【Saints×Chelsea】残り15分までは負け試合…幸運を逃さなかったチェルシー、逆転!
中央を締めるのはクラーシとロメウ。両SBのバートランドとセドリック・ソアレスが、マット・ターゲットやスティーブン・デイヴィスとともにサイドから仕掛け、フィニッシュはシェーン・ロングと新戦力チャーリー・オースティン。セインツのサッカーはシンプルで力強く、チェルシーが受けに回るシーンが目立ちます。象徴的だったのは、17分の攻撃でした。自陣右サイドからのファン・ダイクのロングフィードを、左サイドでワントラップしたマット・ターゲットはすかさず中にクロス。たった2本でゴール前、しかもイーブンの勝負となれば、チェルシー守備陣もただ体を張って防ぐほかはありません。直後にクラーシが狙ったミドルは、アスピリクエタがブロック。左にウィリアン、右にアザールが入ったチェルシーのカウンターは堅牢なセインツの守備陣に中央で抑えられ、前半は完全なるセインツペースです。
27分、ペナルティエリア左からオスカルが放ったミドルは、GKフォースターがキャッチ。前半のチェルシーに可能性を感じたのはこの1本だけでした。そして42分、ついにセインツが先制します。縦パス1本、先に触ったラーマン・ババがイヴァノヴィッチに渡そうとしたヘッドをシェーン・ロングがインターセプト。右から単独で持ち込んだ背番号7は、クルトワの飛び出しをあざ笑うかのようなチップキックを左隅に沈めます。シェーン・ロングのゴールは、エースだったグラツィアーノ・ペッレに並ぶ今季プレミアリーグ6発め。アザールがオスカルを縦に走らせ、フリーにしたチャンスはジエゴ・コスタに合いません。前半は1-0、秋のチェルシーならこのまま負けていた展開です。
ハーフタイムのヒディンク監督は、失点の原因となったラーマン・ババをケネディに代えました。後半は、1点を追うチェルシーが攻勢です。52分、CKの混戦からノーマークだったミケルが放ったヘディングシュートは枠におさめられず。セインツサポーターとファン・ダイクがしきりにジエゴ・コスタを挑発し、59分に後ろからCBを引っかけたチェルシーのエースはついにイエローカードをもらってしまいます。この後、チェルシーはシュートを打てなくなり、残り15分まではセインツの勝ちゲーム。クーマン監督がシェーン・ロングをグラツィアーノ・ペッレに代えたのは、追加点を奪うよりも、マイボールをおさめられる拠点が欲しいという意図だったのではないでしょうか。
しかし75分、同点劇はペッレのパスミスから始まったカウンターでした。左に流れたジエゴ・コスタが後ろに落としたボールをセスクが中に入れると、アザールの動きに気を取られたGKフォースターが足で触れず後逸。プレミアリーグ6試合連続クリーンシートだったセインツは、あっけなく記録を途切れさせてしまいました。チャーリー・オースティンを下げて3ヵ月ノーゴールの絶不調マネを入れたのは、火に油。ぎくしゃくし始めたセインツの混乱は止まらず、88分、試合はひっくり返ります。CK一発、イヴァノヴィッチの完璧なヘッド。ヒディンク監督は、就任以来のプレミアリーグ無敗を10試合に延ばし、チェルシーは9勝9分9敗。勝敗の数字がイーブンになったのは、3節以来です。
同点ゴールはセインツの自滅ではあったものの、ケネディを入れてアザールを左サイドに戻し、仕掛けどころを明確にするなどヒディンク監督の細かい工夫が呼び込んだ勝利でもありました。今季プレミアリーグノーゴールのアザールが決められるようになるまでは、完全復活とはいいづらいのですが、こういう試合を勝ちきれると勢いがついてきます。暫定ではありますが、ヨーロッパリーグ出場権まで勝ち点7差は充分手が届く距離感です。ノリッジ、ストークに勝って、リヴァプール、ウェストハムと続く「シックスポインター」を制すれば、チェルシーは欧州を失わずに新監督を迎えられるのではないでしょうか。ヒディンク監督、さすがです。(ブラニスラヴ・イヴァノヴィッチ 写真著作者/CFCUnofficial (Chelsea Debs))
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