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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

鮮やかなコントラスト、見えてきた戦い方…ペップ&モウリーニョの最初の会見をチェック!

プレミアリーグは戦国時代続行か、あるいは2011-12シーズンの「マンチェスター2強時代」に回帰するのか、それとも…。7月に入り、新シーズンに向かって各クラブがいよいよ動き出します。それに先立ち、3日にグアルディオラ監督、5日にモウリーニョ監督と、世界屈指の指揮官が新チーム最初の会見に臨みました。

「シティのファンには、われわれのプレースタイルを誇りに感じてほしい」(ペップ・グアルディオラ)
「われわれは勝ちたいんだ、といおう。すべてを勝ち取ることはできないかもしれないが」(ジョゼ・モウリーニョ)

いかにもペップ、やっぱりジョゼといいたくなる彼ららしいコメントです。もちろんペップもタイトルを総ナメにしたいと目論んでいるでしょうし、モウリーニョさんはファンを喜ばせるいいサッカーをしたいとも考えているはずです。「美しさVS勝利へのこだわり」といった二項対立の枠に無理矢理はめようとは思わないのですが、歌舞伎の大見得のようなキャラ全開の言葉を聞くと、やはり背筋がゾクゾクしてきます。プレミアリーグ2016-17シーズンが始まったのだな、というのが最初の感想です。

さて、以降はそれぞれの言葉をなぞりながら、注目すべきポイントを炙り出してみましょう。本拠地エティハド・スタジアムの外に6000人のサポーターを集めた「シティズンズ・ウィークエンド」で、自己紹介からスタートしたペップが先攻です。

「イングランドで仕事すること、あるいはプレミアリーグに関して先入観はない。ここでできる限り学びたいと思っている。どんなサッカーをするかは既に考えているが、バイエルン・ミュンヘンの監督就任でドイツに入ったときに考えていためざすサッカーは、時間とともに変化していった」
「プレミアリーグが厳しいリーグであることはわかっている。イングランドで望むサッカーを実現するのは難しいと感じないかといわれて、だからこそチャレンジするのだと思った。それがここに来た理由だ」

マンチェスター・シティのファンには自分たちのサッカーを誇ってほしい、ファンなしでは何も成し遂げられないと淀みない英語で語ったスペイン人指揮官は、「プレミアリーグでも今までのように成功するとは思っていない」と、ゼロからのスタートであることを強調しました。最大のポイントは、チームが強くなるためにも、ファンがクラブを愛してくれるためにもアカデミーは重要と語ったことではないでしょうか。

「私は、世界最高水準のバルセロナのアカデミーで育った。1軍に昇格したとき、ペドロやブスケツらを既に知っていたので、すぐに入っていくことができた。シティについては以前からチキ(・ベギリスタインフットボール・ディレクター)と話し合っていたので、若手をしっかり育成しているのは知っている。ファンはアカデミーの選手たちを必要としている。彼らこそが、自分たちの選手と感じるものだ」

クラブのユースで育った選手が数多くスタメンに名を連ね、圧倒的な力でプレミアリーグやチャンピオンズリーグを制覇したときが、ファンの愛と誇りを大事にするペップにとって、真の成功といえるのでしょう。会見のクライマックスは、ファンに「メッシは買わないの?」と聞かれた際の切り返しでした。

「悪い選手ではないと思うよ。…いや、申し訳ない。メッシはバルセロナでキャリアを終えなければならない」

…われわれライバルクラブのサポーターは、この言葉を鵜呑みしないようにしましょう。何が起こってもおかしくないのがサッカー界であり、メッシがバルセロナを離れたいと思ったとき、いちばん最初に頭に浮かぶのはペップのチームのはずですので。

さて、一方のマンチェスター・ユナイテッドの新指揮官は、最初からモウリーニョ節炸裂です。プレミアリーグで戦いたかった、自分は今望む場所にいるという言葉は、彼が今まで語ってきたことを知っているファンにとっては予想通りの第一声でしょう。

「このクラブについて思うことを、うまく表現する言葉が見つからない」
「責任の重さ、期待の大きさ、受け継がれてきた伝統、そして私が来る前にクラブに刻まれてきたものについて、理解している。ファンの期待もね。このチャレンジを恐れてはいない。私のこれまでの10年は、いつもビッグクラブでの大きな期待とともにあったからだ」

モウリーニョ発言のなかで、興味深いいくつかの言葉をダイジェストで紹介することとしましょう。
「われわれは、チームにバランスをもたらし、クオリティを上げるべく4人の中核メンバーをチョイスした。3人目は間もなく公にされるだろう」
「私のアプローチは特殊であり、それに対応できるスペシャリストを求めている。多機能な選手は負傷者が出たときには重宝で、必要な人材ではあるが、ほしいのはスペシャリストだ」
「ルーニーのパスは素晴らしい、というだろう。確かにそうだ。しかし、優れたパスを出せる選手は大勢いるが、ゴールにボールを入れられる選手はそう多くない。私にとって彼は9番か10番、もしくは9.5番であって、6番や8番ではない

