【MAN.UTD×Crystal Palace】この相手に2-0では、オールド・トラフォードは当然静かです!
左から入れたダルミアンのクロスは正直なボールで、処理に困るような弾道ではありませんでした。ニアにいたデラニーがクリアすれば攻撃はそこで終わるはずでしたが、痛恨のミスキックがGKスペロニの脇を抜けてゴールイン。デラニーは、頭を抱えて立ち尽くしかありません。勢いに乗ったマン・ユナイテッドは、7分に惜しいシーンを創ります。ルーニーの素晴らしいサイドチェンジからバレンシアがマタに落とすと、ゴールに向かうクロスに、DFと入れ替わるように走り込んだのはルーニーでした。やや低かったボールはカットされてしまいましたが、ルーニーに貪欲にゴールを奪おうとする姿勢が戻ってきているのはうれしい限りです。負傷前はプレミアリーグ7試合で5ゴールと量産モードに入っており、ひとたび感触を思い出せば、次々と決めてくれるのではないでしょうか。
前線からしつこく相手を追いかけまわすマン・ユナイテッドに、クリスタル・パレスはパスコースを限定され、アデバヨルやザハ、バカリ・サコにパスがなかなか通りません。20分にマタとの素晴らしいワンツーで抜け出したバレンシアはグラウンダーが弱く、直後にラシュフォードのヒールパスでGKの前でフリーになったリンガードは、ラストパスの狙いが曖昧でした。いずれもシュートを打てたシーン。マンチェスター・ユナイテッドが今季のプレミアリーグで42点しか獲っていない理由のひとつは、シュートへの意識の低さでしょう。積極性と正確性を兼ね揃えた選手がマルシアルしかいなかった時期が長く、サイドや中盤の選手が打ってこないと思われては、相手を慌てさせることはできません。20分、ラシュフォードのパスを受けたマルシアルは、左から得意のカーブをかけたシュート。25分にカウンターから狙ったルーニーのミドルもまた、悪くないシュートでした。今後のキャプテンの出来が、このチームがプレミアリーグ4位を奪取できるかどうかのカギとなるはずです。
39分、ルーニーのラストパスを右で受けたラシュフォードがダイレクトのシュート。直後、縦パスをヒールで流したマタの素晴らしいお膳立てで抜けたマルシアルの左足は、スペロニがビッグセーブで弾き出します。デ・ヘアは立ってるだけだった楽な展開で、ハーフタイムの1-0は不満です。コウチーニョ、オリギ、スタリッジなら、2~3発は決めていたでしょう。彼らは相手をかわして決めることを先に考え、無理ならパスを選ぶのに対して、マルシアルを除くマンチェスター・ユナイテッドの多くの選手は、完全に崩すことと奪われないことが先。シュートシーンは、「当然そこからは打ちますよね」というものがほとんどで、意外性がなく守りやすいのだと思います。とはいえ、前半の最後に思い切ったシュートがいくつかありました。草サッカーの会場のように静かで、チャントよりもざわめきのほうが耳につくオールド・トラフォードは、後半何回湧くのでしょうか。
46分、左サイドをえぐったマルシアルの折り返しをルーニーがボレー。スライディングにカットされたものの、いい攻撃でした。55分、マタの左からのシュートをスペロニが何とか弾いた後のCKから、ようやくマンチェスター・ユナイテッドが追加点をゲットします。ブリントのキックがクリアされると、トラップしたダルミアンが迷いなく左足を一閃。左のポストの内側を叩いた弾道は、GKはノーチャンスです。
オールド・トラフォードはかみしめるような拍手、ギグスは微笑、指揮官はメモ…。この20分ほど前に、マージーサイドダービーのリヴァプールは既に追加点を決めておりましたが、あちらは監督はガッツポーズ、決めたサコはベンチにいたCB仲間のコロ・トゥレを探して歓喜のハグ、そこにデヤン・ロブレンも絡んでゴールを祝い、アンフィールドは大盛り上がりでした。うーん、うらやましい。ゴールを決めることで一体感を得られるチームは、ゴールを狙いにいく気持ちが高まるものです。マンチェスター・ユナイテッドが今季のプレミアリーグで42点しか獲っていないのはシュートの意識が低いからと書きましたが、「シュートを決めた選手をボスがその場でリスペクトしない」のも、意識が上がらない理由のひとつではないでしょうか。62分にDFもGKもかわしたラシュフォードがリンガードにパスを出した瞬間、「自分で打て!」と絶叫してしまいました。2人で放った2発のシュートはいずれもスペロニに当たり、ホームチームの3点めはなりませんでした。
