フルスロットルは無理なのか…クロップ監督のリヴァプール、負傷者続出の理由を考える
この緊急事態に対して、過敏に反応したのは地元紙「リヴァプール・エコー」。彼らは、OBや現役監督などさまざまな識者の声を集め、クロップさんのチーム運営に疑義を呈しているのですが、クラブOBが指摘する「練習がきついのでは?」という批判には疑問があります。まずは、クロップ監督に批判的なコメントを紹介しましょう。
「ユルゲン・クロップは、プレミアリーグの厳しさを甘く見ていた。彼は、選手にハイテンポのプレイを求めすぎている。選手は、体力的に耐えられるところまではいいが、限界を超えると疲労が負傷をもたらす。ハムストリングの負傷は、筋肉の疲労によるものだ」(サンダーランドのサム・アラダイス監督)
「今のリヴァプールが、どんなトレーニングをしているのか疑問に思う。過密スケジュールの最中に激しすぎるトレーニングをすれば、負傷のリスクは増える。ハムストリングが5人となると、手法を考える必要があるように思える」(元リヴァプール監督 ロイ・エヴァンス氏)
「新監督は、『フィールド全体で強いプレスをかける』ことを提唱した。しかしそれを90分続けるのは厳しい。 60分~70分ならやれるだろう。フルタイムというのは足に対する過大な要求だ。 私は、それが彼らの失敗につながっていると思う、ハムストリングの負傷者が5人もいるのは偶然ではない。練習で何をやっているかを見なければならないだろう」 (リヴァプールのレジェンドであり、元監督のグレアム・スーネス氏)
何しろ、現場を知っている元指揮官・現監督の声なので、これらを聞くと「プレミアリーグの年末年始がタイトなのは誰が見てもわかるのに、なぜ無謀なトレーニングをするのか」と一緒になって怒ってしまうファンもいらっしゃるでしょう。しかし、選手と監督は「激しいトレーニングなどやっていない」と語っているのです。
「練習方法を見直す必要があるのかもしれないが、われわれはトレーニングなどしておらず、今はリカバリーだけだ。ハムストリングの故障について私の責任だということについては、そのとおりだが」(ユルゲン・クロップ)
「今シーズンは途中で監督交代があった。そういうときは、選手はアピールしようとがんばるものなんだ。だけど、僕はトレーニングのやり方が変わったことで、ケガ人が増えたとは思わない。僕たちは最近多くの試合をこなしているので、トレーニングのメインはリカバリーだ。それほど強度の高いトレーニングをしているわけじゃないのに、そこを非難するのはおかしいよ」(アダム・ララナ)
以前に、アルベルト・モレノが「実戦的なトレーニングはなく、戦術練習ばかり」と語っており、普段からハードワークしているという声はありません。とはいえ、ハムストリングの負傷が立て続けに発生しているのは事実で、「偶然ではない」という言葉を否定できる状況でもありません。何しろ、CBが多いというのが気になります。このポジションは、SBのような上下動がないため全力疾走の頻度が少なく、MFのような動きのバリエーションもないので、体力的な負担は少ないといわれています。昨季、ケーヒルとテリーだけでほぼ回しきったチェルシーは特別だとしても、3~4人で問題なくシーズンを終えられるのが普通で、ハードなプレミアリーグといえども4~5人が同時に抜けるということはほとんどありません。激しいトレーニングが理由ではないとすると、リヴァプールに何が起こっているのでしょうか。私の推測は、これです。
1)単純に「年末のタイトなスケジュールによる疲労の蓄積」はあるでしょう
2)クロップ監督のサッカーに必要なトレーニングをシーズン前に積んでいない
3)プレースタイルを変えなければならなかった選手が、身体的にストレスが溜まった
4)ゲーム前半の負傷の多さは、試合前のアップなど「上げていく方法」に課題がある可能性あり
(今季のアーセナルは、ここの改善に取り組んでいるそうです)
リッピ監督のユヴェントスが「プロレタリアート」と形容されるほどに運動量の多いサッカーをしていた頃、オフシーズンにハードに走り込むことで、選手の基礎体力を上げていたのを思い出します。クロップ監督は、シーズン途中からの就任だったので、選手たちは「準備不足のままいきなりフルスロットル」状態になっていたのではないかと思われます。今までと動き方があまり変わらないSBの2人やジョーダン・アイブ、ルーカスらが筋肉系をやっていないのは、ポジションによってロジャース体制からの変化の度合いが違うからではないでしょうか。
これらのいくつかが正しいとすれば、解決策は、ターンオーバーしてもチーム力が変わらないぐらいの厚い選手層を築くことと、このチームにとって適切なトレーニングを夏に行い、走れる体を作ることでしょう。クロップ監督は「補強を検討する」とおっしゃってましたが、当面は半年のレンタルなどでいくつかのポジションを補填し、抜本的な改革は夏のトレーニングに期待するよりほかになさそうです。「クロップサッカーはプレミアリーグでは実現しない」などという結論を出すのは、クラブと指揮官の打ち手がことごとく空振りに終わり、策が尽きるまではしないでおこうと思います。できるなら、彼らのサッカーがうまくはまったときの強さと美しさを、いつまでも観ていたいので。(デヤン・ロブレン 写真著作者/Kamran Hussain)
