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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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貴重なアウェイゴール…フィオレンティーナの攻撃に耐えたトッテナム、納得のドロー!

 大聖堂を中心に広がる街が好きで、1990年代、バティストゥータとバイアーノのBBコンビがリーグを席巻したヴィオラのフィレンツェは、ケルンと並んで「もう一度訪れたい街」なのです。プレミアリーグ勢とフィオレンティーナが当たる今季は、その大きなチャンスだったのかもしれないと後悔していたのですが、スタメンを見て若干醒めました。プレミアリーグ2位と好調のトッテナムには、ハリー・ケイン、エリック・ダイアー、デンベレがいません。トリッピアーとベン・デイヴィスの「ELのSBコンビ」とGKフォルム、CBアルデルヴァイレルト、ヴィマーは予想通りでしたが、トップにソン・フンミン、中盤のライアン・メイソンとトム・キャロルは意表を突く起用。ホームのフィオレンティーナもカリニッチがベンチです。ギアが一段落ちたような感があるメンバーに、これがヨーロッパリーグなのかと絶句するのは早計でしょうか。いや、どちらも勝ちたいはずです。試合を観てみましょう。ラウンド32、ヴィオラVSスパーズは、日本時間2月19日午前3時のキックオフです。

両者とも、高いプレスで自由にビルドアップをさせない戦い方。3分に左から突破を図ったデル・アリのマルセイユ・ルーレットは決まりません。フィオレンティーナは、プレミアリーグファンにはおなじみのマウロ・サラテを走らせる長いパスが目立ちます。トッテナムは両サイドにロングフィードを集め、ヴィオラの守備ラインを横に引き伸ばしてスペースを創ろうとしています。前にボールがつながらない神経質な展開に一石を投じたのは、12分のブワシュチコフスキ。右から思い切りよく放ったミドルシュートは、アルデルヴァイレルトが落ち着いてカットしました。

17分、左サイドからドリブルで中に入ったサラテのシュートはバーの上。トッテナムは守勢一方で、攻めの糸口がつかめません。フォルムは何度バックパスを受けたことか。21分に中央のソン・フンミンにシュートコースができた初めてのチャンスは、持ち過ぎてフィニッシュにいけませんでした。26分、トッテナムの武器がGKタタルシャヌを脅かします。エリクセンのブレ球のミドルを上に弾いたのは賢明な判断でした。ここにきて、スパーズが敵陣でボールを奪うシーンが増えてきました。シュートかパスか、獲った直後のプレイの判断を速くすれば、決定的なチャンスが創れそうです。

32分、右からイリチッチが蹴り込んだゴールに向かうクロスにはヒヤリとさせられました。速いボールにアルデルヴァイレルトが珍しくヘッドをかぶるも、裏に入ったベルナルデスキのプッシュはずれてしまい、こぼれ球に反応したサラテの左足は今度はベルギー代表CBがコースを切りました。37分、先制は攻めあぐんでいたトッテナムです。左からペナルティエリアに侵入したベン・デイヴィスが中に切り返すと、トモヴィッチの伸ばした足はボールに触れず、敵の左SBを転倒させてしまいます。このPKをシャドリが落ち着いて左隅に転がし、0-1。44分にスルーパスからブワシュチコフスキが右サイドを完全に崩したチャンスは、中のサラテがシュートを打ち上げてしまいました。プレミアリーグ5連勝中のチームは、アウェイゴールを先に奪うという最高の展開で後半に臨みます。

ポチェッティーノ監督がハーフタイムにキャロルを下げてデンベレを入れたのは、相手の中盤を抑えたいという意図でしょう。フィオレンティーナは、立ち上がり同様、前線への長いボールに活路を見出そうとしています。54分、デンベレが中央から攻め上がり、左のシャドリに優しく流すも、シャドリのシュートは正直すぎてGKがセーブ。ここまでは、互角の展開といっていいでしょう。前半うるさかったマルコス・アロンソとブワシュチコフスキは、トリッピアーとベン・デイヴィスがよく抑えています。

しかし59分、一瞬の隙を突いたフィオレンティーナが同点ゴール。ベルナルデスキの左足ミドルは、ライアン・メイソンに当たってバーの下をかすめる絶妙なコースに飛んでしまいました。フォルムの右手は及ばず、ゴールイン。パウロ・ソウザ監督は、ここが勝負とばかりにイリチッチとブワシュチコフスキを下げ、バデリとカリニッチで勝負です。アウェイチームは、ここが絶えどころです。67分にティノ・コスタをヴェシーノに代え、ベストに近い布陣となったヴィオラをおとなしくさせれば、スパーズにもチャンスはまわってくるはずです。68分、ソン・フンミンがアウト。今季プレミアリーグ16ゴールのハリー・ケインが登場です。

75分、ヴェシーノのミドルはフォルムがキャッチ。79分にシャドリがエリック・ダイアーに後を譲り、こちらもいつものメンバーに近づきました。次の1点を獲られることだけは避けたい両者は、中に人数をかけてシュートコースを塞いでいます。88分、エリクセンからのパスを受けたトリッピアーのクロスは、バイシクルを狙ったデル・アリが浮かせてしまいました。89分に右からサラテが打った強烈なニアへの一撃はフォルムがクリア。直後のCKは、ハリー・ケインに競り勝ったゴンサロ・ロドリゲスのヘディングシュートの当たりが薄く、逆サイドに逸れてしまいました。1-1、ドロー決着。トッテナムは、後半は押されっぱなしだっただけに、この結果は上々でしょう。

おもしろい試合でした。ヴィオラの両サイドに押されながらも、決定的なチャンスを創らせなかったSBの2人をまずはリスペクトしたいと思います。ソン・フンミンはいい選手だと思いますが、ハリー・ケインなら迷わずシュートを打ったはずのチャンスを2回ほど逃しており、もっと積極的に狙う姿勢があれば、最高の結果を得られていたかもしれません。同時刻開催のデンマークでは残念なことが起こったようで、ライブ観戦をこちらにしたのは正解でした。25日にホワイト・ハート・レーンで行われるセカンドレグは、前後のFAカップとプレミアリーグがいずれもホームなので、戦いやすいでしょう。次戦こそは、胸のすくような快勝を期待したいと思います。(ベン・デイヴィス 写真著作者/Benjamin Blackler)

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“貴重なアウェイゴール…フィオレンティーナの攻撃に耐えたトッテナム、納得のドロー!” への3件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    リバプールファンですが、トッテナムには脱帽です。攻めきれなかったというか、相手が攻めきれなくて助かったと言ったほうが正しいリバプールと違い、追いつかれこそしたもののアウェーゴールを奪い、やれることをやって次に繋がる試合をしたトッテナムは素晴らしいですね。

    運動量が多いチームなのに、主力の離脱もそう多くないのを見ると、メディカルやコーチ陣の判断も素晴らしいのでしょう。今年のトッテナムはシティよりもトップ4に相応しいチームなのかもしれません。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    メンバーを変えた状況での結果なら上々ではないかと思います。
    今年のスパーズは交代で誰が出ても結果を出しているのが素晴らしいですね。

  3. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    同感です。彼らが優勝したら納得です。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    そうなんですよね。ターンオーバーしてもクオリティが落ちないことが、プレミアリーグとカップ戦の両立ができているいちばんの理由だと思います。昨季の実験(=11人総入れ替えなど)を、見事に今季に活かしていますね。

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