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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

前半は強者、後半は凡庸…2つの顔を見せたリヴァプールが逆転でセビージャに屈す!

スイスはバーゼル、38000人収容のザンクト・ヤコブ・スタジアム。リヴァプールが、久しぶりの欧州タイトルと来季のCL出場権を狙うヨーロッパリーグ決勝が始まります。さっそく、セビージャと戦う11人を見てみましょう。GKミニョレ、DFナサニエル・クライン、デヤン・ロブレン、コロ・トゥレ、アルベルト・モレノ。中盤はエムレ・ジャン、ミルナー、ララナ、フィルミーノ、コウチーニョと万全。トップにはダニエル・スタリッジ。プレミアリーグ8位に終わったリヴァプールは、この試合を落とすと来季は欧州のステージに立てなくなります。何がなんでも勝ちたいゲームは、開始早々からセビージャのペース。8分のエムレ・ジャンのミドルで、ようやくレッズの硬さがほぐれてきました。11分にはナサニエル・クラインが右サイドをえぐってクロスを上げると、ファーサイドのスタリッジがヘディングで競り勝って中へ。ダニエウ・カリッソにクリアされ、シュートは打てなかったものの、ドルトムント戦のデヤン・ロブレンの決勝ゴールを思い出させる惜しい攻撃でした。

左サイドを抑えられたレッズは、コウチーニョが消えています。クリホヴィアクと昨季までプレミアリーグのストークでプレイしていたエンゾンジが中央をカバーし、コケとマリアーノが右サイドで優位に立つセビージャが主導権を握っています。25分、ようやくリヴァプールに決定機。ララナの巧妙な縦パスでGKソリアと1対1になったスタリッジは、角度が厳しく右足で浮かせたキックをセーブされてしまいました。31分、セビージャの左CKは、ファーからの折り返しをエンゾンジが競り落とし、最後はガメイロがバイシクルキック。左ポスト際に飛んだきわどいシュートはわずかに外れ、依然として0-0が続きます。

34分、レッズ、先制!右サイドでフィルミーノが粘り、中にいたコウチーニョを経由したボールが左にいたスタリッジへ。このシュートは凄かった!トラップしてコースが空いているのを見て取ったスタリッジは、左足のアウトにかけた素晴らしいコントロールショットを右隅に叩き込みました。勢いに乗ったレッズは、38分にナサニエル・クラインが縦に突破してグラウンダーを入れると、ララナが思い切りよくシュート。これで得たCKがデヤン・ロブレンの頭にぴったり合い、ゴールネットを揺らすものの、関与したスタリッジがオフサイドを取られて2点めはなりません。45分にコウチーニョが仕掛けた攻撃は、ナサニエル・クラインの速いクロスにスタリッジが足をかすらせるだけに終わり、惜しくも決まりません。前半は1-0でリヴァプール。集中力が高い最終ラインはセビージャのシュートコースをしっかり切っており、ガメイロの1本、枠内ゼロに抑えています。

開始18秒、セビージャ、同点!左からのクロスが逆サイドに流れ、マリアーノがアルベルト・モレノをあっさり股抜きでかわすと、ラストパスはガメイロが触るだけでOKの完璧なボール。ボレーが決まり、試合は振り出しに戻ります。48分、ビトロのスルーパスでガメイロが抜け出し、独走。最後はコロ・トゥレが追いついてCKに逃れましたが、レッズは落ち着かないといけません。ここからは、一進一退の展開。60分、スローインをエンゾンジがヘッドで後ろに流すと、ゴールの真ん前でガメイロがどフリー。ボレーは決まったかに思われましたが、ミニョレのビッグセーブがボールをクロスバーの上に逃がします。64分、勝ち越したのはセビージャでした。左からビトロとバネガがワンツーでミルナーを翻弄し、前線に流れたボールに反応したのはコケ。ダイレクトで放った右足シュートが右隅に吸い込まれ、1-2。コウチーニョは相変わらず自分の形に持ち込めず、レッズにはシュートがありません。