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更新ご苦労様です。
連日のレッズに関する記事ありがとうございます(笑
クロップ監督就任直後から年末年始のスケジュールは鬼門とされ、見事に的中したわけですよね。
しかし、クロップ監督の戦術はもともとわかっていましたし、プレミアでもブンデスと同じ情熱をもって指揮するとおっしゃってました。
リバプールはクロップ監督を招聘したのですから、怪我人が出たとしても腹をくくるべきだと思います。
特にレッズのOBは必要以上に批判的なコメントをおっしゃることで有名ですので、ここはクロップ監督は馬耳東風をきめこんでもいいのではないでしょうか。
外から見ている我々が忘れてはいけないのは、クロップ監督はプレミアリーグ初挑戦でシーズン途中の就任であることです。
そしてクロップ監督の戦術は一朝一夕で浸透するものではないということです。
もしリバプールが今季トップ4を確実に取りにいくとか、短期的な成功を勝ち取るためにクロップ監督を招聘したのならそれは失敗でしょう。
私は長期的にリバプールがプレミアリーグとヨーロッパの舞台で戦えるチームになると信じて、クロップ監督の情熱にあてられて夢をみたいとおもっています。
もうちょっとペースダウンするときも考えて欲しい それができないなら解任すべき ブランかベニテスに かロジャーズに
今年のプレシーズンはマレーシア、オーストラリア、フィンランドを回る吃驚仰天のスケジュール。バカンスで小金を稼ぐ前にやるべき事があります。そう、仰る通りトレーニングです! transfer marketのサイトを見れば綺麗に並んだ病院マーク。思わずスクリーンショット撮ってしまいましたね。これまた美しい…
戦うための教育(トレーニング)抜きにOJTで出来が悪ければ干されて、特定の出来る人間に負荷がかかり鬱病(負傷)や転職(移籍志願)で戦力ダウン、現場の状況を無視した配置で(戦うフォーメーションも決めずに)適性関係なしの無能な新卒採用(リクルート)を重ね、中途採用者は優秀な人材に避けられて中途半端な人間を高値買いしてチーム力は落ちる一方、現場の時間が足りない中で経営陣からの新しい施策(プレシーズンツアー)を強要され、小綺麗な世界からやってくる立派な伝統に身を包んだOBからの精神論満載の叱咤激励は過酷な現場の士気をさらに押し下げる。その様はまさに日本の昔は強かった製造業的なブラック企業に見えるではありませんか! おお、ますますレッズが好きになりそうですよ!
CB不足は優秀なDHだがCHとしては不適なためポジションがなかったルーカスがマスチェラーノのようにコンバートで出場機会を増やすいい機会とポジティブに捉えたいですね!(ヤケクソ)彼はこのブラック企業の中で故障者への見舞いや新人歓迎会を催す精神的支柱なので引退するまで残って欲しい人材です。FW陣はオリギ復帰かスタリッジのプレシーズンが終わるまでベンテケでサブはシンクレアの試用期間にすればパニックバイは不要です。
でもキーパーだけは絶対に今年の夏には欲しいですね。レッズは被枠内シュート数がトッテナムに次いで少ないはずで、キャッチ力のない不安定なキーパーを守るためかファンのためか無駄なシュートブロックに身を投げ続けるCB陣。どれだけ故障が多くても彼らへのリスペクトを忘れずにいたいですよ。コース消したら身を投げずに相手に打たせることが出来るキーパーならCBの故障は少なくなるんじゃないですかねぇ…発想の転換ですけど。
クロップの育成力で期待の若手の覚醒を待って私は2年くらい結果を気にせず応援しようと思います。信頼が大事ですね
ドルトムントでのゲーゲンプレッシングは
フンメルスからよくロングパスが出ており
そこのこぼれ球から二次攻撃というのが
よく見られました
今のリバプールはクロップ監督が途中からきて
自分の戦術をおとしこめていない
かつ 良いロングパスを出せるCBがいないので
ドルトムントでやっていた時とは
選手の疲労の蓄積度が違うと思います
ロングボールを用いると
走る距離が少なくなるだけでなく
FWがそこで潰れてファールを貰えたりして
プレーが止まる時間が長くなると思うのです
それなのにクロップ監督は
ドルトムントのときと同じだけの運動量を
要求しているので疲労が溜まるのだと思います
今シーズンいっぱいはある程度リトリートも
取り入れるなりして戦術を変えないと
これからも負傷者が減らない気がします
最近僕のチームがハイプレスandひたすら走るサッカーなんですが、そういうサッカーはいきなりできるわけではなく、夏にひたすら走り込みをして下積みを重ねることである程度できるようになるので、いくらリバプールの選手たちでも突然激しい走るサッカーをするとすぐバテてしまったり、怪我をしてしまうのではないでしょうか?
