偏愛的プレミアリーグ見聞録

バルサ、アトレティコ・マドリード、セヴィージャのスペイン勢と、ユヴェントスが敗退となった大荒れのチャンピオンズリーグ。プレミアリーグ勢は軒並み順調で、3チームが最終節を待たずに勝ち抜けを決めました。

ザルツブルグに1-2で勝ったチェルシーは、3ポイント差の2位ミランに3-0、0-2のダブル。マンチェスター・シティもドルトムントに1勝1分で、両者ともに首位通過まで確定させています。2日めに登場したリヴァプールは、最終節がナポリとの直接対決。4-1で敗れた相手を逆転するためには、アンフィールドで3-0、あるいは4点差以上の大勝が必要です。

プレミアリーグ勢で、ノックアウトラウンド進出が決まっていない唯一のチームは、難敵との戦いが続くトッテナムです。8ポイントをゲットして、グループDで首位に立っているものの、スポルティングCPとフランクフルトが7ポイント、マルセイユは6ポイント。最終節は、全チームに可能性がある決戦となっています。

トッテナム・ホットスパー・スタジアムにスポルティングCPを迎えた本日のゲームは、勝てば2位以内確定だったのですが…。序盤から攻めていたホームチームは、15分にソン・フンミン、ハリー・ケインとつなぎ、スルーパスで抜け出したルーカス・モウラがGKアダンと1対1になりました。

かわそうとしたタッチは止められ、オフサイドフラッグが上がっておりましたが、その後のアタックに期待を抱かせるシーンでした。しかし22分、ハーフライン付近の攻防からマーカス・エドワーズが抜け出し、一気にボックス手前へ。かつて「スパーズのメッシ」といわれた23歳のドリブラーは、パスを出すタイミングが合わず、消去法で打ったように見えたのですが…！

ロリスの指先を抜けたボールが右のサイドネットに突き刺さり、ポルトガルのクラブが先制。早い時間に追いつきたかったスパーズは、ソン・フンミンの強引なシュート以外に見せ場がなく、ハーフタイムを0-1で迎えました。

後半最初のチャンスは51分。ハリー・ケインが左のソン・フンミンにつなぎ、ボックス左で縦パスを受けたホイビュルクが折り返すと、走り込んだエースの手前でGKアダンがセーブ。CKからの波状攻撃は、エリック・ダイアーの決定的なボレーをアダンに弾かれ、ルーカス・モウラの落としを叩いたロメロのダイレクトショットはブロックされてしまいました。

69分、ペリシッチのクロスがドハーティーの足元へ。左足でニアを狙った一撃は、またしてもアダンに止められます。76分のカウンターでボックス右に抜けたフラビオ・ナジーニョのシュートは、コースを狭めたロリスが胸でブロックし、事なきをえました。

ようやくスパーズがイーブンに戻したのは、80分。ペリシッチのCKにアダンが出遅れ、右手でパンチしようとしたのはベンタンクールが頭に当てた後でした。劇的な幕切れは、タイムアップ間際の95分。ペリシッチがボックス右に入れたハイクロスを、エメルソン・ロイヤルがヘッドで落とすと、フラビオ・ナジーニョに当たったボールをハリー・ケインがプッシュしました。

2-1でスパーズ勝利かと思いきや、VARのジャッジはオフサイド。ペリシッチが蹴った瞬間はセーフ、エメルソンが頭に当てた際のエースもセーフに見えたのですが…。いや、フットボールは、レフェリーのジャッジが絶対です。ハリー・ケイン、ルーカス・モウラ、ペリシッチがシュートゼロに抑えられた苦しいゲームと評するべきなのでしょう。

最終節の決戦を前に、スパーズの勝ち抜け条件を確認しておきましょう。マルセイユとのアウェイゲームに勝てば首位通過。敗れれば、スポルティングCPとフランクフルトがどんな結果であろうと、ヨーロッパリーグにまわります。ドローは勝ち抜けですが、スポルティングCPが勝てば2位通過。あちらもドローか、フランクフルト勝利なら首位となります。

ハリー・ケインのゴール取り消しに激怒し、レッドカードを喰らったコンテ監督は、マルセイユとの決戦をものにすることができるでしょうか。ホームでの初戦は2-0完勝。相手をリスペクトしすぎず、3トップにシンプルにつなぐ直線的なアタックを炸裂させていただければと期待しています。