偏愛的プレミアリーグ見聞録

11日にアブダビで開催されたミッドシーズンのフレンドリーマッチ、チェルシーVSアストン・ヴィラ。プレミアリーグ再開に向けて、チームのコンディションを上げようとしていたブルーズは、前線のヤングスターを失ってしまいました。

前十字靭帯断裂という重傷を負ったのは、アルマンド・ブロヤ。19分にプレスをかけた際に、エズリ・コンサと接触し、右ひざを捻ってしまいました。激痛に顔をしかめ、ピッチに倒れ込んだ21歳のストライカーは、自力で立てずストレッチャーで運ばれていきました。

今季プレミアリーグで12試合1ゴール1アシスト。目に見える結果を出せていなかったものの、ゲームの展開を変えたいときに起用していたポッター監督にとっては、痛いアクシデントです。シーズンアウトとなったブロヤは、最長なら全治12ヵ月といわれています。開幕からの14試合で、リーグ13位の17ゴールしか決めていないチームは、新たなストライカーを引き入れるのでしょうか。

現地メディアが報じているターゲットは、レアル・マドリードでトレーニングを開始したクリスティアーノ・ロナウド、ワールドカップでハットトリックを決めたベンフィカのゴンサロ・ラモス、シメオネとの確執が伝えられたジョアン・フェリックス、プレミアリーグのクラブの注目を集めているACミランのラファエル・レオン。いずれも獲得のハードルが高そうな選手ばかりです。

トッド・ベイリーオーナーのお気に入りといわれるクリスティアーノ・ロナウドのネックは、週給50万ポンド（約8400万円）といわれる高額サラリー。プレミアリーグ10試合1ゴールの選手に、半年で1000万ポンドを超える額を費やすのはリスキーです。

ジョアン・フェリックスの移籍金は1億ポンド以上、ラファエル・レオンのバイアウト条項は1億3000万ポンド。夏に総額2億7000万ポンドを超える補強を敢行したクラブといえども、簡単に出せる額ではありません。ゴンサロ・ラモスも1億ポンドのバイアウト条項があると伝えられており、ベンフィカのルイ・コスタ会長は「売るつもりはない」と明言しています。

クリスティアーノ・ロナウドは移籍金ゼロが魅力ですが、オーバメヤンと共存させてプレスと流動性を担保するのは至難の業。カイ・ハヴェルツやメイソン・マウントに負担がかかりそうで、ポッター監督は乗り気になれないでしょう。

所属クラブがプロテクトしているラファエル・レオンとゴンサロ・ラモスより、ミゲル・アンヘル・ジルCEOが「彼は出ていこうとしている」と語ったジョアン・フェリックスのほうが現実的です。買い取りオプション付きのローンで話がまとまれば、他のポジションに投資しやすくなります。

さらにもうひとり、「フットボールロンドン」「デイリー・メール」がチェルシーのターゲットと伝えているのは、ワールドカップの日本戦に出場したワンダーキッド、ユスファ・ムココ。今季の公式戦22試合6ゴール6アシストと頭角を現した18歳は、夏に切れるドルトムントとの契約を延長しておらず、交渉が決裂すれば放出候補となるようです。

フリーで獲ろうとしていたバルサを止めるべく、860万ポンドのオファーを提示したといわれるチェルシーは、ムココを押さえて後方のポジションを強化しようとしているのかもしれません。トランスファーマーケットのオープンまで2週間。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナルとぶつかる可能性があるストライカー争奪戦に注目したいと思います。