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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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23歳のMFを売って33歳のヘンダーソンを獲得?チェルシーに関するゴシップに思わずツッコミ!

Chelsea have Jordan Henderson deal ready to give Connor Gallagher Tottenham green light」。事実であれば乱暴なプランに見えます。ゴシップなら、「フットボール・ロンドン」のオリヴァー・キング記者は勇敢な武闘派と思われそうです。23歳の生え抜きを売って最前線強化の資金を捻出し、33歳のベテランで穴埋めというのは、サポーターの納得を得られにくい話でしょう。

乱暴に「見える」と書いたのは、この2つは別々の件だからです。コナー・ギャラガーの売却は、ニコラス・ジャクソンとアルマンド・ブロヤでまわしているCFの得点力を高めようという文脈です。ストライカーの獲得によるPSR違反を避けるために、高値で売れて代えが効く選手を手離そうとすると、今季プレミアリーグの11試合でキャプテンを務めた23歳が最適となります。

一方、8月にサウジアラビアのアル・イテファクに移籍したジョーダン・ヘンダーソンは、チームメイトに「移籍は間違いだった」とこぼしたため、冬のマーケットにおける注目のプレーヤーに祭り上げられました。現地のライフスタイル、暑さと湿気に適応できなかったベテランは、自分を引き入れてくれたスティーヴン・ジェラードの苦境もストレスになっているようです。

夏の移籍市場でムサ・デンベレ、デマライ・グレイ、ワイナルドゥム、ヘンダーソンを獲得したアル・イテファクは、現在6勝7分6敗で8位。今週になって、アシスタントコーチのイアン・フォスターがプリマス・アーガイルの監督に就任したのは、言語の壁に苦しむ指揮官にとって大きなダメージと報じられています。

アンフィールドの大歓声が当たり前だった元レッズのキャプテンは、平均観客数が7800人のザ・プリンス・モハメド・ビン・ファハドスタジアムにも幻滅しているとのこと。同性愛を違法としている国への移籍で、LGBTQ+のコミュニティに猛攻撃を受けたことも、プレミアリーグ復帰を望む理由のひとつと伝えられています。

「フットボールロンドン」の記者は、チェルシーが彼を獲得するメリットとして、平均年齢23.7歳の若いチームの経験値の向上を挙げています。唯一の30代は、40歳を目前にしているチアゴ・シウヴァ。今季限りでチームを離れる可能性が高く、プレミアリーグとチャンピオンズリーグを制したヘンダーソンは、チームを束ねる後継者になりうるという見立てです。

つまり、ヘンダーソンをコナー・ギャラガーの穴埋めとすると奇妙な話になり、チアゴ・シウヴァの後釜と捉えると真っ当な話に聞こえるというわけです。とはいえ、いずれにしてもコナー・ギャラガーを売るというプランは、近視眼的に感じられます。彼を手離して、実績があるストライカーを獲るとなれば、これまでの若手シフトは何だったのかという話になりかねません。

トッド・ベイリーがヤングスターをかき集めたのは、チーム強化のコンセプトだったのか、経済優先の戦略だったのか。PSRが定める赤字上限1億500万ポンドという壁があるなかで、ムドリク、エンソ・フェルナンデス、カイセドらを高額で獲得できたのは、超長期の8年契約という奥の手があったからです。

契約期間を長期化させる最大のメリットは、1年あたりの減価償却費を抑えられることです。移籍金1億ポンドで5年契約なら毎年2000万ポンドですが、8年にすれば1250万ポンドまで減額できます。若手にシフトすると、「サラリーが安い」「8年後も20代なら売りやすい」「長期間にわたって契約延長交渉をする必要がなく、サラリーの高騰を抑えられる」といったプラスもあります。

これらに対して、活躍できなかった際に長期契約が足かせとなる「バカヨコ状態」というデメリットが考えられますが、実はこれは選手の問題です。長期契約で移籍金が増額となるならクラブにとってリスクですが、ムドリクもカイセドもそんな話はありません。移籍金が爆下がりしても、何度もレンタルフィーをもらって損金を回収できる可能性があるのはメリットでしょう。

問題は、経済的なメリットを追求した若手シフトなら、副作用が出やすいこと。アーセナルとリヴァプールは、選手のポテンシャルや性格まで考慮して若手に手を伸ばしており、マンチェスター・シティはペップ戦術とのフィット感を重視しています。共同SDのローレンス・スチュワートとポール・ウィンスタンリーがそれらを考えていなければ、現場にさまざまな軋みが生じます。

プレミアリーグは昨年末に、移籍金の減価償却は5年以内とするルールを新設。これによって、8年で契約しても5分割で計上しなくてはならなくなり、年あたりの償却費を下げられるメリットはなくなりました。チェルシーは強化の方針を変えるのでしょうか。ビッグ6を見渡すと、チームの軸となる中盤に25歳以上がいないのは彼らだけです。

話が拡散してしまいました。戻しましょう。この稿の趣旨は、コナー・ギャラガー売却とヘンダーソン獲得は別件で、まぜたら危険ということ。そしておそらくレッズの元キャプテンはブルーズには来ず、コナー・ギャラガーの去就は獲得できるストライカーがいるかどうかに左右されるということです。これは当たると思うのですが、昨今のチェルシーは予測不能ですので…。


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