クロップ監督がシーズン前から就任していれば少し怪我人は減っていたかもしれません。
走るサッカーはプレミアでも可能なはずです、現に今スパーズはそれを証明しています
ただ、ご指摘の通りプレシーズンのトレーニングをクロップが指導していないのが一つの原因でしょうね
スパーズはポチェの指導のもと、準備を重ねている訳ですから
ただ、ケガとは別に気になるのが、仕方ないことではあるのですが
リパポの持ち駒がドルトムント風プレッシングとあっているかというと、中途半端なような気がするのです
ハイプレスでボールを奪うということは、必然的にボールを持つ時間も増える訳で
それを効果的に攻撃に繋げなければ、ストレスだけが溜まり続けるのは自明の理でしょう
ドン引きのカウンターとは異なり、ハイプレスのカウンターはポゼッションと切っても切り離せない関係にあります
ドルトムントにはそこでもフンメルスの楔のパスが効果的でした
それを受けて攻撃に繋げられる選手も複数いました(香川、ロイス、ギュンドアン)
リバポ、縦パスを受けて前を向ける選手ってコウチーニョだけじゃないでしょうか?
ボールが収まらない、繋げない、保持出来なければ対応に追われるのはCBの悪循環
攻撃時も少しずつコウチーニョに負担が増加しているのも想像に難くありません
あと、CBに関連して、これはリパポとは関係無くなんですが
ヨーロッパレベルで結果を残しているチームってほとんどが縦パスの出せるCBを備えている気がします
勝てる時のシティもコンパニ(守備ばかり注目されますけど、攻撃センスも一級品だと思います)がいますよね
これは詳しく検証してないんで、あくまでイメージですけど
他のリーグの上位チームにくらべ、プレミアのCBって持たされると何も出来ない選手が少なくない感じがするんですよね〜
ヨーロッパで結果出せない理由の一つなのかなーと
あくまで感覚的な話なので、しっかり検証してみる必要がありそうですけどね^^;
更新ご苦労様です。
今シーズンをみれば途中からの指揮なのでなんとも言えませんが、走るスタイルではスパーズも同じですので、OBや他チームの監督が色々いっていることは素直に受け入れ難いですね。
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nyonsukeさん>
同感です。今季は、だましだましやる部分も持たないときつそうですね。フラナガンやブラッド・スミスなど、サイドで使えそうな若い選手も含めて、戦術インストールを済ませて来季勝負か、と。
あ さん>
相当お嫌いなんですね。ロジャースさんの頃より戦績が落ちたわけではないのに、なぜでしょう。
Kさん>
GKは今すぐにでも欲しいですね。オリギは楽しみです。
マンUファンさん>
前で奪う試合と、自陣に引きずり込んで速攻をかます試合を使い分けられるといいのではないかと思います。
ヤヌザイさん>
同感です。「急激な変化」も、ひとつの要因なのではないかと思います。
スパーズ推しさん>
CBの話は、私も着目していたところです。ファン・ハール監督がブリントをコンバートしたのは、攻撃面でおもしろいと思っていたのですが、問題が他で発生してしまい、ご存じの通りの貧攻で…(涙)
Mackiさん>
現場観てなかったり、感覚値だけで話しているOBはやっかいですね。OBが元気なクラブのファンなので、余計にそう思います。ときどきは、チーム関係者なのだからメディアに話さず練習を視察して直接監督と話せばいいのに…と思ったりします。