偏愛的プレミアリーグ見聞録

戦う相手は、そっちじゃない…。ニューカッスルに完敗した後、選手たちと指揮官の確執を報じられたマンチェスター・ユナイテッドが、メディアに対して真っ向勝負に打って出ました。

チェルシー戦を控えたプレスカンファレンスに出禁とされたのは、「スカイスポーツ」「ESPN」「マンチェスター・イブニングニュース」「ミラー」。プレミアリーグで7位に転落したクラブは、今回の措置について「記事が気に入らないというわけではなく、コンタクトをとって取材するというプロセスがないまま書かれたから」と説明しています。

「プレースタイルやサンチョの処遇を問題視した選手が、オランダ人監督に不満を抱いている」「とある情報筋は、ドレッシングルームの50％がテン・ハフに反感を抱いていると主張」。広報担当者は、聞いた話だけどね…と保険をかけた「スカイスポーツ」の匿名の記事が腹立たしかったのでしょう。しかし、メディアを敵にまわして得られる果実はありません。

出席した記者に、「チームに混乱が生じているのではないか」と問われたテン・ハフ監督は、「ドレッシングルームに、そんなことはない。戦術の見直しに関して、いろいろな噂はあるけれど、惑わされることはない」と否定。「われわれは旅の途中にいる。チームを構築して発展させ、進化を遂げ、今は若い選手たちが入ってきている」と続けています。

「この1～2週間はいいパフォーマンスも悪いパフォーマンスもあった。それでもチームはいい方向に進んでいる。ガラタサライ戦とエヴァートン戦では、とてもいいフットボールをして、いいゴールを決めた」

さまざまなチームの過去の報道とその後の結末を振り返ると、「火のないところに煙は立たず」と見るべきでしょう。少なくとも、出番を失ったヴァラン、目まぐるしくポジションを変えられるとテンションが落ちるラシュフォード、ニューカッスル戦の後に衝突したといわれるマルシアルとは、緊張感が高い状態になっているのだと思われます。

ジョゼ・モウリーニョが去った5年前と同じ季節に、似たような空気が漂っています。こういう状況に陥ったときは、クラブがスタンスを明快にしなければなりません。指揮官を支持し、今後も現場のマネジメントをまかせるなら、グエンドゥジやオーバメヤンを手離したアルテタとエドゥのような荒療治も必要になるかもしれません。

ラシュフォードには、思うところがいろいろあるのですが、話が散らかるので別の機会にしましょう。マンチェスター・ユナイテッドが短命政権を繰り返しているのは、指揮官の選択と解任について責任を取る人物がいないからだと思います。招聘した理由が曖昧で、バックアップも中途半端となれば、選手たちは「文句をいえば状況は好転する」と思うでしょう。

本日は、オールド・トラフォードでチェルシー。テン・ハフ監督は、自らの言葉をピッチの上で証明しなければなりません。10月以降のプレミアリーグで、5勝2敗のホームチームと4勝2分2敗のアウェイチームは、どちらがより発展しているのでしょうか。完敗したら、プレスルームから締め出されたメディアの集中砲火に対しても、的確なゾーンディフェンスが求められます。