偏愛的プレミアリーグ見聞録

ワールドカップというフットボール界最大のイベントを目前に控えたこの時期は、選手とファンはテンションが上がりますが、プレミアリーグの監督たちは憂鬱な気分で過ごしているのではないでしょうか。ボクシングデーまで6週間のインターバルがあり、指揮官を挿げ替えるには格好のタイミングです。

一昨日、公式サイトにステートメントを掲載したのは、サウサンプトン。ラルフ・ハーゼンヒュットル監督の3年11ヵ月という任期は、今や長期といっても違和感はないでしょう。プレミアリーグ15節のニューカッスル戦を4-1で落とし、降格ゾーンに突入したクラブは、指揮官とアシスタントコーチの解任を宣言しました。

「サウサンプトン・フットボール・クラブは、メンズファーストチーム監督のラルフ・ハーゼンヒュットルと袂を分かつことを発表します。アシスタントコーチであるリチャード・キッツビヒラーも本日、クラブを退団しました。

2018年12月に就任したハーゼンヒュットルは、記憶に残る結果を出し、クラブのインフラとアイデンティティの構築、選手の育成において重要な役割を果たすなど、大きく貢献してくれました。

しかしながら今、私たちは変化を起こすのに適切な時期であると考えています。クラブ関係者一同、ラルフのこれまでの努力と、在任中に見せた揺るぎないコミットメントに、心から感謝の意を表します」

マーク・ヒューズ監督の後を継いだのは2018年12月。最初のシーズンを16位で終えた指揮官は、2019-20シーズンは11位に順位を上げたものの、その後の2年は15位という微妙なポジションでした。絶頂の瞬間は、2020年11月6日。フライデーナイトのゲームでニューカッスルに2-0で勝ったサウサンプトンは、暫定ながらプレミアリーグの首位に立ちました。

このシーズンは、13節まで3位だったのですが、年明けからの6連敗で下位に転落。2月の終わりに9位だった昨季も、最終盤に1勝2分9敗という絶不調に陥り、18位バーンリーに5ポイント差の残留でした。テコ入れが必要と考えたクラブは、オフにコーチ陣を一新。ケルヴィン・ディヴィス、デイヴ・ワトソン、クレイグ・フレミングがセント・メアリーズに別れを告げています。

夏のマーケットで、ベッラ＝コチャップ、バズヌ、チャレタ＝ツァル、アリボ、ラヴィア、セク・マーラらを獲得したものの、状況は好転せず。直近の9試合は1勝2分6敗で、5ゴールという貧攻に改善の兆しはありませんでした。ひとたび不振になると、歯止めが効かなくなるチームの特効薬は、プレミアリーグのクラブの常套手段しかなかったということでしょう。

スコット・パーカー、ブルーノ・ラージ、トーマス・トゥヘル、スティーヴン・ジェラードに続く5人めの「sacked」。プレミアリーグで1年以上指揮を執っている監督は、クロップ、ペップ、トーマス・フランク、ブレンダン・ロジャース、アルテタ、モイーズのみとなりました。厳しい…！

ワールドカップ前は、ハーゼンヒュットル監督が最後ですよね？ボーンマスに負けたら、直近7試合が1勝1分5敗となるフランク・ランパードが心配です。（ラルフ・ハーゼンヒュットル　写真著作者/Alexander Böhm）