こちらの最重要ポイントは、「チャンピオンズリーグ復帰をめざしてプレミアリーグでトップ4入りを果たし、ヨーロッパリーグでもいい結果を出すことが目標だというのはたやすいが、そうではなく勝ちたいのだ」と明言したことでしょう。つまりこれは、「ミルクを必要とする仔馬」と自チームを形容したチェルシー復帰初年度と違って、現在のマンチェスター・ユナイテッドには優勝を狙えるポテンシャルがあると判断しているということに他なりません。バイリーとイブラヒモヴィッチしかクラブ公式サイトに掲載されていないなかで、「4人の中核メンバーの3人め」とは、これからオフィシャルな入団発表がなされるムヒタリアンでしょうか。そして最後のひとりは、フランス代表のデシャン監督に許可を得てイングランド入りしたと報じられているミノ・ライオラ代理人案件のマチュイディか、あるいは同じくライオラ仕切りのポグバ…?

ルーニーについてのコメントを聞くと、モウリーニョ・ユナイテッドの基本フォーメーションは4-4-2か4-2-3-1のようで、トップがイブラヒモヴィッチでその下がルーニー、左右にマルシアルとムヒタリアンと考えるのが自然です。ユーティリティよりスペシャリティという言葉からは、クレバーではあるものの突出したところがないブリントは、何かがあったときのためにベンチに置いておきたい選手であるといっているようにも取れますが、うがち過ぎでしょうか。

バイエルンに就任した当初のペップは、バルセロナ時代のサッカーをベースとしていましたが、年を経るにつれてシンプルな速攻が増え、昨季に至っては、ボアテングのロングフィード一発でレヴァンドフスキが抜け出してドスンというレスターばりのカウンターも披露しています。プレミアリーグにおいても、ロング・ショートのカウンターは、基本戦術のなかに組み込まれるのではないかと思います。モウリーニョさんのサッカーは、プレミアリーグを制覇した2014-15シーズンのチェルシーがモデルになるとみます。あのシーズンの前半戦のチェルシーは決して守備的でも退屈でもなく、直線的な攻撃が破壊力抜群のチームでした。さて、実際はどうなるでしょうか。いずれルーニーの8番としてプレイするのではないかと期待しているのですが…。ところでペップ様、チャンスがあってもメッシには手を出さぬよう、何卒よろしくお願いいたします。

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“鮮やかなコントラスト、見えてきた戦い方…ペップ&モウリーニョの最初の会見をチェック!” への6件のフィードバック

  1. グローリーグローリー より:

    少し表情が暗く感じたのが気になりましたが、とりあえず1番聞きたい言葉が聞けたので良い会見だったと思います

    おっしゃる通り、14-15シーズンの前半戦みたいなフットボールをしてくれたら最高です。ただあのチームで重要過ぎる役割を果たしていたコスタやセスクのような選手がユナイテッドにはいないのでどうするのかき

  2. グローリーグローリー より:

    すいません、途中でした!
    あとマティッチみたいな選手もいませんねで終了です笑

  3. yuto より:

    やはりモウリーニョ監督はスペシャリストによる少数精鋭を好む印象を改めて受けました。
    これまでファンハール監督のもとでヤングやブリントなどユーティリティ性を伸ばしていった選手も必要な人材と言っていますが、それよりも何かしらの能力に突出した選手を重宝するでしょうね。
    4人の中核メンバーの4人目は誰でしょうか・・・とても気になります。

  4. makoto より:

    グローリーグローリーさん>
    速攻でも、イブラヒモヴィッチに当てて左右に展開し、中に速いボール…といった攻撃がメインになりそうですね。ルーニーがどんな役割になるのかに興味があります。

    yutoさん>
    チェルシーの復帰2年めのように、極端な少数精鋭になるのは避けてほしいところです。また、若手の抜擢はぜひお願いしたいと思ってます。

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    ペップのペドロやブスケツなどを下部から上げて世界トップの選手として育て上げてたことはやはり特筆すべきことですね。
    しかし3年やったバイエルンでは何人か上げたものの、スタメン固定レベルや上記の選手のようなトップクラスにはとてもならないレベルであまり実りがあるとはいいがたかった気もします。
    私はみもふたもないがそのとき下部組織に本当のトップがいるかどうかの運の要素も強いと思うので仕方ないと思いますが、シティではペップはペドロやブスケツクラスの選手を育てあげられるでしょうか。

  6. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    若手育成に成功する可能性はあると思いますが、マン・シティが注力し始めたのはわりと最近なので、時間がかかるでしょうね。飽きるから長期はムリと語っていたペップが、プロジェクトをどのくらいのスパンで考えるのかによると思います。

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