フィルミーノがオリギに代わった直後の70分、セビージャに決定的な3点めが入ってしまいました。エムレ・ジャンが自陣でロストしたボールを運ばれ、左サイドからのグラウンダーがコウチーニョに当たってフリーのコケの足元へ。右足の一撃にミニョレは触るのが精一杯で、ボールは左のサイドネットを揺らします。セビージャはラミが足を痛め、コロジェチャクにスイッチ。クロップ監督はララナをジョー・アレンに代えました。残り時間は10分。セビージャのヨーロッパリーグ3連覇が近づいています。

80分、やっと放ったコウチーニョのミドルは、しかし左足。新指揮官が選んだ今シーズン最後のカードは、コロ・トゥレをベンテケというスクランブルです。ゆっくり時間を遣うセビージャ。もう、時間はありません。プレミアリーグでは当たり前ながら、欧州ではさほど多くない4分の追加タイムは無為に過ぎていきました。ベンテケとオリギのベルギー代表コンビにシュートなきまま、3-1でタイムアップ。2015-16シーズンのヨーロッパリーグは、セビージャが前人未到の3連覇を達成して幕を閉じました。

ターニングポイントは、後半開始早々の同点ゴールでした。アルベルト・モレノが不用意に当たりにいって抜かれてしまったのもさることながら、ニアのコースを切るべきコロ・トゥレはマイナスのボールを読んで上がってしまい、デヤン・ロブレンは前に出て先に触るのか、ガメイロに付くのかどっちつかず。3人が判断を誤って奪われたゴールの後、レッズ守備陣は歯車の軋みを修正することができませんでした。ゴールを許すごとに運動量を失ったレッズの中盤は、ドルトムントを屠ったあの最強のチームではなく、プレミアリーグでスウォンジーやサウサンプトンにやられた凡庸な集団と化してしまいました。セビージャは勝てない相手ではなかっただけに、右サイドからチャンスを創っていた前半のサッカーを続けられなかったことが、ただただ残念です。クロップ監督は、カップ戦ファイナル5連敗。2年めとなる2016-17シーズンは、プレミアリーグ4位以内と国内カップを争うシーズンとなります。

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“前半は強者、後半は凡庸…2つの顔を見せたリヴァプールが逆転でセビージャに屈す!” への9件のフィードバック

  1. Atsuo より:

    後味悪い敗戦です。
    後半のレッズの出来の悪さ、主に後ろの対応とそこからの攻めの構築の拙さ
    セビージャサイドの後半からの切り替え
    差し引いて考えても、審判への不満が残る試合でした。

    来シーズンはクロップ監督が作る新チーム、そこに連れてくる選手にも大きな期待を寄せていただけに、ここでCL権を獲得できなかったことは本当に残念です。

    プレミア勢の15-16シーズンは正真正銘、これで終わりましたね。
    今シーズンも1年間楽しい記事をありがとうございました。
    来シーズンも管理主さんの記事を毎朝の日課にして、サッカー観戦ライフを楽しみたいと思ってますので、よろしくおねがいます。

  2. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    この敗戦はCOC以上に痛いです。兎にも角にも後半早々の失点が全てです。あれはいただけません。
    リーグ戦もそうですが後半チームがガラッと変わってしまう悪い癖がこの大舞台でも出てしまいました。
    ドルトムントやビジャレアルと比較すると難しい相手ではないと思いましたが、悪い時のレッズが後半おもいっきり顔を
    出してしまい本当に残念です、、、。
    ヨーロッパカップ戦出場権利がない来シーズン選手補強がどこまで進むのか気になりますが、ロジャーズ政権時の選手だけで
    ここまで持ってきたクロップには感謝したいです。

  3. シティふぁん より:

    判定に疑問があるところもありましたが
    後半のリバプールのできを見ると負けは妥当ですね
    まだクロップ好みの選手を獲得していないなか
    決勝まで行けてさすがだと思います
    国内に専念することになるので優勝争いに加われるのではないでしょうか

  4. リバサポ より:

    お疲れ様でした。
    来年は国内のみということで、スカッドの編成も大分入れ替わりが激しくなるかもと思ってます。
    コウチの流出が兎に角懸念です。
    トッテナムを見習いしっかりと後ろの補強からお願いしたいですね。特に左サイドバックを…

