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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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まさかのアーセナル⁉ 過熱するヴェンゲル解任報道のなか、モウリーニョさんに望むこと

イタリアからはロベルト・マンチーニ。イギリスではジョゼ・モウリーニョ。「今季プレミアリーグの結果次第で、アーセン・ヴェンゲル監督が退任することになる」という報道がヒートアップしています。インテルを率いるマンチーニ監督は、「チャンピオンズリーグ出場権を逃せば解任」と報じられており、それが事実であれば3位まで勝ち点5差は、ほぼ決まりでしょう。サッスオロ、ラツィオという難しい相手とのアウェイゲームを残し、2位ナポリとも戦わなくてはならないチームが、対戦相手の強さではほぼ変わらないローマをかわすのは、アーセナルのプレミアリーグ優勝以上に難しいのではないかと思います。

奇しくも16勝7分7敗とまったく同じ成績で首位を見上げているヴェンゲル監督とマンチーニ監督は、来季は今と違う場所で過ごすことになるのでしょうか。CL出場権を確保し続けた監督を、獲り逃した監督に代えるのはどうなのだろうと思ったりもしますが、そんな話がニュースになるのはアーセナルに何らかのアクションがあるからなのでしょう。少なくとも、来季のガナーズが戦う場がヨーロッパリーグとなれば、クラブは何らかのけじめをつけなければサポーターの不満を抑えきれないと考えるはずです。最悪の事態に備えて、有力な指揮官の動向を探るぐらいのことはしていてもおかしくありません。

一方のモウリーニョ監督は、ここ2ヵ月、マンチェスター・ユナイテッドにいくと伝えられていましたが、最近は「既に仮契約を済ませた」「クラブが懸念を示している」と真逆の記事が出ている状況です。イギリスメディア「ザ・サン」は、マンチェスター・ユナイテッドがモウリーニョ就任に難色を示している理由が5つあると報道。「カラーにそぐわない」「若手起用に積極的ではない」「ファン・ハール監督は土壇場で結果を出している」「TOP4に残れる可能性がある」「ウッドワード副会長と蜜月状態」という5つについては、そのままアーセナルにもあてはまります。モウリーニョさんがどちらのクラブにいっても、それはそれでおもしろくなるのでしょうが、同時にどちらも違和感があります。チェルシーの色が強いのが最たる理由ですが、アーセナルはプレイスタイルとクラブの空気が変わること、マンチェスター・ユナイテッドはせっかく出てきた若手の成長が止まってしまいそうなことが、モヤモヤの源です。

「アーセンは、こんな(解任を訴える)バナーを何度も見てきているだろう。彼は落ち着いているよ。ファンの苛立ちは理解できるけど、彼はクラブのためにやるべきことがわかっている。毎シーズン、トロフィーを獲得するために全力を尽くしているんだ。負傷者が出て沈んだり、調子が落ちたりすることはあるものだ。チャンスは小さくなったけど、チームがプレミアリーグで優勝するために必要な監督だと思う」(ローラン・コシールニー)
「Have seen the media reports today. Arsène Wenger was a big reason for me joining Arsenal – this hasn’t changed! (今日の報道を見たよ。アーセン・ヴェンゲルは、僕がアーセナルに加わった大きな理由だった。それは変わってないよ!」(メスト・エジル)

選手のコメントに触れるといつも感じるのですが、何なのでしょうね、アーセナルに漂うインテリジェンスといいますか、どこかしら草食系なほのぼの感は。「攻撃的」「美しい」「明るい、ポジティブ」…。アーセナルの持つこれらの印象が好きな私としては、勝つためにはどんな手段も厭わない偽悪的な監督の招聘は、失うものもあるのではないかと心配してしまいます。サポーターのみなさんにとっては、いい監督というのはプレミアリーグかチャンピオンズリーグのタイトルを獲ってくれる人で、すなわちモウリーニョさんはあり!という方もいらっしゃるのだと自分にいい聞かせつつも、長く時間をかけて築き上げてきたチームカラーというものは、1度や2度の優勝よりも尊いものなのではないかと思うのです。

