ちぐはぐだった6ヵ月。現地記者が語る「ポッター解任の舞台裏、指揮官とオーナーそれぞれの評価」
スタンフォード・ブリッジのアストン・ヴィラ戦は0-2の敗戦。11位に転落したチェルシーの主力は、日曜日にリカバリーセッションを行い、サブの選手たちは通常のトレーニングメニューをこなしたと伝えられています。
その裏側で、準備は粛々と進められていました。「テレグラフ」のマット・ロウ記者によると、チェルシーの広報は日曜日の朝に、「リヴァプール戦の試合前会見はポッター」というメディア向けのアドバイザリーを配信していたそうです。解任の検討が始められたのは午後になってからで、ステートメントが公開されたのは20時でした。
「ほとんどの選手が、ステートメントを見るまで何も知らなかった。月曜日のトレーニングと火曜日のゲームの指揮を執る人物を聞いていたからだ」
グレアム・ポッターがついに解任。昨季プレミアリーグでブライトンを9位に引き上げた監督は、新シーズンも好調をキープし、4勝1分1敗という最高のスタートを切っていました。そんななかで、突如届いたチェルシーからのオファー。トーマス・トゥヘルの後任という仕事と魅力的なサラリーを前にして、47歳の指揮官は抗うことはできませんでした。
最初の8試合は5勝3分。プレミアリーグはクリスタル・パレス、ウルヴス、アストン・ヴィラに3連勝で、CLにはミランにダブルを喰らわせています。順調に船出したポッター監督がつまずくきっかけとなったのは、ロベルト・デ・ゼルビを後任に据えた古巣ブライトンでした。ワールドカップが始まる直前は1勝4敗。冬のビッグディールは、彼の仕事を混乱させただけでした。
年明けからの2ヵ月は1勝4分6敗、11試合でたった5ゴール。前線は機能せず、5つのうち2つはクリバリとフォファナです。1億700万ポンドのエンソ・フェルナンデスはすぐにフィットしたものの、8900万ポンドのムドリクはフィジカルの強さも自信も欠いているように見えました。
彼らを急いで獲る必要はあったのか。1月のマーケットで強引に引き入れようとすれば、主力を失いたくないクラブは高額の移籍金をチラつかせて抵抗します。冬の獲得総額は、夏の2億7000万ポンドを上回る2億8900万ポンド。フォアグラのような脂っこいチームを押し付けられ、食あたりを起こした監督は、明らかに疲弊していました。
最下位セインツに0-1で敗れた24節のホームゲームの後、解任の報を聞いていたら、より納得できたのですが…。3月に入って3勝1分と立ち直りつつあった指揮官は、ヴィラに敗れてジ・エンドとなりました。なぜ、インターナショナルブレイク直後? なぜ、中2日しかないリヴァプール戦の直前? すべてがちぐはぐなオーナーの決断は、最悪のタイミングとしか思えません。
公式戦31試合12勝8分11敗、プレミアリーグは7勝7分8敗。「Opta」によると、1試合あたりの平均ポイント1.27は、20試合以上を指揮した監督のなかでクラブワーストだそうです。「BBC」のフィル・マクナルティ記者は、指揮官の経験不足を指摘しつつ、オーナーの強引な手法に厳しい目を向けています。
「ポッターは決して認めないだろうが…。スタンフォード・ブリッジで嵐に飲み込まれながら、ブライトンの静かな海に憧れた時期もあっただろう」
「ポッターにとってはファンタジーフットボールのようなものだったかもしれない。ブライトンでの生活とはかけ離れていた。結束の固いグループで仕事をすることに慣れていたポッターは、新戦力を受け入れ、プランを見出すのに苦労した」
「外野から見ると、(トッド・)ベイリーには明確なプランがなく、選手の役割に関する具体的なアイデアもないまま、巨額の投資をすることを厭わないナイーヴな人物に映る」
「ポッターにとっては、非常に不運な出来事だった。一方、ベイリーは、さらなる大きなプレッシャーに晒されるだろう。プレミアリーグのクラブを成功させるために必要なことを、本当にわかっているのか、示さなければならない」
長期的な視座に立ってポッターを招聘したのだからと、自らに言い聞かせていたブルーズのサポーターのなかには、封印していた問いが頭に浮かんだ人もいるでしょう。「チャンピオンズリーグを制覇した名将を切り、プレミアリーグ9位の若手を連れてきたのはなぜだったのか」と。
