イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

微調整か大改革か?地元紙が大胆予想!「ご予算別・モウリーニョ監督が選ぶ3つのフォーメーション」

イギリスメディア「マンチェスター・イブニング・ニュース」が、来季のプレミアリーグを戦うジョゼ・モウリーニョ新監督の基本フォーメーションについて、あれやこれやとシミュレーションしています。このメディアのサイトは、さすが地元紙という作りになっておりまして、「ニュース」「セレブ」「ビジネス」などが並ぶカテゴリーに、他の現地メディアなら必ずある「フットボール」がなく、代わりに「Man City」「Man Utd」がデカデカと表示されています。地域メディアならではの愛がこもった記事が読めるので時折訪れるのですが、マンチェスター・ユナイテッドのカテゴリーは、このところジョゼ関連とトランスファー・ルーモアの二本立て。個々の選手について残留させるべきか売却してもよいかを問う、イギリス名物「Keep or Sell」のアンケートが行われており、新しいチームへの関心の高さが窺えます。

さて、本日紹介したいのは、「What Manchester United team could look like under Mourinho(マンチェスター・ユナイテッドは、モウリーニョ監督の指揮下でどうなるのか)」と題された記事です。微調整、フィジカルが強いチームにシフト、大改革の3つのバージョンで新チームの布陣をシミュレーションしているのですが、これがなかなかおもしろい。共通しているのは、「GKはデ・ヘアで鉄板」「スモーリングとルーク・ショーは最終ラインの軸」「ルーニーはインサイドハーフへ」「マタはいない」「左サイドのマルシアルは安泰」。大改革バージョンともなると、ファン・ハール監督が昨季プレミアリーグで試し続けた若手主体の前線は、跡形もなく消え去っています。ラシュフォードやリンガードがおらず、別のクラブになったような大きな変化を私たちは歓迎できるのでしょうか。勝利を積み上げていくうちに、いずれ慣れてしまうのだろうとは思いつつ、若手の活躍を見られなくなるのは寂しいものです。ともあれ、それぞれのフォーメーションを見ていきましょう。まずは、サポーターが受け入れやすい微調整バージョンからです。

■Small tweaks(微調整バージョン)
「モウリーニョ監督は、この夏を過ごすための予算をそれなりにはもらえるものの、すべてを望むようには変えられない可能性がある」というのがこのバージョンの趣旨です。記事では、最優先で補強がなされるポジションは「back and up front」、つまりCBと最前線だと指摘しており、チェルシー時代に獲得を熱望していたジョン・ストーンズと噂のズラタン・イブラヒモヴィッチをスカッドに加えています。「ダレイ・ブリントはモウリーニョスタイルの典型的なセントラルMFとしては、要件を満たしていない」「ファン・ハール監督は、攻撃のオプションが足りないままにしていた」とは、なかなか厳しい指摘です。この布陣は、多くのファンが納得できるのではないでしょうか。マタの名前がないことさえ気にしなければ。

GK/デ・ヘア
DF/ダルミアン、ジョン・ストーンズ、スモーリング、ルーク・ショー
MF/シュナイデルラン、シュヴァインシュタイガー、ルーニー
FW/ラシュフォード、イブラヒモヴィッチ、マルシアル

■A new spine for a physical team(フィジカルチームをめざすバージョン)
モウリーニョ監督には、大柄でフィジカルが強い選手を中心にチームを創った歴史があるというのがこちらのフォーメーションの主張です。記事では、「もし、背の高い選手が5人いなければ、セットピースで死ぬことになる」というジョゼ語録を引用しています。SBはバレンシアやダルミアンよりもフィル・ジョーンズ、CBにはローマに所属する屈強なギリシャ人マノラス、中盤には1億ユーロを払ってもポグバ。ストライカーには、チェルシー時代には手離すことになったロメウ・ルカクを配しています。個々の選手のチョイスはともかく、モウリーニョ監督がこの思想でチームを強化する可能性はあるかもしれません。こうなると、ますますフェライニとシュナイデルランはkeep、マタやブリント、エレーラはsellとなるでしょう。アーセナルサポーターがドン引きしそうなチームですね。

GK/デ・ヘア
DF/フィル・ジョーンズ、マノラス、スモーリング、ルーク・ショー
MF/ポグバ、シュヴァインシュタイガー、ルーニー
FW/バレンシア、ルカク、マルシアル

■Wholesale changes(売って買って大改革バージョン)
「モウリーニョ監督は、初めてチェルシーの監督となった2004年にドログバ、ロッベン、チェフなど8人の選手を獲得した」という史実に基づいたシミュレーションですが、こちらもまた、泥くさいチームです。レアル・マドリードからのダニーロとヴァランはいいとして、ストゥラーロとマティッチですか。中盤でしつこく追い回せ、バイタルエリアは埋めろ、というわけですね。モラタとアトレティコ・マドリードのサウール・ニゲスを前線に置く布陣には、ゴール量産の匂いはないものの、カウンターで勝つと考えれば合理的なチョイスではあります。