  5. K より:

    更新お疲れ様です。

    悔しいです。
    全ては後半ですが、前半先制の後に2点目を獲れなかったことも悔やまれます。
    結果論ですが、あの時間が全てでした。
    結局、後半はレッズの悪いところが全てでてしまい、良いところは皆無。
    クラインとトゥレにありがとうだけで、DFラインにはもう何もいいたくありません。
    コウチ、フィルミーノ、ララーナは調子が悪かったのか、重圧にのまれたのか、それともセビージャの術中にはまってしまったのか、レッズの武器である前線からのプレスと素早い連携がほとんど繰り出せなかったのが敗因だと思います。
    もう長くなるのでやめます…。

    これで来季は国内のみ。
    大物の獲得は無理でしょう。
    懸念は獲得よりも放出、コウチやスタリッジは残ってくれるでしょうか。
    ララーナは残るとコメントしてましたが、まさかオリジ、フィルミーノ、ミルナー、ヘンド、ジャンの移籍はないと願いたいです。
    この敗戦でまたチームは一から作り直し、レッズの苦難は続きそうです。
    希望はクロップ監督のみです。
    がんばって応援しなければなりません。

    —–
    90分走りきる事は不可能なのでボール回して休む時間が必要ですけど、DFラインの技術は足りてません。
    枠内シュート4本中3本がゴールに入るのはGKのせいなのか、DFのせいなのか。
    足りてるのはCFだけで全部他は足りてません。最後まで夢を見せてくれただけに落胆も大きくなりましたが、来年のプレミアに期待するしかないですね。

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    判定がセビージャ寄り過ぎました。
    3回もハンドをして一度もPKが無い、しかも手を使ってラストパスを止めた3回目のハンドを取らないなど審判はセビージャから金銭を貰っていたとしか思えません。
    ファール基準も不明瞭で意味不明なものが多々ありましたし、モレノのパフォーマンスが酷すぎたことを差し引いても選手が可哀想です。

    あまりに腹立たしく、審判とセビージャへの憤りがまだ収まりません。

  7. queen より:

    クロップのチームは受けに回ると脆くなるイメージが強いですね。選手側の問題もあるかもしれませんが。
    今、一番心配なのは、そのうち、なかなか結果が出ない→サポーターがしびれを切らして解任要求→解任、というようなことが起こらないかです。最近は1シーズンの結果で評価が目まぐるしく変わり過ぎなので。最低でも3シーズンは様子見てほしいなあ。

  8. makoto より:

    Atsuoさん>
    後半のセビージャが素晴らしかったのは確かですが、レッズにとって不運な試合でもありました。私も、ヨーロッパリーグ決勝に力が入りすぎて、「これで終わりか。しばらくプレミアリーグのチームの試合は観られないんだなぁ…」と思っていたのですが、すみません、もうひとつありました。FAカップ決勝、楽しみです。今後とも、よろしくお願いいたします。

    Mackiさん>
    そうですね。2-0から何度も追いつかれていた、あのレッズでしたね。おっしゃるとおり、もっと難しい相手を倒してここまで来ただけに、残念でした。

    シティふぁんさん>
    最終ラインを強化するだけでも、相当強くなりそうですね。CLで観たかったのですが…。

    リバサポさん>
    クロップさんの魅力で選手を残せればいいですね。最近とみにアルベルト・モレノが厳しいので、GKと左SBはぜひともほしいですね。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    不運なゲームでした。とはいえ、ガメイロをあれだけ自由にしてしまっては、「世が世ならこちらが勝利」とは主張できないなとも思いました。

  9. りっきー より:

    判定に疑問はあったとしても悔しさと怒りに身を任せて憶測で批判するのはどうかと思いますが。。。
    セビージャは間違いなく強かったですしリバプールの後半の出来を見ると仮にひとつPKを取ってもらえてたとしても難しいゲームだったのではないかと。
    前々から思ってましたがリバプールは途中交代のオプションが弱いですよね。なかなか流れを変える交代に繋がっていない気がします。
    DFラインの批判もありますが戦術として前からのプレスが機能していなかった以上は全体の問題であり、中盤とDFラインが間延びして本来の守備が出来ていなかった印象です

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