その裏側で、準備は粛々と進められていました。「テレグラフ」のマット・ロウ記者によると、チェルシーの広報は日曜日の朝に、「リヴァプール戦の試合前会見はポッター」というメディア向けのアドバイザリーを配信していたそうです。解任の検討が始められたのは午後になってからで、ステートメントが公開されたのは20時でした。
「ほとんどの選手が、ステートメントを見るまで何も知らなかった。月曜日のトレーニングと火曜日のゲームの指揮を執る人物を聞いていたからだ」
グレアム・ポッターがついに解任。昨季プレミアリーグでブライトンを9位に引き上げた監督は、新シーズンも好調をキープし、4勝1分1敗という最高のスタートを切っていました。そんななかで、突如届いたチェルシーからのオファー。トーマス・トゥヘルの後任という仕事と魅力的なサラリーを前にして、47歳の指揮官は抗うことはできませんでした。
最初の8試合は5勝3分。プレミアリーグはクリスタル・パレス、ウルヴス、アストン・ヴィラに3連勝で、CLにはミランにダブルを喰らわせています。順調に船出したポッター監督がつまずくきっかけとなったのは、ロベルト・デ・ゼルビを後任に据えた古巣ブライトンでした。ワールドカップが始まる直前は1勝4敗。冬のビッグディールは、彼の仕事を混乱させただけでした。
年明けからの2ヵ月は1勝4分6敗、11試合でたった5ゴール。前線は機能せず、5つのうち2つはクリバリとフォファナです。1億700万ポンドのエンソ・フェルナンデスはすぐにフィットしたものの、8900万ポンドのムドリクはフィジカルの強さも自信も欠いているように見えました。
彼らを急いで獲る必要はあったのか。1月のマーケットで強引に引き入れようとすれば、主力を失いたくないクラブは高額の移籍金をチラつかせて抵抗します。冬の獲得総額は、夏の2億7000万ポンドを上回る2億8900万ポンド。フォアグラのような脂っこいチームを押し付けられ、食あたりを起こした監督は、明らかに疲弊していました。
最下位セインツに0-1で敗れた24節のホームゲームの後、解任の報を聞いていたら、より納得できたのですが…。3月に入って3勝1分と立ち直りつつあった指揮官は、ヴィラに敗れてジ・エンドとなりました。なぜ、インターナショナルブレイク直後? なぜ、中2日しかないリヴァプール戦の直前? すべてがちぐはぐなオーナーの決断は、最悪のタイミングとしか思えません。
公式戦31試合12勝8分11敗、プレミアリーグは7勝7分8敗。「Opta」によると、1試合あたりの平均ポイント1.27は、20試合以上を指揮した監督のなかでクラブワーストだそうです。「BBC」のフィル・マクナルティ記者は、指揮官の経験不足を指摘しつつ、オーナーの強引な手法に厳しい目を向けています。
「ポッターは決して認めないだろうが…。スタンフォード・ブリッジで嵐に飲み込まれながら、ブライトンの静かな海に憧れた時期もあっただろう」
「ポッターにとってはファンタジーフットボールのようなものだったかもしれない。ブライトンでの生活とはかけ離れていた。結束の固いグループで仕事をすることに慣れていたポッターは、新戦力を受け入れ、プランを見出すのに苦労した」
「外野から見ると、(トッド・)ベイリーには明確なプランがなく、選手の役割に関する具体的なアイデアもないまま、巨額の投資をすることを厭わないナイーヴな人物に映る」
「ポッターにとっては、非常に不運な出来事だった。一方、ベイリーは、さらなる大きなプレッシャーに晒されるだろう。プレミアリーグのクラブを成功させるために必要なことを、本当にわかっているのか、示さなければならない」
長期的な視座に立ってポッターを招聘したのだからと、自らに言い聞かせていたブルーズのサポーターのなかには、封印していた問いが頭に浮かんだ人もいるでしょう。「チャンピオンズリーグを制覇した名将を切り、プレミアリーグ9位の若手を連れてきたのはなぜだったのか」と。
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