【MAN.UTD×Liverpool】 「らしい」香川と「らしくない」香川
12月29日に香川が復帰してからこの試合まで、3試合に出場しましたが、彼は未だゴールできずにいます。トップ下、センターMFと複数のポジションをこなし、時折、質の高いプレイも見せてはいますが、いいときと悪いときの差があり、やはりまだトップフォームではないようです。コンディションもさることながら、チームメイトとの連携もいまひとつ。負傷で休んでいるルーニーが戻ってこようとしているなかで、そろそろ目に見える結果を出し、チームの主力、常時スタメンという評価を固めたいところです。
ナショナル・ダービーともいわれる伝統のリバプール戦。香川は左サイドでスタメンに名を連ねました。試合の結果はご存じのとおり、2-1でMAN.UTDの勝利。前半は圧倒的にゲームを支配し、ファン・ペルシがグラウンダーに軽く左足を合わせて先制。後半開始まもなく、ファン・ペルシの左からのFKに右サイドにいたエヴラとヴィディッチが飛び込んで追加点。この後、もはやお約束となってしまっている自陣でのミスパスインターセプトを喰らい、スタリッジに1点返されるものの、反撃を抑えてそのままタイムアップ。今季の課題であるディフェンスの緩さがこの日も顔を出し、押し込まれる時間帯もありましたが、後半30分を過ぎると百戦錬磨のファーガソンはフィル・ジョーンズとスモーリングを相次いで投入し、土台を補修。明確に守りきる意志を示したことでチームは落ち着き、終わってみれば悪くない試合でした。
さて、香川ですが、この日は彼本来のプレイと「らしくない」プレイが相半ばし、評価の難しい出来だったように思います。本職のトップ下ではありませんでしたが、左サイドで守備をしっかり意識し周囲とのバランスをとりつつ、機をみて真ん中に出ていくプレイは、日本代表でもよく見られる姿。香川がうまくもらいやすいポジションをとりながら、ダイレクトやワンタッチで短いパスを交換し、サイドに展開した1点めの流れは、昨年までのMAN.UTDにはなかったもので、「香川効果」が感じられました。また、復帰後の過去3戦に比べてゴール前に顔を出す機会も増え、前半終了直前にファン・ペルシのヒールでのシュートのこぼれ球に反応し、リヴァプールGKレイナと交錯したシーンは、文字どおりあと一歩で追加点!こういう香川が観たかった、とワクワクさせられるものでした。
一方、まだまだシュートが少ないのが不満です。香川が前線に出て、DFとDFの間のスペースに入り、ボールをもらおうとしてもそこにパスが出ません。ワンツーで抜けようとして、意図が伝わらず空走りに終わる姿も目立ち、特にウェルベックやキャリックとの連携については時間が必要です。そしてもうひとつ気になるのが、おそらく香川自身に焦りや迷いがあるのでしょうが、プレイに彼らしい思い切りがないこと。
象徴的なシーンが2つ、あります。ひとつは先制点のシーン。パス交換から左サイドのエヴラにボールが出たとき、香川はゆっくりペナルティエリアに侵入してきましたが、ドルトムント時代の彼ならトップギアでニアサイドに入り、ファン・ペルシの鼻先でシュートを打っていてもおかしくないところです。もうひとつは後半、ウェルベックが前線でDFに仕掛け、こぼれ球がペナルティエリアのすぐ外に出たところを走り込んだ香川がフリーでシュートしたシーン。香川の得点力の源泉は、「瞬時にGKの位置と体制を見極め、いちばん嫌なところに確実にシュートできる」ことにあるのですが、このとき、彼が放ったシュートはGKが最もはじきやすい高さに飛びました。絶好調の香川なら、転がすか、上を抜くボールを蹴っていると思います。ゴールを決めるどころか、そもそもシュートの機会自体が少ない現状から、余裕や冷静さを失っているように見受けられたキックでした。
いくつか、物足りなさ、モヤモヤは残ったものの、このままでは終わらないでしょう。トップチームゆえ、与えられる時間は多くないので、悠長に構えてはいられませんが、どこかでひとつ、結果が出れば彼も吹っ切れ、周囲ももっと彼に球を集め出すはずです。今週末は、ホームで4点獲られて敗れたトッテナム戦。前回の借りを返す役目を、そのゲームで技ありのシュートを決めている香川に託したい。
all we need is shinji kagawa!
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