いちばん気になるのは、「マティッチに赤いシャツが似合うか」ですが、マタ先輩が克服した課題ですので、プレミアリーグも最終盤になれば、ファンは当たり前のように彼のタックルに拍手しているのでしょう。リードしたら得意のクルージングモードに入って試合を殺しまくり、「デイリー・ミラー」や「スカイスポーツ」あたりに「マンチェスター・ユナイテッドの走行距離はプレミアリーグ最下位!」などと書かれそうですが、ペップのサッカーに勝つのは、存外こういうチームなのかもしれません。いや、わかりますけど、「アタック!アタック!」…。

GK/デ・ヘア
DF/ダニーロ、ヴァラン、スモーリング、ルーク・ショー
MF/ストゥラーロ、マティッチ、ルーニー
FW/サウール・ニゲス、モラタ、マルシアル

いかがでしょうか。「さすが地元紙、真剣に遊んでますね」とリスペクトしたくなる、えもいわれぬ迫力のある記事だと思いました。現実的かどうかはともかく、微調整と大改革には「モウリーニョさんがいかにもやりそう」「あっさりプレミアリーグ優勝をさらいそう」と思わせるものがある一方で、フィジカルバージョンのバレンシア、ルカク、マルシアルという並びには少々無理を感じました。ところで、ジエゴ・コスタを外したスペイン代表のデル・ボスケ監督は、モラタはユーロに呼んじゃったんですよね?ストゥラーロ以外はユーロもコパ・アメリカも関係ないので、大改革バージョンなら、みなさんの留守中にチームが完成するじゃないか!と盛り上がりかけたのですが…いえ、決してこれがいいというわけではありません。私の推しは、コンサバといわれようと微調整バージョンです。プレミアリーグ開幕前に、こちらの答え合わせもぜひ楽しみたいと思います。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“微調整か大改革か?地元紙が大胆予想!「ご予算別・モウリーニョ監督が選ぶ3つのフォーメーション」” への5件のフィードバック

  1. グローリーグローリー より:

    私も微調整派ですかね。プレミアリーグチャンピオンになったチェルシーをベースにイメージすると、仮定付きではありますが現存のユナイテッドの選手でも代用性あると思うんです。

    マティッチ→セインツ時代のシュナイデルラン
    セスク→フィットネスの整ったルーニーorシュバイニー
    オスカル→ビルバオ時代のエレーラ
    アザール→マルシャル

    コスタとウィリアンのポジションには外からの加工が必要だと思いますが、今のチームのベースはカウンタースタイルのフットボールに適してますし、そこまで大きな改革は必要ないかと思います

  2. yuto より:

    更新お疲れ様です。
    私も大掛かりに補強を行う必要はないと考えています。
    少数精鋭派のモウリーニョ監督なので誰を放出するのかの方が重要でしょうね。

    少し気になるのが、ブリントとマタです。
    モウリーニョ監督が就任してから、この二人の放出の報道が急激に増えている気がします。
    個人的には二人ともユナイテッドの選手では数少ない、賢く器用な選手だと思っているだけに心配です。

  3. makoto より:

    グローリーグローリーさん>
    そうですね。コスタ=イヴラヒモヴィッチ、ウィリアンはバレンシアとリンガードで釣り合うかどうか不安…といったところでしょうか。

    yutoさん>
    私も心配しています。ブリントのユーティリティと、マタの局面打開力は残しておきたいですよね。両者とも、セットプレーでも武器になりますし。

  4. Davinci より:

    私はメンデスファミリーが入ってくる予感がします。以下、ものすごく極端なケースですが、
    ペペ、ガライ(スモーリングと三人で回す)
    コエントラン(ショーの控え)
    ハメス(マタの代わり)
    アンドレ・ゴメス(中盤のオーガナイザー)
    ヌーノ・エスピリト・サント(アシスタントマネージャーがアンダーの監督)
    ここまで行かなくとも、メンデス色が強くなりそうな予感がします。ファルカオの失敗もありましたが、なんだかんだ、ものすごく影響力のある代理人なので。

    —–
    ユナイテッドの伝統や格式とモウリーニョの個性や戦術がどのような化学反応を起こすのか楽しみですね。

  5. makoto より:

    queenさん>
    私は、まさにそれを危惧しています。火種の元ですので。

    Davinciさん>
    戦術的には、さほどサー・アレックスとは離れていないので、勝ち始めたらサポーターは喜ぶのではないかと思います。

コメントを残す