「レスターが優勝したら感動的だろうな」「ポチェッティーノ監督のチームが優勝するなら納得」。…何しろ八方美人なもので、レスターが勝ってもトッテナムが優勝しても盛り上がってしまいそうなのですが、今の私は、これまで以上にアーセナルの戴冠を願っているのかもしれません。アーセン・ヴェンゲルという人は、世界の5本の指に入る名将ではないかもしれませんが、欧州屈指の名プロデューサーではあると思います。20年にわたってプレミアリーグをおもしろくしてきてくれたガナーズの指揮官には、それがいつになるとしても、いい辞め方をしてほしいのです。ついにチャンピオンズリーグ出場権を逃し、仇敵からきた監督にポジションを譲る…そんな未来はこないでほしいと、祈るような気持ちでプレミアリーグの順位表を眺める今日この頃です。

赤いスタジアムにいるモウリーニョさんにも、いずれ馴染むのでしょうか。彼が創る負けないチームが魅力的なのは間違いありません。もし、どちらかのクラブに就任が決まったとしたら、望むことはシンプルです。今度こそ、「ハッピー・ワン」と語っていたあの頃のままでいてほしい。そして、「ジョゼズ・ベイブス」と呼ばれるような若手選手を世に送り出してほしい。5月の続報を待ちましょう。

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“まさかのアーセナル⁉ 過熱するヴェンゲル解任報道のなか、モウリーニョさんに望むこと” への6件のフィードバック

  1. グローリーグローリー より:

    私も同意見です。
    ボスには優勝して勇退あるいは
    これまでの情熱と貢献に相応しい
    別れを用意してあげてほしい。

    —–
    モウリーニョ招聘に関してはユナイテッドのフロント内の派閥争いがひどくて、スムーズに交渉できてないみたいな話を聞きましたがどうなんでしょうね。仕事ができないに飽き足らず派閥争いしてるなんて開いた口が塞がりません。派閥争いの結果、来季もファン・ハールなんて事になりそうで本当に怖いです

  2. queen より:

    基本的にフットボールの世界は、雇う➡結果が出てたら続投➡結果が出なくなると解任のローテーションなので、ヴェンゲルさんのような、「クビの心配が(ほとんど)無い監督」は貴重だと思います。クビの心配がないからこそ、獲った若手を結果が出せるまでじっくり育てて、ブレイクさせられる。クビの心配がある他の監督は、どうしても保身と育成のバランスを考えつつチーム作りせざるを得ません。ヴェンゲルさんがやめたら、そのような監督がトップクラブにはいなくなってしまうわけで、もちろんファンとして結果が出ないことには不満はありますが、それでも、可能な限り続けてほしいです。

  3. makoto より:

    ミハルさん>
    そうですよね。プレミアリーグ優勝3回はもちろん、最近のFAカップ連覇も素晴らしい足跡だと思います。

    グローリーグローリーさん>
    消去法みたいな監督の決め方だけはやめてほしいですね。どうなるでしょうか、何かにつけて予測不能なクラブです。

    queenさん>
    そう思います。コクランやベジェリンの今の活躍ぶりは、ヴェンゲルさんならではですよね。

  4. ガナユ より:

    ヴェンゲルが辞めるのであれば勇退か、世界で有数の指揮官が後任に決まりそうな場合であって欲しいですね。20年率いた名将の去り方が後任も定まらずに一時の成績の変化を求めてのクビとなればアーセナルは恥だと感じるべきですね。恐らくそんな事は起きませんが(笑)

  5. ぶらゼブレ より:

    FAカップ連覇ってそれほど褒められる成績なんですかね?
    それこそ世界トップクラスの監督なら国内カップを取ってもリーグやCLで成績を残せなければ失敗の烙印を押されてしまうわけで。
    もちろん完全な中堅クラブなら一つでもタイトル取れれば絶賛できますが、ベンゲル自身がかなり高給取りであることやアーセナルというクラブの格からすれば、ここ10年で国内カップ二つはなかなか寂しいものだと思いますが。

    とはいえ、アーセナルの四位力からすれば今季もなんだかんだとCL圏に滑り込み、来季もベンゲルとなる可能性が一番高いと思いますよ。
    そしてまた同じように夏には適正価格ではじまりシーズン中はある時は絶好調。しかし、どこかで怪我人大量発生で不調に陥ってタイトルを逃し、契約更新せずにベンゲル退任、こんな流れになる気がしますw

  6. makoto より:

    ガナユさん>
    同感です。次をどうするかが大事ですね。

    ぶらゼブレさん>
    うち7年は、クラブがさほどお金を使えない時期で、CL出場権を外していたらトップに戻ってこられないリスクもありました。ここ数年、優勝できなかったことについては批判があるのは当然だと思うものの、クラブが財政的に厳しかった数年については考慮すべしかと思います。

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