偏愛的プレミアリーグ見聞録

アンドレ・アイェウ、チェ・アダムス、ミシー・バチュアイ、シェラルド・ベッカー、ジャン＝フィリップ・マテタ、ペト、ルーカス・ジョアン、カマルディーン・スレマナ、イスマイラ・サール、カルヴァン・フィリップス、コナー・ギャラガー、ニコロ・ザニオーロ、ポール・オヌアチュ、オリヴィエ・ジルー。

14人の名前を見て、何のリストかわかった方は、なかなかのプレミアリーグマニアです。正解は、「エヴァートンがデッドラインデーにオファーを断られた選手たち」。19位に沈むクラブとはいえ、これだけいれば、ひとりぐらいは何とかなりそうなものですが…。

ちなみにカマルディーン・スレマナとオヌアチュは、最下位セインツに持っていかれています。彼らに足りなかったのは、リサーチか、パッションか。1日じゅう、声をかけまくって悪夢のゼロ。罰ゲームのような結末を見ると、「水曜日のダウンタウンか!?」とツッコミを入れたくなります。

「監督が代わったばかりで大混乱のクラブに来てくれといわれても、選手は乗っかってこない説」は、見事に立証されました。新戦力はひとりもおらず、アンソンー・ゴードンとサロモン・ロンドンが抜けただけ。新監督のショーン・ダイクも、マルセロ・ビエルサとの交渉決裂によって順番がまわってきた二番手です。

プレミアリーグ20試合で15ゴール。崩壊が始まった10節以降は1勝2分9敗で、クリスタル・パレス戦をのぞくすべてのゲームが1ゴール以下です。そんななかで、まさかのアタッカー離脱。カイセドが6000万ポンドNGと聞いた後、アンソニー・ゴードンが4500万と報じられたときは、「移籍ドッキリ」かと目を疑いました。金曜日の記事には、「新監督のための補強費用に充てる」と書かれていたのですが…！

マーケットが閉まる直前に監督を代えたファルハド・モシリオーナーと経営ボードの間の悪さに、いいたいことはたくさんありますが、逃した魚と逃げた魚の話はそろそろ終わりにしましょう。エヴァートンは、ブレムリー・ムーア・ドックに新スタジアムを建設中。1954年以降、降格が1度もないクラブを、最悪のタイミングで落とすわけにはいきません。

ひと筋の光は、フリーエージェントとなった選手にインターナショナルクラスがいることです。アル・サッドとの契約を快勝したアンドレ・アイェウは、デッドラインデーのエヴァートンからのオファーを保留したものの、検討の余地は残っているようです。

そしてもうひとり、ウニオン・ベルリン移籍が破談となったイスコ。過去3シーズン、レアル・マドリードとセヴィージャで65試合3ゴールというスタッツは気になりますが、フリーならトライする価値はあるでしょう。負傷で出遅れ、トップフォームに戻っていないカルヴァート＝ルーウィンと、ブライトンから来たモペイは足しても2ゴール。前線の活性化は残留の必須条件です。

新監督の緒戦はアーセナル、2戦めはリヴァプール。苦しい戦いが続きそうですが、ショーン・ダイク監督は古豪のサポーターの期待に応えられるでしょうか。今はただ、15回めのプロポーズが成就するのを祈るのみです。