くも波のある若いチームでパーカーが恋しくなっていました。

    キャプテンと言えば今シーズン首位を走るレスターのモーガンを忘れちゃいけないでしょう。お世辞にも上手い選手じゃありませんが、強さとキャプテンシーはしっかりと発揮出来ています。彼もいい状態を保っている原動力の1人でしょう。

  4. makoto より:

    nyonsukeさん>
    ヘンダーソンとエムレ・ジャンには期待してしまいます。

    ヤンガナ大好き さん>
    エジルは、「ちゃんとファンにあいさつせい!」とメルテザッカーに叱られてましたからね。ルーニーがプレイで結果を出せれば、まとまりはでてくるんじゃないかと期待しているのですが…。

    にわかスパーズファンさん>
    おっしゃるとおり、モーガンは素晴らしいと思います。とはいえ、彼の影響力がどこまで作用しているのかがわかりかねたので、記事では出せませんでした。引き続き、注目してまいります。

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