偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグは現在、2人の監督の辞任が取り沙汰されています。ペップ・グアルディオラと、グレアム・ポッター。2009年から2018年までで、トータル115に及ぶ規則違反があったと報じられたマンチェスター・シティは、プレミアリーグからの告発を否定できなければ、フットボール史上最も重いペナルティを課せられる可能性があるといわれています。

2020年2月、ファイナンシャル・フェアプレー違反によって、クラブが2年間の欧州出禁を通告された際に、進退について問われたペップは「彼らには『嘘をついていたら、翌日にはここにいない』といった。私は出ていく。友人とは呼べなくなる」とコメント。今回の件で、マンチェスター・シティが処分を受ければ、自ら去ると目されています。

「ミラー」のフェリックス・キース記者は、バルセロナ、バイエルン、マン・シティで指揮を執った名将の行き先は代表チームと主張。ブラジル、アルゼンチン、オランダ、スペイン、イングランドを有力候補としつつ、唯一のクラブとして挙がっているのは、パリ・サンジェルマンです。

マン・シティの処分については、独立委員会のリサーチと検討が長期化すると見られており、ペップがクラブを離れるとしても、その決断はかなり先の話になりそうです。自身が問題を引き起こしたわけではない名将が、6年で積み上げた11のタイトルの過半を取り消されることを想像すると、胸が痛みます。

一方、2022年9月にスタンフォード・ブリッジに招かれたグレアム・ポッター監督のほうは、1年も経たずに任を解かれる可能性があると報じられています。「ミラー」が報じた後任候補は、ユルゲン・クロップ。「デイリー・メール」と「ザ・サン」は、スペイン代表から離れたルイス・エンリケをチェックしていると伝えています。

就任から、最初の9試合は6勝3分。ところが、古巣ブライトンに4-1で完敗したのがきっかけとなり、その後の13試合は3勝3分7敗と別なチームになってしまいました。無敗だった9試合で16ゴールを決めていたブルーズは、不振に陥ってからの13試合は8ゴール。トゥヘルとタッグを組むはずだったオーバメヤンは不発で、トップスコアラーのカイ・ハヴェルツは未だ5ゴールです。

エンゴロ・カンテやリース・ジェームズをはじめ、大量の負傷者が停滞の原因になったのは間違いないでしょう。それにしても、現状の得点力不足は深刻です。2023年になってからの7試合は、2ゴール以上が1度もなく、4試合がノーゴール。ムドリクとジョアン・フェリックスがフィットしなければ、EL出場権も獲れずにシーズンを終えてしまうかもしれません。

就任以来の22試合は9勝6分7敗で、勝率41%。2003年にロマン・アブラモヴィッチがオーナーになってから、ブライトンから来た指揮官より勝率が低い監督はひとりもいません。チェルシーの117年の歴史を彩る29人の正監督のなかで、最も勝てなかったのは、1978-79シーズンのダニー・ブランチフラワーで勝率16％。32試合というスピード解任記録の更新はないと思われますが…。

「次に辞任する監督」にベットできるブックメーカー7社のオッズを見ると、1位はセインツのネイサン・ジョーンズ、2位がペップで、3位はボーンマスの暫定監督ガリー・オニール。ポッター監督は4位で、デヴィッド・モイーズやブレンダン・ロジャースより人気になっています。

オーナーの独断による大量補強と負傷者続出に振り回されている指揮官については、せめてオフシーズンからチームを作れる1年を過ごした後、ジャッジしてもらえればと願っています。来季の開幕戦で、2人の姿を見ることはできるのでしょうか。指揮官の未来は、常に予測できないものですが、彼らが残ったとしても不穏な空気が消えていないのは確実です。