ダルミアンまで嬉々として前線に飛び出し、シュートを放っていたこの試合を2-0では、オールド・トラフォードが盛り上がらないのも無理はありません。今季のプレミアリーグで1度も4点以上を獲ったことがないチームのファンは、わざわざすし詰めのトラムに乗ってスタジアムに足を運んでも、熱狂できる瞬間が1度か2度しかないわけです。トッテナムは、4発以上がプレミアリーグで5回、カップ戦まで入れれば7回あります。ゴールラッシュが見られるかもしれないと思えば、ファンの足は自然とスタジアムに向くでしょう。
マンチェスター・ユナイテッドが今季のプレミアリーグで42点しか獲っていない理由の3つめは、「硬直化した組織」です。ダルミアンはプレミアリーグ初ゴールでしたが、これは序盤戦のブリントだけだったチームが久々に決めたDF2発めです。ゴール数TOP3を見てみましょう。64ゴールのトッテナムは、デパイの倍決めているアルデルヴァイレルトを筆頭に、DFトータルで7ゴール。マン・シティはコンパニ2発、コラロフ3発で計5ゴール。カウンターで前線が決めているイメージが強いレスターでさえ、フートが3つ叩き込んで4ゴールです。マンチェスター・ユナイテッドの後ろの選手がいかに守備に専念しているか、セットプレーなどでゴールに絡むシーンが少ないかがこんな数字からもわかります。つまんないなら強い、強くないならせめておもしろい。どちらかを実現できなければ、ファン・ハール監督は「営業的理由で解任」としてもいいのかもしれません。シーズンチケットホルダーたちが築いた大量の空席がささやきかけるメッセージに、指揮官は耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。
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こんだけ若手を育ててくれているんだから感謝すべき
あとリヴァプールはダービーだから盛り上がりを比べてもねぇー
あ さん>
昨季プレミアリーグ4位は、ファン・ハールさんがうまく立て直してくれたものと思っておりますが、今季の現状はやはり残念です。若手を育てた功績はあれど、チームのクオリティを前季よりもジャンプアップさせてほしいという命題に応えられなかったというマイナスは残るでしょう。レッズの話については、「同じように盛り上がってほしい」といっているわけではなく、あまりにギャップが大きかったので書かせていただきました。ゴールした際に垣間見えるチームの一体感も薄いように感じられ、どうしても心配してしまいます。
更新お疲れ様でした。
久々に投稿させていただきます。
オールドトラフォードがフルハウスでら無く、空席が目立ち、盛り上がりに欠け、今後のユナイテッドに不安しかありません。
あさんが、若手を育てたとおっしゃいましたが、目的を持って若手をきちんと育てたのは、スパーズ。ユナイテッドは、予定が崩れまくり、仕方なく若手を使い成功しただけです。確かにLVGは、勇気を持って若手を使ったでしょうが、そこにきちんとした目的は無かったでしょう。
シャーウッドの頃のスパーズの様ですね
汗かきスターさん>
そうなんです。ファン・ハールさんが若手を成長させてくれたのは確かですが、それはどこまでいっても手段で、目的は優勝もしくはそれに近いCL圏内だったはずです。今季はそこに届いておらず、昨季よりもクオリティが落ちている感もあり、部分的には拍手したとしても全体として手段を目的化させてリスペクトすることには違和感があります。ポチェッティーノさんは補強も合理的で、誰を育てるのかが明確でした。エリック・ダイアー、トム・キャロル、デル・アリの使い方と、SBのターンオーバーにはシーズンを通した一貫性があります。